京都

2018年11月19日 (月)

神無月のマイ・フェア・レディ 下鴨アンティーク 4 (白川紺子)

下鴨アンティーク 神無月のマイ・フェア・レディ (集英社オレンジ文庫)

下鴨アンティーク 神無月のマイ・フェア・レディ』 はシリーズ第4弾。

1. 星の花をあなたに
2. 稲妻と金平糖
3. 神無月のマイ・フェア・レディ
4. 兎のおつかい

慧の父親のことや、鹿乃が幼い頃に亡くなった両親の馴れ初めなど、野々宮家周辺の過去が明かされます。

4話では、明治はじめの京都の様子が描かれていて興味深いです。時代がちがえば、それだけで知らない街を旅するようで楽しい。

今度京都に行ったら緑寿庵清水で金平糖を買ってみよう!

お勧め度:★★★★☆

2018年11月 2日 (金)

下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ (白川紺子)

下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ (集英社オレンジ文庫)

下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ 』は、シリーズ第2弾。

1. ペルセフォネと秘密の花園
2. 杜若少年の逃亡
3. 亡き乙女のためのパヴァーヌ
4. 回転木馬とレモンパイ

2話で「杜若」と出たときに「ひょっとしたら」と能を連想し「井筒」と続いて確信しました。能が絡んでくるのがうれしい。京都、アンティーク着物、能、おいしい食べ物。着物のことは詳しくありませんが、わたしが好きな要素が詰まっていて、読んでいて楽しい。

主人公たちが通うのは同志社だな、とか、東寺の弘法市で、小柄な鹿乃が迷子になるのも無理はないとか、風景が眼に浮かぶのも楽しいのです。

今作では、4話がいちばん面白かった。不可思議度ナンバー1です。野々宮家の鹿乃と良鷹はさしづめ、古い着物についた物の怪を調伏する陰陽師のようです。

お勧め度:★★★☆☆
    

2018年10月30日 (火)

下鴨アンティーク アリスと紫式部 (白川紺子)

下鴨アンティーク アリスと紫式部 (集英社オレンジ文庫)

下鴨アンティーク アリスと紫式部 』 は、旧華族である野々宮家の娘・鹿乃が主人公。彼女は祖母から受け継いだ着物を愛用しているのですが、その着物は次々と不思議なことが起こります。

ずぼらなイケメン兄・良鷹と、大学准教授の下宿人・慧と3人暮らし。鹿乃は小学生の頃から慧を知っていて現在高校3年。京都を舞台に、ありえない不思議とほのかな恋物語を紡ぎます。

1. アリスと紫式部
2. 牡丹と薔薇のソネット
3. 星月夜

京都を舞台にした小説が好き。「あ、これは出町ふたばだな」「岡崎で能を見るなら京都観世会館だろうな」とか。演目は「熊野」と「石橋」かぁ。知っている場所が出てくるとうれしい。気軽に読めるので気に入ったのですが、外で読むには少女チックな表紙がちょっと恥ずかしい。

お勧め度:★★★☆☆

2017年12月31日 (日)

小袖日記 (柴田よしき)

小袖日記 (文春文庫)
小袖日記 』は平安時代に飛ばされたOLが「源氏物語」執筆の手伝いをすることになるというSF時代小説。どんなものかな、と思いつつ読んでみたら、これが意外に面白い!

冒頭「死んでやる。」とは、不倫相手の上司から「女房が妊娠したんや」と別れを告げられてのセリフ。

1. 夕顔
2. 末摘花
3. 葵
4. 明石
5. 若紫

「源氏物語」の語り手というか取材係の小袖と中身が入れ替わってしまい、書き手の香子さまの下で暮らすことになるのですが、多少とんちんかんなことを言っても雷に打たれたせいで済む「よう」です。タイムスリップではなく、重力が弱く、別の宇宙らしいということなので、過去の歴史を変えると云々という問題も起きない「よう」です。ご都合主義に見えないこともありませんが、穴はおおむね違和感なく塞がっています。上手いと思います。

小袖は「光源氏はロリコンのエロ親父」というように、わたしも「源氏物語」は好みではないのですが、能の曲にいくつも取り上げられている(半蔀、夕顔、葵上、野宮、須磨源氏、住吉詣、玉鬘、落葉、浮舟) ので、その点で興味があります。

取材して回る間に、事件が起きて、香子さまと謎解きをしたり、現代に伝わる「源氏物語」との違いに悩んだりと、楽しませてくれます。

それはともかく、彼女は現代に戻ることができるのでしょうか?

