ミステリー

2017年4月12日 (水)

ビブリア古書堂の事件手帖 7 ~栞子さんと果てない舞台

ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~<ビブリア古書堂の事件手帖> (メディアワークス文庫)
ビブリア古書堂の事件手帖7』はシリーズ第7弾の完結編。これまで挙げられたのは国内の古書でしたが、今回はシェイクスピア。栞子の祖父が母親を試そうとした仕掛けに栞子が挑みます。

1. 「歓び以外の思いは」
2. 「わたしはわたしではない」
3. 「覚悟がすべて」

どんなに価値のある本でも、自分のものにしてしまえば、どうしようと自分の勝手、なのでしょうか。わたしのような小心者には抵抗のある発想です。

栞子のお相手は物足りなかったものの、シリーズを通して楽しく読めました。

お勧め度:★★★★★

2016年9月 9日 (金)

ビブリア古書堂の事件手帖 6 〜栞子さんと巡るさだめ

ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~ (メディアワークス文庫)
ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ 』は、シリーズ第6弾。栞子が田中敏雄に階段から突き落とされて怪我を負った足は治らないまま、いまも杖をついています。それでも本を読むには不都合はないと気に病むふうもない彼女はいったい何を考えているのでしょうか。

保釈中の田中敏雄は、太宰治の別の『晩年』を捜してほしいと大輔を通じて依頼してきます。そこで「古書探偵・栞子」が調査を開始。古書を追っていくと、その作家も含めて、関わった人間の過去と歴史が明らかになっていきます。なんと恐ろしい!(古書が嫌いになりそう)

栞子と大輔の初々しいお付き合いはちょうどよい息抜きになっています。そろそろ7巻を出してもらえるとうれしいです。

お勧め度:★★★★☆

2016年7月11日 (月)

暗礁 (黒川博行)

暗礁〈上〉 (幻冬舎文庫)

暗礁 』は「疫病神」シリーズ第3弾。やくざの桑原に賭け麻雀の代打ちを頼まれた二宮は、臨時収入に喜んだものの、例によって「疫病神」のトラブルに巻き込まれるのでした。お決まりのパターンですね。

今回の「シノギ」は、大手運送会社と奈良県警との癒着により生まれた裏金の争奪戦です。そこに桑原だけでなく、大阪府警のマル暴担まで絡んできます。作者はその筋のご友人がいらっしゃるのでしょうか。詳しすぎます。

二宮の父親はヤクザだったのですが「ヤクザとデカは同じ人種や。権力志向で一家意識が強い。縦社会で命令には絶対服従。刑務所の塀の上を歩いてて、たまたま中に落ちたんがヤクザで、外に落ちたんがデカ」というのが口癖だったとか。説得力ありすぎ。

すべてが金に絡んだ抗争。桑原の頭にはカネとミエしかありません。二宮も、桑原を疫病神だと忌み嫌いながらも、巻き込まれた元を取ろうと欲をかくから痛い目に遭うのです。たまには刺激があっても面白いけれど、続けて読むものではありませんね。

お勧め度:★★☆☆☆

2016年5月16日 (月)

えんま寄席 江戸落語外伝 (車浮代)

                  
えんま寄席 江戸落語外伝
      『えんま寄席 江戸落語外伝 』は「落語の世界の住人が死後にやってくる」と紹介されているから、亡くなった落語家が閻魔様のまえで一席披露するのかと思ったら、そうではなくて、4つの落語噺をつなげて、その落語の登場人物を閻魔様が裁くホラーミステリー、になるのかなぁ?
      
