現代小説

2018年12月 7日 (金)

ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン (小路幸也)

ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン

ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン 』 はシリーズ13弾。しばらくぶりなので登場人物の名前が混乱してたり、語り手のおばあちゃんは女性を老いも若きも、かずみちゃん、かんなちゃんと「ちゃん」づけなのでなおさら混乱します。

冬:人と出会わばあかよろし
春:新しき風大いにおこる
夏:若さ故の二人の夏に
秋:ヘイ・ジュード

花陽は医大に合格できるのか。研人と芽莉依ちゃんとの仲はどうなの。気がかりはいくつもあれど、堀田家全員でかかれば、なんでもなんとかなるのです。堀田家と隣の藤島ハウスだけでは部屋が足りなくなってきたこともなんとかなるのでしょうか?

巻頭の人物相関図なくして読めなくなりつつあるのは、人間関係が複雑になりすぎてどうかと思うのですが、このシリーズはこのまま進むしかないのでしょう。本で読む「連続テレビドラマ」として。

お勧め度:★★★★☆

2018年11月22日 (木)

東京すみっこごはん 楓の味噌汁 (成田名璃子)

東京すみっこごはん 楓の味噌汁 (光文社文庫)
東京すみっこごはん 楓の味噌汁 』はシリーズ第4弾。

1. 安らぎのクリームコロッケ
2. SUKIYAKI
3. 楓の味噌汁

1話は、SNS映えを生きがいにする読者モデル瑠衣は、セレブな友人2人に合わせて無理を重ねて...というときに「すみっこごはん」と出会います。2話は、母子家庭で経済的に高校進学が難しい瑛太。3話が、板前の金子さんの弟弟子・晴彦なのですが、金子さんが「すみっこごはん」で彼を試すようなことをするのは反則。それは職場ですべきこと。しかも、その後の「事件」も辻褄あわせとしか思えません。

このシリーズは好きだったのですが、ここに来て無理な展開が目につき残念です。

お勧め度:★★☆☆☆

2018年11月19日 (月)

神無月のマイ・フェア・レディ 下鴨アンティーク 4 (白川紺子)

下鴨アンティーク 神無月のマイ・フェア・レディ (集英社オレンジ文庫)

下鴨アンティーク 神無月のマイ・フェア・レディ』 はシリーズ第4弾。

1. 星の花をあなたに
2. 稲妻と金平糖
3. 神無月のマイ・フェア・レディ
4. 兎のおつかい

慧の父親のことや、鹿乃が幼い頃に亡くなった両親の馴れ初めなど、野々宮家周辺の過去が明かされます。

4話では、明治はじめの京都の様子が描かれていて興味深いです。時代がちがえば、それだけで知らない街を旅するようで楽しい。

今度京都に行ったら緑寿庵清水で金平糖を買ってみよう!

お勧め度:★★★★☆

2018年11月 5日 (月)

本のエンドロール (安藤祐介)

本のエンドロール

本のエンドロール 』 は、本を印刷、製本する過程を紹介する本だと思っていたら、小説だったんですね。印刷会社の営業担当・浦本学が主人公の、お仕事小説です。

1. スロウスタート
2. 長篠の風
3. ペーパーバック・ライター
4. サイバー・ドラッグ
5. 本の宝箱

しかし、この主人公が、あえてそういうキャラにしてあるのは理解できるのですが、仕事ができない上に、とんでもないお人好しなのです。自分の力でなんとかしようとするのは立派ですが、自分で責任を持てないなら上司や先輩を巻き込むべきです。それなのに取引先と勝手に盛り上がって事後承諾になるから上司はたまりません。それでも許されるのですから、この印刷会社は「夢のような職場」です。

わたしにとっては非常にストレスの溜まる一冊でしたが、電子書籍の台頭と、ほんとうに印刷業界は斜陽産業なのかについては興味がありました。電子書籍の普及は価格がネックだと思います。AmazonのKindle本を見る限り、紙の本より若干安いだけ。印刷も流通も不要なのだから、もっと安くできるのにしない。安くすると紙の本が売れなくなるから出版社も安くしない。1,500円の新刊単行本を買って、古本として700円で売れれば、実質800円で読めたことになります。一方の電子書籍は再販できないので、明らかに値付けが高すぎます。価格が納得できないものは買いません。

また、作中でも触れてありましたが、わたしは紙の本で育ったので、紙に馴染んでいますし愛着があります。でも、幼い頃からタブレットで本を読む世代が育てば、また変わってくるのでしょう。22世紀には、印刷は過去の技術になっているかもしれません。

お勧め度:★★★☆☆

2018年11月 2日 (金)

下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ (白川紺子)

下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ (集英社オレンジ文庫)

下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ 』は、シリーズ第2弾。

1. ペルセフォネと秘密の花園
2. 杜若少年の逃亡
3. 亡き乙女のためのパヴァーヌ
4. 回転木馬とレモンパイ

2話で「杜若」と出たときに「ひょっとしたら」と能を連想し「井筒」と続いて確信しました。能が絡んでくるのがうれしい。京都、アンティーク着物、能、おいしい食べ物。着物のことは詳しくありませんが、わたしが好きな要素が詰まっていて、読んでいて楽しい。

主人公たちが通うのは同志社だな、とか、東寺の弘法市で、小柄な鹿乃が迷子になるのも無理はないとか、風景が眼に浮かぶのも楽しいのです。

今作では、4話がいちばん面白かった。不可思議度ナンバー1です。野々宮家の鹿乃と良鷹はさしづめ、古い着物についた物の怪を調伏する陰陽師のようです。

お勧め度:★★★☆☆
    

2018年10月30日 (火)

下鴨アンティーク アリスと紫式部 (白川紺子)