お勧め度:★★★★★

2017年はこれでおしまい。2018年もよろしくお願いします!

2017年9月17日 (日)

古都再見 (葉室麟)

古都再見
古都再見 』は、久留米から京都に移り住んだ小説家・葉室麟のエッセイ集。

京都を舞台にかつて起きた事を取り上げ、そこに歴史の解説を加えてあるのですが、時代小説作家の覚書のように見えます。

京都を舞台にした能を、名古屋で見るのと、京都で見るのとでは印象がちがいます。ですから、小説を書くのも読むのも「ここで実際にあったことなんだ」と思えばリアリティが増します。

本としては期待した内容とはすこし違いましたが、気軽に読めるので葉室麟ファンにお勧めします。

お勧め度:★★★☆☆

2017年8月24日 (木)

神様の御用人 5 (浅葉なつ)

神様の御用人 (5) (メディアワークス文庫)
神様の御用人 (5)』も5冊目。久しぶりです。能を観るようになって古事記に登場する神様が身近になったので『古事記 』を読もうとしたのですがダメ。退屈で読めないのです。そこで思い出したのが本書。そうだ、続きを読もう!

1. 天孫の鏡
2. 英雄、鳥を好む
3. 大地主神の恋わずらい?
4. えべっさんの草鞋

この本は神様の御用を承る係に任命された25歳フリーターの萩原良彦が主人公。方位神の黄金(狐)がお供というかお目付役で、大主神社の宮司の娘・吉田穂乃香(女子高生)が神様が見えるので時々良彦を手伝っています。

御用の多くは、人の信仰心を失い、力を削がれた神様に対する助力なのですが、良彦が黄金はもちろん、初対面の神様に対してもタメ口なのが可笑しい。そういえば、良彦は文庫版の古事記を持っていて、それで神様のことを調べています。どの文庫だろう?

1話目に「途端に態度を軟化させ始める黄金を、良彦は能面のような顔で見つめた」という下りがあるのですが、ここでいう「能面」とは無表情とか無感情という意味なのでしょうね。でも、わたしもまだ勉強中ですけど、能面っていろいろあるんです。

そういえば、彼らが暮らすのは京都・出町柳周辺。吉田穂乃香ということは、彼女の父親が宮司を務める神社は吉田神社がモデルでしょうか。4話では、穂乃香が出町(枡形)商店街の時計店に出かける様子が描かれています。

そのとき良彦は西宮にいて、出町柳まで戻るのは「意外と面倒くさい」。スマホアプリ「Y!乗換案内」によると、阪神線で梅田へ出て、大阪駅から環状線で京橋へ。京阪に乗り換えて出町柳まで約1時間半。森見登美彦の描く京都は「あぁ、あのあたりだな」と、すぐ眼に浮かぶのですが、本シリーズはなぜか風景が浮かびにくい。だから自分で想像を膨らませる必要があるのがちょっと寂しい。

お勧め度:★★★☆☆

2017年8月 1日 (火)

平成29年 第4回 林定期能を(京都観世会館で)観てきました!【後編】

前編からつづく)

犬も歩けば棒、ではなく「みたらし祭り」に行き当たってラッキーでした。たしかに暑気払いになりましたし、あとは息災であれ、と祈るばかり。

下鴨神社から糺ノ森を抜けて出町柳まで戻って来たところで、駅前の「ベーカリー柳月堂」に寄ってくるみパンをゲット。くるみがたくさん入ってておいしい。

林定期能の会場である京都観世会館は岡崎にあって、そこまで市営バスで行くつもりだったのですが、出町柳のバスターミナルは乗り場がわからず、京阪電車で三条まで行くことにしました。

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iPhone の「Y!乗換案内」で「地図」を選択すると「案内」してもらうこともできます。

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スマホに案内してもらうまでもなく京都観世会館に到着。しかし、11時20分の開場までは中に入れないみたい。暑い屋外で待っていても仕方ないので、早めのランチにしましょう。

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疎水端のベンチで「ふたば弁当」を広げます。出町ふたばで買った赤飯とデザートの豆餅が2個。おかずはファミチキ。お茶はサーモスに入れてあるし、割り箸もつけてもらいました。これが京都ならではの「お弁当」です。ファミチキはおかしいだろうと自分でも思いますが、普段は食べないものなのでOKとします。久しぶりの豆餅は旨い! この素朴なしょっぱさと甘さのハーモニーがたまりません。ふたつも食べたらお腹いっぱいなのだけれど、シアワセ〜!