      今年になって文楽を見るようになって、落語にも興味があるので読んでみました。「芝浜」「子別れ」「火事息子」「明烏」という落語は実際にあって、オチ(下げ)を変えたり、話をつないだりしながら「落語ミステリー」に仕立てたもの。
      
      読んでいるうちに「この人はさっきの話の奥さんか」とわかってくるのですがややこしい。落語にくわしい方は、元ネタがわかるから楽しめる部分もあるでしょうが、元ネタを知らない私は戸惑うばかり。そもそも、これらの噺を聞いて笑えるのでしょうか? 暗い話が多いのですが。
      
      閻魔様登場以前に、実際の落語噺ありきなので、素人にはとっつきにくいというか、あまり楽しくなかった。落語にくわしい方が読まれたほうがよいかと思います。
      
      お勧め度:★★★☆☆
      

2016年2月13日 (土)

バビロン I 女 (野崎まど)

バビロン 1 ―女― (講談社タイガ) バビロン 1 ―女― 』は、野崎まどの新シリーズ第1弾。野崎まどは「究極フェチ」。なんでも究極まで突き詰めてみせる。今回は「女」を突き詰めるのでしょうか?

舞台は東京地検特捜部。検事の名は正崎善。正しく善き哉。検事にぴったりの名前です。相棒の事務官もいるので、まるでTVドラマ『HERO』みたい。そう、正崎も巨悪と闘うのです。

ただ、TVドラマよりもとんでもない、異常な事件が起きます。

製薬会社と大学による臨床研究不正事件の強制捜査で押収した資料の中から出てきた1枚の紙。それはFという文字で真っ黒に塗りつぶされ、毛髪と血痕が貼り付いていたのです。探していた証拠ではないものの、気になった正崎は調査してみることにしました。

森博嗣の『すべてがFになる』を連想しますが、その「F」とは別物です。

まるで警察小説のようで、表紙のイメージに反して本格的。ただ、そこはラノベですから、クスッと笑える要素も盛り込んであります。

さて、正崎は「犯人」を捕えることができるでしょうか。続編が待ち遠しい!

お勧め度:★★★★★

2015年12月28日 (月)

名探偵の呪縛 (東野圭吾)

名探偵の呪縛 (講談社文庫) 名探偵の呪縛 』は、図書館から別世界に紛れ込んだ主人公、探偵(金田一ならぬ)「天下一」の本格推理小説。

記念館の地下から盗掘されたお宝を探して出してほしい。そう、依頼された天下一。調査に赴く先で殺人事件が…。

その世界では「密室殺人」という概念がなく、現場に誰も出入りできない状態であれば自殺と断定する警察。なにかがおかしい。というか、なにかが足りない?

この街には過去や歴史がない。そう訊くと、カズオ・イシグロの『忘れられた巨人』を思い出しますが、おそらくそういう話じゃない。一方、この街を作った「クリエイター」伝説がある。

じきに盗まれたお宝が何かわかりますが、最後まで付き合いましょう。軽く、楽しく読めました。

お勧め度:★★★☆☆

2015年12月11日 (金)

白ゆき姫殺人事件 (湊かなえ)

白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫) 白ゆき姫殺人事件 』は『告白』の湊かなえの作品ということで、鶴舞図書館で借りてみました。

「白ゆき姫」であって「白雪姫」じゃないのは「白ゆき」という美白化粧石けんを販売している化粧品メーカーの美人社員が惨殺されたから、マスコミがそう呼んでいるという設定。

週刊誌の記者の取材に応える形で進んでいき、巻末に「しぐれ谷OL殺人事件 関連資料」として、ネットのデータやら週刊誌の誌面などが載っています。

殺人は穏やかではないけれど、わかってしまえばミステリーでもなんでもない事件を、人の噂は無責任に無秩序に肥大化していく。無自覚の悪意の連鎖にマスコミが拍車をかける。日々わたしたちが目に、耳にしている事を、あらためて小説という形で見せられると、人間の愚かさや「いじめ」の根っこが見えて来る気がします。

ただ「面白かったか」というと星2つです。

お勧め度:★★☆☆☆

2015年12月 4日 (金)

天空の蜂 (東野圭吾)

天空の蜂 (講談社文庫) 天空の蜂 』は、東野圭吾の小説を(失礼ながら)初めて面白いと思った作品。航空自衛隊の小牧基地と名古屋空港、それに三菱重工業の工場群を思い出しながら読みました。

最新鋭の大型ヘリコプターをラジコンのように盗み出し、あとはGPSを使った自動操縦で敦賀にある高速増殖炉「新陽」(もんじゅ)の直上 1,000m でホバーリングを始めたのです。犯人の要求は、国内にある原発の即時停止および破壊。自動操縦で着陸はできないため、燃料が尽きれば墜落します。

誰が、何のために、どうやって?