下鴨アンティーク アリスと紫式部 (集英社オレンジ文庫)

下鴨アンティーク アリスと紫式部 』 は、旧華族である野々宮家の娘・鹿乃が主人公。彼女は祖母から受け継いだ着物を愛用しているのですが、その着物は次々と不思議なことが起こります。

ずぼらなイケメン兄・良鷹と、大学准教授の下宿人・慧と3人暮らし。鹿乃は小学生の頃から慧を知っていて現在高校3年。京都を舞台に、ありえない不思議とほのかな恋物語を紡ぎます。

1. アリスと紫式部
2. 牡丹と薔薇のソネット
3. 星月夜

京都を舞台にした小説が好き。「あ、これは出町ふたばだな」「岡崎で能を見るなら京都観世会館だろうな」とか。演目は「熊野」と「石橋」かぁ。知っている場所が出てくるとうれしい。気軽に読めるので気に入ったのですが、外で読むには少女チックな表紙がちょっと恥ずかしい。

お勧め度:★★★☆☆

2018年10月26日 (金)

踊れぬ天使 佳代のキッチン (原宏一)

踊れぬ天使 佳代のキッチン
踊れぬ天使 』は「佳代のキッチン」シリーズ第3弾。

おいしいものと旅の風景を両方味わうことができるので、このシリーズは大好きです。今回は韓国から始まるから驚いのですが、釜山で「移動調理屋」をするわけではなく、観光旅行でした。

1. おみちょの涙
2. チャバラの男
3. ロングライド・ラブ
4. 踊れぬ天使
5. モンクス・ドリーム
6. カフカの娘

1話の「おみちょ」は金沢の近江町市場のこと。行きました。寒い時期だったのでカニだらけでした。高くて手が出なかったけれど。2話は藤枝市の茶畑が舞台。3話は佐渡島の自転車イベント、ロングライド。4話は群馬県大泉町のブラジル人との交流。5話は山形市でジャズピアノを聴きます。6話はついに稚内へ。しかも礼文島にも渡っちゃいます。いいなぁ、羨ましい。ぼくも稚内に行きたい!

ブラジル料理は想像できませんでしたが、あとは美味しそう。今後も期待しています。

お勧め度:★★★★★

2018年10月24日 (水)

雪の断章 (佐々木丸美)

雪の断章 (創元推理文庫)

雪の断章』は『ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~ 』で紹介されていたので鶴舞図書館で昭和50年の初版本を借りてきました。これ、活版印刷じゃないですか。

孤児の少女・飛鳥が、札幌中央通り公園で滝杷祐也に拾われ、養育され、大学進学を果たすまでの成長記であり、心の遍歴を記した物語です。ミステリーとしての殺人事件も起きますが、主眼はあくまで飛鳥の精神に置かれています。

飛鳥は5歳で孤児院から本岡家に引き取られ、そこで使用人以下の虐めに納得できず逃げ出したところを滝杷祐也と出会い、事情を聞いた彼は本岡家に電話するも「放り出していい」と言われ、やむなく自宅に泊めることにしたのですが...。

あとがきによると「飛鳥を生んだのは雪であり、少女へ、大人へと育てたのは美しい吹雪でした」。だから「雪の断章」なのですね。

思ったより面白かった。わたしは初めて知ったのですが、高校生くらいに読むといいかもしれません。

お勧め度:★★★★★

2018年10月13日 (土)

星をつなぐ手 桜風堂ものがたり (村山早紀)

星をつなぐ手 桜風堂ものがたり

星をつなぐ手』は『桜風堂ものがたり 』の続編。前作を読んでからお楽しみください。

序章 白百合の花
第一話 夏の終わりの朝に
 幕間1 カーテンの向こう
第二話 遠いお伽話
 幕間2 ケンタウロスとお茶を
第三話 人魚姫
 幕間3 Let it be
 幕間4 神様の手
終章 星をつなぐ手

冒頭、人気作の新刊が一冊も届かないと知った月原一整は慌てます。そこへ銀河堂書店のオーナーから呼び出しを受けて...。

欠けている部分に、あたかも用意されていたかのようにピースがハマっていくストーリー。予想外の展開はないから安心して読むことができます。誰かが怪我したり傷ついたりするんじゃないかとドキドキ、ハラハラするのは心臓に悪いという方には、お伽話のように沁みると思います。

お勧め度:★★★★★

2018年9月25日 (火)

サラバ! (西加奈子)

サラバ! 上 (小学館文庫)
サラバ! 』 に限らず、直木賞とか芥川賞とは距離(時間)を置く癖があるので、4年経ってようやく読んだのですが、非常にくたびれました。

はじめのうちは、ユーモラスな言い回しにクスクス笑いながら読めたのですが、その後も家族の紹介を通じて、延々と自分探しの旅が続くので何度挫けそうになったことか。

それでも、イランで生まれてエジプトで育ったという、異国の地での出来事はおもしろい。エジプトから帰国した母親の戸惑いが愉快。

「まず、スーパーの品数と清潔さに打ちのめされた。一時帰国のときは、宝物のように見えたそれらが、これから永遠に手に入るものだと認識してしまった途端、どうしようもなく贅沢で、ふざけたものに変わった。あらかじめ小さく切られたネギのパックを見て、母は「嘘やろ」と言い、レトルトの袋に書いてある「ここからお開けください」の矢印を見て「阿呆か」と言った。母が言うには、このままでは、日本人の手は退化し、脳みそも小さくなるに違いない、とのことだった」。

これはまったく同感です。日本の企業は日本人(顧客)を甘やかしすぎ。かまぼこや卵焼きくらい自分の手に包丁をもって切りなさい。中学高校入試に「生活力」という実技科目を加えるべきではないでしょうか。

お勧め度:★★★☆☆

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