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事前に電子メールで「林定期能チケット申込み」として連絡しておけば、当日受付で代金とチケットを引き換えてもらうことができます。手軽に前売券を申し込むことができるので助かります。

本日の公演は能「俊寛」「百万」「天鼓」の3曲と狂言「口真似」、それに仕舞3曲という豪華ラインアップ。12時開演、17時半終演予定ですから、休憩時間を除いて実質5時間。これで全自由席4,000円はリーズナブルだと思います。

この能楽堂には2階席があります。2階席からだと橋掛りから舞台までが一望できるので、ここで観ることにしました。先客の方とあれこれ話しているうちに開演前の演目解説が始まりました。

「俊寛」は『平家物語』で、クーデターを企んだ俊寛僧都が鬼界ケ島に流されたお話。「そこの白川通の向こうのノートルダムの脇の道をずっと上っていくと鹿ケ谷なんです」って、身近に当時を偲ぶ場所があって、京都で観る能というのは一味ちがいます。以前「名古屋片山能」で観た「融」なんて、ここで観たらもっとリアルでしょうね。

3曲の紹介が終わると「俊寛」が始まります。ところが、成経と康頼に続いて俊寛が鬼界ケ島に流されてきたんだなぁ、と思ったら、俊寛だけが島に取り残されていました。あれ、わたし寝てました? やはり寝不足はいけません。失礼しました。

続いて狂言「口真似」です。主人が太郎冠者にむかって「酒の相手を探して来い」と申しつけ、連れてきた相手が実は酒癖が悪い。かといって追い返すわけにもいかず、太郎冠者がうまく話をつけられるはずもないので、主人は「わたしの言うとおりにせよ」。すると、主人が召使いに命じるままに、太郎冠者は客人に命じます。主人が頭に来て手を上げれば、客人を殴る始末。ここまで徹底した「口真似」をやるとは、狂言恐るべし!

能の2曲目は「百万」。これは女性の名前で、我が子を探し求める芸能者の物語。とにかく子方がかわいい。切戸口を屈まずに通った人を初めて見ました。シテの舞も素晴らしく、見応えがありました。

その後、仕舞が3曲。わたしはこれまで「仕舞は退屈でつまらない」と思っていました。でも、出町柳の LIGHT UP COFFEE で浅煎り豆のコーヒーをいただいて「自分の好みじゃないと思っていたけれど、味わい方で楽しめそう」と思ったのです。仕舞もおなじ。そう思って観ると仕舞もそれぞれ趣がありました。

さて、最後に「天鼓」です。天から降ってきた鼓を打つ少年が天鼓。中国の帝が鼓を献上するよう命じたのですが天鼓は拒んだため、捕らえられ河に沈められてしまいます。その後、鼓は誰が打っても鳴らないため、天鼓の父親に打たせたところ、素晴らしい音を出したのです。帝が天鼓を沈めた場所で法要を行ったところ、天鼓の霊が現れて鼓を打ったというお話です。

公演のパンフレットの写真が「天鼓」の後シテです。煌びやかな衣装が眩しかった。2階席から観ていると、全体を見渡すことができ、シテ、ワキ、囃子方、地謡までが一体となって舞台を盛り上げていることがわかります。とくに今回、地謡の低音がよく響いていてよかった。3曲で囃子方は毎回変わり、大鼓の音色にも個体差があることがよくわかりました。打ち方、響き方に好みはありますが、能の一部だと思ってみれば、よくまとまっていたように思います。「天鼓」の最後の場面では「来るぞ、来るぞ…来た〜よしっ!」。最後がすべてピタッと決まったのです。これは感動ものです。立ち上がって拍手をしたかったのですが、マナーに反するようなので我慢しました。

原則、その日一回限りの能舞台。うまくいくときもあれば、うまくいかないときもある。でも、すばらしい一瞬のために能楽堂に足を運ぶのです。

京都の大学を出た長男に「京都に能を観にきたよ」と知らせたら「夏の京都、熱中症に気をつけて」。はい、スマホに警告が届いてます。でも、能楽堂の中は寒いくらい冷房が効いてます。

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チケット申し込みメールの返信に「会場内は冷房が強めに設定されています。 羽織るものをご持参ください」と教えていただいて助かりました。女性は長袖を羽織っている方が多く、わたしも「天鼓」の頃には寒くなってきました。

会場をあとにするまえに「京都観世会館会報誌」の年間購読(1200円)を申し込んで、8月号をいただきました。基本的に「演能カレンダー」ですが、毎月郵送してもらえれば、また京都に遊びに行くきっかけになるかと思って。

会館を出たところで「天鼓」で太鼓を打ってらした前川さんにお会いしたので「楽しませていただきました。ありがとうございます」。太鼓って思ったよりコンパクトなケースに収まっているんですね。

暑い京都の夏を涼しく過ごすのに、みなさんも観能はいかがですか?

