ライトノベル

2017年6月 3日 (土)

新説 狼と羊皮紙 狼と香辛料 (支倉凍砂)

新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙 (電撃文庫)
新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙 』は 『狼と香辛料』の1世代後日譚。聖職者になる夢を叶えるため旅立つコルに、ホロとロレンスの娘ミューリが強引についていってしまいます。あの「ホロ」の娘ということで、さて、どんな女の子に育っているのか興味津々です。

ロレンスがホロに翻弄されていたのと同様、コルもミューリに好かれて振り回されます。ケモ耳娘のファンタジーラブコメです。幼いはずなのに、時々コルより年上のように鋭いツッコミを入れるのがアンバランス。

コル自身も、聖職者になりたいといいつつ教会(教皇)に逆らう勢力につくというのが不自然。1巻の印象としては、非常に危ういバランスのうえに成り立っている物語なので、途中でコケないことを祈ります。

お勧め度:★★★☆☆

2017年5月20日 (土)

真夜中のパン屋さん 午前4時の共犯者 (大沼紀子)

([お]7-8)真夜中のパン屋さん 午前4時の共犯者 (ポプラ文庫)
真夜中のパン屋さん 午前4時の共犯者』はシリーズ第5弾。久しぶりに手に取った5冊目は500ページ以上の大作。紹介文に「母親と久しぶりの対面を果たした希実だったが」とあったので、ちょっと重たい話かと思ったら、すごく重い話でした。疲れました。

おそらく次巻が最終巻。それに備えて、これまでの伏線を回収しておくためと、登場人物とその縁者たちの過去を振り返るために、話が長くなったのかもしれません。

今回感心したのは、希実が人の話を鵜呑みにせず、別の伝手をたどって裏を取ろうとするところ。これなら詐欺には簡単には引っかからないはず。逆にいえば「高校生にしては用心深いな」ということになるのですが。

パンは大好きなので、美味しそうなパンの話を読んでいるとお腹が空いてきます。また、岐阜のパンシノンに行きたいなぁ。

お勧め度:★★★☆☆

2017年5月 9日 (火)

居酒屋ぼったくり 6 (秋川滝美)

居酒屋ぼったくり〈6〉
居酒屋ぼったくり〈6〉 』は シリーズ第6弾。4巻まで読んでいたので、ほんとうは5巻が読みたかったのですが、名古屋市図書館で2冊予約して、5巻は半年待っても42番目。待ちきれないので6巻を先に借りました。早く読みたい場合は買えばいいのですが、この本だけは表紙のせいで買う気になれません。逆に『マージナルオペレーション』は新刊を即買います。

・秋休みの花火大会
・振り込め詐欺事件
・町の本屋
・釣り合わぬ恋
・路地裏の出来事
・似て非なるもの

1話目は「読んだ覚えがあるぞ」。6巻は初めてのはずなのに…あ、Webだ。以前Webで読んだことがあるのです。リアルタイムにWebで読むのもいいけれど、あとから本でまとめて読むのとどちらかに決めたほうがいいですね。混乱します。

「釣り合わぬ恋」は「身分違いの恋」らしいのですが、いまどき「身分」ってなんでしょう。江戸時代じゃないのだから、たとえ相手が皇族だったとしても、それは「家柄」でしょう。意味がわかりません。

それと『ショッピングプラザ下町』って、そんな店名つけるわけないでしょう。作者もいろいろ考えたのでしょうね、きっと。具体的な地名は出せないし、下町情緒を前面に出してるから「そのまま行くか」となったのでは?

店主の美音と要は付き合っているようですが、美音のおぼこさ加減には驚きます。そこがかわいいといえば可愛いのですが、なんだかなぁ。今時めずらしい女性です。

旨い肴と人情の機微が『居酒屋ぼったくり』の売り。ホッとさせてくれる一冊。なのですが、心がざらざらしているときは粗が気になっていけません。ホッとしたくて読んだ本でイライラしていては意味がありません。こういうときは、粗など微塵も感じさせない、一流の小説を読むべきなのでしょう。

お勧め度:★★★☆☆

2017年4月28日 (金)

私たちは生きているのか? Are We Under the Biofeedback? (森博嗣)

私たちは生きているのか? Are We Under the Biofeedback? (講談社タイガ)
私たちは生きているのか? Are We Under the Biofeedback? 』はWシリーズ第5弾。人間は生植機能を失い、人口は減る一方。そこで見た目は人間と区別がつかないウォーカロンを開発。人間とウォーカロンを識別する装置を開発したハギリ博士が、護衛のウグイとアカバネを連れて、ウォーカロンの集落や、人間の赤ん坊のいる場所を調査してまわっているのです。

今回はアフリカ南端の通称「富の谷」。そこへ行って帰ってきた者はおらず、警察も近づかない場所。案内人に連れられてたどりついた先でハギリが見たものは…?

ハギリ博士って、いかにも大学の先生っていう感じで、おっとり、のんびりタイプ。気が小さいくせに自分の身の危険はあまり真剣に考えない。これでは護衛もたいへんです。

あの、それは罠でしょ。っていうところに護衛がいっしょに嵌ってどうするの? そういうラノベもありましたっけ。

生命とはなにか。生きるとはどういうことなのか。なかなか愉快なSFです。

お勧め度:★★★☆☆

2017年4月12日 (水)

ビブリア古書堂の事件手帖 7 ~栞子さんと果てない舞台

ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~<ビブリア古書堂の事件手帖> (メディアワークス文庫)
ビブリア古書堂の事件手帖7』はシリーズ第7弾の完結編。これまで挙げられたのは国内の古書でしたが、今回はシェイクスピア。栞子の祖父が母親を試そうとした仕掛けに栞子が挑みます。