その謎を解き明かしていくのがミステリーなのですが、それにいろいろと搦手で来るので退屈しません。無人で飛び立ったヘリに少年がひとりで閉じ込められるなんて、もうドキドキしました。

政府や電力会社が原発を止めようとしないのは予想の範囲内ですが、犯人の動機については深いものがあります。犯人は、犯罪者ではあるけれど悪人ではないと、わたしは思います。

原発だけでなく、沖縄の米軍基地の問題も「他人事」ではありません。これをきっかけに一度じっくり考えてみませんか。それはきっと小説を読むより大事なことですから。(苦笑)

お勧め度:★★★★★

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2015年8月22日 (土)

キングレオの冒険 (円居挽)

キングレオの冒険 キングレオの冒険 』は「ルヴォワール」シリーズ4部作の円居挽の最新作。

クローバー・リーフをもう一杯 今宵、謎解きバー「三号館」へ 』は、京大が舞台でしたが「ルヴォワール」とは直接関係がなく、ちょっとがっかり。『シャーロック・ノート: 学園裁判と密室の謎 』は未読なのでわかりませんが、本作は登場人物として、坂城論語とあるので「ルヴォワール」シリーズの前日譚かも、と期待が膨らみます。

主人公は「日本探偵公社」所属の名探偵・天親獅子丸(通称キングレオ)、その助手が天親大河(獅子丸の従兄弟)。ホームズとワトソンの関係なのですが、このワトソンはいまひとつ頼りなくてイライラします。

最後に、ようやく城坂論語が出てきたと思ったら、とんでもない悪人役。優秀な犯罪者って手に負えません。そこでキングレオの登場。ある事件の推理が、師匠筋の河原町義出臣(通称キデオンフェル)と食い違ったため、日本探偵公社内での公開対決となったのですが…。

わーい、ルヴォワールだ!(笑)

「ルヴォワール」シリーズを読まれた方は免疫があると思いますが、いきなりこの展開には面食らうのではないでしょうか。わたしはこの反則技が好き。デタラメだろうと、無茶苦茶だろうと、真実がどうあれ、筋さえ通っていればオッケー、みたいな?

続編も期待しています。>作者

お勧め度:★★★★★

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2015年8月12日 (水)

晩秋 (ロバート・B・パーカー)

晩秋―スペンサー・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) 晩秋―スペンサー・シリーズ』は『初秋』の続編。スペンサーシリーズの、この2冊だけ読んでみることにしました。理由は、私立探偵ものだけど、滅多なことでは人が死なないように思ったから。いまは人が死ぬ話は読みたくないのです。

あれから10年後、ポールは希望どおりダンサーとしての道を歩み始めましたが、ある日、母親と連絡が取れなくなり、スペンサーに相談。ふたりで母パティを探すことになりました。

手掛かりを辿っていくうちに、ギャングから金を持ち逃げした男といっしょにいる可能性が浮上。命からがら助け出し、ポールはパティを説得するのですが…。

ポールにとってスペンサーは実の父よりも父親らしい存在。スペンサーもポールを実の息子のように大事に思っています。一方、ギャングの老ボス・ジョウは、一人息子のジェリィを思うばかりに彼を窮地に追いやってしまいます。父が子を思う気持ちがわかるスペンサーは、ホークに「お前は甘い」と責められつつも、自分のやり方を曲げようとしないところが(ハードボイルドっぽくて?)いい。

読み始めて、アメリカ人のジョークやら人を喰った話し方に慣れず戸惑いますが、しばらくすると照れ隠しに使っていることもわかってきて可愛く思えてきます。(笑)

お勧め度:★★★★★

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