追記:出町ふたばの赤飯も美味しいのだけど、岐阜ツバメヤの豆穀おこわも美味しい。思い出したら食べたくなってきた。でも大名古屋ビルヂング店では売ってない。柳ヶ瀬本店まで行かなくちゃ。あ、隣に「アイスクリーム松ノ家」ってできてる。最中アイスですか。これはぜひ行かねば!(買い食いスイーツに弱いんです)

2017年7月31日 (月)

平成29年 第4回 林定期能を(京都観世会館で)観てきました!【前編】

名駅薪能の抽選に外れたので、京都へ能を観に行くことにしました。

久しぶりの京都です。行きたいところが溜まっていて、とても一日では収拾がつかないのですが、今回は観能がメインと割り切ることにしました。

いつものように名古屋始発の新幹線に乗って朝7時に京都入り。上賀茂神社行きの市バスに乗って河原町今出川で下車。京都市営バスでもApple WatchのSUICAが使えるようになって便利になりました。

さて、出町柳周辺買い食いツアーといきましょうか。(能については後編にまとめます。)

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いつもならば9時に出町柳駅前でレンタサイクルを借りるのですが、今回は京都観世会館に着く11時までしか使わないので歩くことに。とはいえ、CROCSなので無理はできません。

まず、地図のいちばん下のパン屋さん「エズ・ブルー」へ。まだ7時半なのですが、7時から開いているのがうれしい。焼きたてパンが並んでいくのですが、まだ値札がついていないので品名がわかりません。「あのぉ、これクリームパンですか?」って、忙しそうなので聞きづらい。3つほど選んで京都御苑へ。雨に濡れた木々ではセミが大合唱中。

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ベンチにタオルを敷いて朝ごはんにします。クロワッサン(右下)とソーセージの(右上)はサクサクで美味しい。これ、好き! 左のクリームパンはまだ温かくて、クリームは美味しいけれどパンはモチモチ。近くの自販機でSUNTORYの「すっきりしたトマト」という缶ジュースを買いました。最近トマトジュースに凝ってて、これは確かに飲みやすい。塩にレモンも入ってる。うーん、満腹です。

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雨がぱらついてきたので、枡形商店街を抜けて「出町ふたば」へ向かいます。8時半開店ということですが8時には開いているみたい。今日も行列ができているものの許容範囲内。いつもの豆餅と赤飯を買いました。

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昨年秋に向かい側にできた「LIGHT UP COFFEE」というカフェに寄りました。吉祥寺に本店があって、豆の味を生かした浅煎りコーヒーが特徴だとか。味を確かめるために TASTING SET (680円) を注文しました。

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左から「COLOMBIA」「COSTA RICA」「ETHIOPIA」。カップの前に置いてあるカードの裏にそれぞれの特徴が書いてあります。左から順に飲んでいくと、いちばん右のエチオピアが「これがいい」。たしかにイチゴの味がします。わたしはコーヒーの酸味は苦手で、浅煎りより深煎りが好みなのですが、コーヒー豆本来の味を楽しむという意味では考えを改めるべきかもしれません。(前述のカードは文庫本の栞に使ってます)

なぜか他にお客さんがおらず、若いバリスタさんとあれこれ話しながら、のんびりさせてもらいました。「また、来ますね!」

京都観世会館の林定期能は11時20分開場、12時開演だから、出町柳を出発するまでに、まだ1時間ちょっとあります。それならば、森見登美彦の小説『夜行 』に出てきた御霊神社と出雲路橋に行ってみましょう。

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全体にどっしりとした重みを感じる神社です。境内の中央に舞台があります。能を観るようになって舞台が気になります。神楽を舞うのでしょうか。雨が上がって陽が差してきたのはよいのですが、暑いです。体に悪い暑さです。

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この出雲路橋を東へ渡ってしばらく行くと下鴨神社なので、お参りしていきましょう。

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いつもは閑散としている境内へ、人や車が吸い込まれていくから何事かと思ったら「みたらし祭り」。なんですか、それ?