1. 「歓び以外の思いは」
2. 「わたしはわたしではない」
3. 「覚悟がすべて」

どんなに価値のある本でも、自分のものにしてしまえば、どうしようと自分の勝手、なのでしょうか。わたしのような小心者には抵抗のある発想です。

栞子のお相手は物足りなかったものの、シリーズを通して楽しく読めました。

お勧め度:★★★★★

2017年1月14日 (土)

デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping? (森 博嗣 )

デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping? (講談社タイガ)
デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping? 』は「Wシリーズ」第4弾。久しぶりなのでストーリーがうろ覚えになっています。シリーズが完結してから読み直したほうがいいかもしれません。そのほうがストレスが少ないです。

要するに「W世界」では、人体に人工細胞を移植することで不老長寿に近い肉体を手にいれることに成功した人類がいるのですが、その代償として生殖機能を失ってしまったという設定なのです。このままでは生身の人類は滅亡してしまいます。そう『人類は衰退しました』の世界になります。小人さんはいませんが。

しかし、その一方で生殖機能をもつ(子供を産める)人間が生き残っていたりするので、ハギリ博士は護衛のウグイと共に世界中を飛び回っています。今回は、フランスの古い修道院でウォーカロン修道僧たちに守られた150年前のスーパーコンピュータが発見されたというのです。

SF映画やコミックでも「これは近未来の姿なのだろう」と思うことがあって、本作では、ウグイの拳銃は所有者しか使用できないというのがそうでした。グリップで所有者を認証してトリガーを引くことができるようになるなら、日本の警察や自衛隊でも導入したい。ただ、所有者が倒れたときに仲間に使用を許可したい場合、作中ではウグイが小声でコードを伝えたという、なんともアナログな手段でした。それでは所有者が気を失ったらおしまいです。なにかもっと良い方法はないものか...?

というように、ついつい思考が脱線してしまいます。本当は「生命とは」「生きているとはどういうことか」について考えるべきなのでしょう。わたしにとって「生きている」とは「名前を呼ばれたら返事をすること」です。

お勧め度:★★★☆☆

2016年12月27日 (火)

居酒屋ぼったくり 4 (秋川滝美)

居酒屋ぼったくり〈4〉
居酒屋ぼったくり〈4〉 』は、久しぶりの続編ですが、いつものように美味しいお酒と料理を用意して迎えてくれました。グルメ小説って好きです。

・意地っ張りなサヨリ
・柔らかく包み込むもの
・移ろいゆくものたち
・茶がゆの甘さ
・心地よい香り
・辿ってきた道

気がかりなのは「スーパー呉竹」の閉店と、要との関係。前者のオチはわかるような気がするので、問題は後者です。なんと美音が要の自宅を訪れて…!?

なんとも中途半端なところで「次巻へつづく」って、それはないよぉ〜。

お勧め度:★★★★☆

2016年12月26日 (月)

ゲート自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈外伝3〉黄昏の竜騎士伝説編

ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈外伝3〉黄昏の竜騎士伝説編
ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈外伝3〉黄昏の竜騎士伝説編 』では、死んだはずの父親が生きているという噂を聞いたテュカが父を探しに北の辺境へ向かいます。当然のように付き合う羽目になる伊丹。苦手な飛龍に乗るためテュカに魔法をかけてもらうのですが、その魔法には副作用があって…。

父が死んで半狂乱になって散々大騒ぎしたテュカは、伊丹を父親だと思うことでなんとかトラウマを克服したはず。それがいまになって父親が生きていると言われても「なにをいまさら」。しかもそれが「とんでも親父」では読む気が失せます。ごめんなさい、ムリでした。

2016年12月25日 (日)

自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 〈外伝2〉黒神の大祭典編 (柳井たくみ)

ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 外伝〈2〉黒神の大祭典編
ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 外伝〈2〉黒神の大祭典編 』は本編5作、外伝5作中の外伝第2弾。外伝を1作読んだところで止まっていたのを思い出して手に取った次第。

「ゲート」が封鎖されて10カ月。富田二曹と元帝国騎士ボーゼスの間に生まれた娘の誕生祝いというか七五三というか「ナッシダ」という祭事と合わせて結婚式をしようという話が持ち上がり、その司祭を黒ゴス亜神ロォリィが引き受けることになりました。ところが、ロォリィがこの世の亜神すべての4柱を招くと言い出して、帝都を巻き込む大祭典になってしまったのです。「お祭り騒ぎ編」ですね。

興味深いのは、ロォリィの過去が語られること。彼女はそもそもふつうの人間だったのが、どのようにして亜神となったのかがわかります。

中国を舞台にした仙人ロードノベル『僕僕先生』の主人公は美少女仙人で「人間が仙人になれるか」というのがひとつのテーマ。おなじファンタジーでも西洋風と中華風は(料理のように)味わいがちがっておもしろい。

お勧め度:★★★★☆

2016年9月 9日 (金)

ビブリア古書堂の事件手帖 6 〜栞子さんと巡るさだめ

ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~ (メディアワークス文庫)
ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ 』は、シリーズ第6弾。栞子が田中敏雄に階段から突き落とされて怪我を負った足は治らないまま、いまも杖をついています。それでも本を読むには不都合はないと気に病むふうもない彼女はいったい何を考えているのでしょうか。

保釈中の田中敏雄は、太宰治の別の『晩年』を捜してほしいと大輔を通じて依頼してきます。そこで「古書探偵・栞子」が調査を開始。古書を追っていくと、その作家も含めて、関わった人間の過去と歴史が明らかになっていきます。なんと恐ろしい!(古書が嫌いになりそう)

栞子と大輔の初々しいお付き合いはちょうどよい息抜きになっています。そろそろ7巻を出してもらえるとうれしいです。

お勧め度:★★★★☆

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