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よくわからないままに初穂料300円を納め、ロウソクを受け取り、履物(CROCS)を脱いで袋に入れ、みたらし池にむかってジャブジャブと歩いていきます。水が冷たくて気持ちいい。と言っていられたのは始めのうち。最後は足が凍えました。突き当たりで灯明を供えて池から上がり、履物を履くと泉の水が振る舞われます。ぐいと飲み干したら御手洗社にお参りして終了。

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あとで調べたところ、通称「足つけ神事」といって、暑気を払い息災を祈願するそうです。「水みくじ」というのがあって、水に浸すと文字が浮かんでくるみたい。いろいろ考えますね。

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この出口は、アニメ「有頂天家族2」で下鴨一家が出入りしていた場所。彼らは(たぬきとしては)糺ノ森に住んでいるはずですが、なんだかここが彼らの家の玄関に見えます。

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売店の店先にアニメのポップが立っていました。さて、糺ノ森を抜けて出町柳へ戻りましょうか。(後編へつづく)

2016年5月20日 (金)

京都はんなり暮らし (澤田瞳子)

京都はんなり暮し: 〈新装版〉 (徳間文庫)
京都はんなり暮し 』は、京都生まれ京都育ちの小説家・澤田瞳子が書いた京都エッセイ集。小説『若冲』を読んだので、どんなエッセイなのかと手にとってみました。先日日本経済新聞で、京都「錦市場」の歴史と合わせて『若冲』の作者が紹介されました。

私がいつも豆餅と桜餅を買う「出町ふたば」は「お餅屋」であって「お饅屋」でもなければ、ましてや「お菓子屋」でもないとか。お菓子屋というのはお茶席で出される和菓子を扱うお店だそうです。知らなかった。

京都御苑は広くてのんびりできるから好きなのですが、あの砂利のうえを自転車で走るのは結構たいへん。砂利に細く自転車の通り道ができているのを「御所の細道」と呼ぶとか。「たしかに!」(笑)

決してガイドブックではないのですが、行ってみたいところ、食べてみたいものが見つかるたびに iPhoneにメモしておきました。今度京都に行ったときには探してみます。

祭事や名所の歴史や文化がしっかり紹介されているのも興味深い。「京都本」は何冊も読みましたが、この本は「地に足がついている」感じがして良いですね。

お勧め度:★★★★★

2016年4月25日 (月)

若冲 (澤田瞳子)

若冲
若冲』は、江戸時代中期の京都で活躍した画家。本書の表紙絵にあるように、鶏をモチーフとしたものが多く、大胆な構図と彩色、緻密な描き込みは、他の誰にも描けないもの。若冲はどのような人生を歩み、このような絵を生み出したのか。それを知りたくて本書を手にとってみました。

錦高倉市場の青物問屋「枡源」の跡取り・源左衛門として、嫁・お三輪を迎えたものの、本人は絵を描くことしか興味がなく、姑の嫁いびりが高じ、嫁いで2年後にお三輪は蔵で首を括ってしまいます。腹違いの妹・お志乃が源左衛門の世話をしつつ、無口な彼の心情を語ります。

お三輪を死なせてしまった自責の念から、自らを責め続けて描いたものだったとは。お三輪の兄・弁蔵の源左衛門に対する恨みがまた絵を描き続ける力を与えていたとは、なんと不器用で、切ない生き方でしょう。それでも300年を経て、なお若冲の作品は生き続けているわけで、わたしのように若冲の人となりに興味をもつ人も出てくるのです。

人の一生を一冊の本にまとめるのは容易ではありません。『若冲』も物足りない気がします。『等伯 』は上下巻2冊なので読み応えがありました。でも物足りなければ他の関連書を探して読めばいいこと。いまの日本では読みきれないほどの本が、図書館では無料で借りることができて幸せです。「勉強したくない」というのは我が儘というか、せっかくの恩恵を受けようとしないのが惜しいとさえ思います。

楽園のカンヴァス 』など、内外の画家に関する小説を読んでは、実際の作品を美術館に観に行くのが楽しいのです。なにも知らずに見るよりも、画家の人生について知っていたほうが興味が湧きます。一冊の本をきっかけに世界が広がっていく。それを誰かが「ギフト」だと言っていましたっけ。

今度京都を訪れたら、相国寺境内にある承天閣美術館で若冲の作品を見たいと思っています。

お勧め度:★★★★★

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