現代小説

2018年8月21日 (火)

キラキラ共和国 (小川糸)

キラキラ共和国
キラキラ共和国 』 は『ツバキ文具店 』の続編です。鎌倉にある代書屋さんの鳩子さんが主人公。前作が好きだったので、続編も読みたい。

でも、図書館では300人が予約待ちしてて半年以上待たないといけません。予約できるのは6冊までなので、優先順位があって『キラキラ共和国 』はどうしても後回しになってしまう。

嵩張らず、外へ持ち出しやすい文庫本ならば買ってもいいのだけれど、単行本は嵩張るし、高い。読み終えた本が溜まってきたのでブックオフに持っていくと『キラキラ共和国 』があって「本が全品20%オフ!」とあったので思わず買ってしまいました。

・ヨモギ団子
・イタリアンジェラート
・むかごご飯
・蕗味噌

やっぱりいいなぁ。ほっこり、あったかい。おいしいものが出てくるのもいい。QPちゃんも可愛い!

ツバキ文具店の鎌倉案内 』も気になります。

お勧め度:★★★★★

2018年8月16日 (木)

泥濘 疫病神シリーズ (黒川博之)

泥濘 疫病神シリーズ

泥濘 』は「疫病神シリーズ」第7弾。

半堅気の二宮啓之は、またぞろ二蝶会のイケイケやくざ桑原保彦に巻き込まれてひどい目にあいます。毎度毎度懲りん奴や。あほらしなって一度本を閉じました。

二宮いわく、後悔も反省もじきに忘れて、喜怒哀楽が長続きしないらしいが、それだけじゃないだろう。桑原が他人から巻き上げた金でも、花札で買った金でも、二宮にとっては「稼ぎ」なのだ。この発想がおかしい。「変人」なのだから仕方ないか。

従妹の渡辺悠紀いわく「啓ちゃんはどこまで行っても桑原とは縁が切れへんねん。口では毛嫌いしているくせに、誘われたらのこのこついて行く。あげくに頭縫って足を捻挫して、傷が癒えたころにはひどいめにあったことをころっと忘れてる。ほんまにね、こんなに能天気でズボラな人間がほかにいるやろか。つくづく感心するわ」。

結局、ふたりとも相手を疫病神だと罵りつつ、いつもつるんでる。こういうのを世の中では「悪友」と呼びますね。別名「裏稼業凸凹コンビ」。

このシリーズは「水戸黄門」極道編。舞台は変われどパターンが決まってる。しかしリアリティがあるから、こんな連中が大阪を跳梁跋扈していると思うと空恐ろしい。

「疫病神、凶弾に倒れる」と帯に大書してあるけれど(残念ながら)主人公は死にません。しばらく病院でおとなしくしていればよろしい!

お勧め度:★★★☆☆

2018年8月11日 (土)

活版印刷 三日月堂 雲の日記帳 (ほしおさなえ)

活版印刷三日月堂 雲の日記帳 (ポプラ文庫)
活版印刷三日月堂 雲の日記帳』はシリーズ第4弾。読後「ずいぶん性急な展開だなー」と思ったら、これが完結編だとか。

1. 星をつなぐ線
2. 街の木の地図
3. 雲の日記帳
4. 三日月堂の夢

残念ながら、帯にあるように「号泣せずにいられない」ということはありませんでしたが、シリーズを通して、人と人のつながりで活版印刷が密かに広がっていく様子が面白かった。

おなじ川越を舞台にした新刊『菓子屋横丁月光荘 歌う家 』が楽しみです。

お勧め度:★★★★★

2018年7月 5日 (木)

土漠の花 (月村了衛)

土漠の花 (幻冬舎文庫)

土漠の花 』は、自衛隊の海外派遣を舞台にした物語。東アフリカのソマリア沖海賊の対策部隊派遣に伴い、ジブチの基地の警護と基地管理を担ったのが陸上自衛隊第一空挺団という設定のようです。そこへ多国籍軍のヘリが墜落した可能性があるので、その探索の依頼を受けて出動した先で、武装勢力の襲撃に遭い、隊長は無残にも殺され、ひとりの現地女性を救っての決死の脱出行が始まるのです。

冒頭から容赦ない殺し合い(戦争)に巻き込まれます。心臓の弱い人はやめたほうがいい。内戦状態の国へ派遣されたら「安全な場所」などないということがわかります。クルマが使えない状況で、基地までたどり着くことができるのか。無線さえあれば基地に救援依頼できるのに...。

絶望的な状況が続きますが「死んでたまるか」という根性を見せてくれます。隊員同士の確執や自衛隊内の暴力、自殺などについても語られ「そこはフィクションであってほしい」と思いつつ「ほんとにあるのかも」。暴力は嫌いです。だけど、そんなことを言ってたら殺される。

残酷なシーンは怖いので飛ばし読みしつつ、なんとか読了。予想どおり「犠牲者は救助活動中の事故死。戦闘はなかった」という「政治的配慮」がされて闇に葬られます。肝心なところでマスコミは無力です。

お勧め度:★★★★☆

2018年6月30日 (土)

グリフォンズ・ガーデン (早瀬耕)

グリフォンズ・ガーデン (ハヤカワ文庫JA)
グリフォンズ・ガーデン』は『プラネタリウムの外側 』の前日譚ということなので、こちらを先に読んでみました。

主人公は東京の大学院を出ると、札幌にある知能工学研究施設、通称「グリフォンズ・ガーデン」に就職したのです。しかも、由美子という恋人と共に。

物語は PRIMARY WORLD と DUAL WORLD が交互にあって、後者の世界での恋人は佳奈といいます。登場する女性はいずれも素敵で理想的。つまり、恋愛小説でもあるわけです。

合わせ鏡に映る鏡像を「無限」だという彼女に対して、主人公は「光はいつか消滅するから無限ではない」と主張し、さらに二人の会話が続くのがすごいところ。正しいかどうかは別として、彼らの会話はなかなか興味深い。それが本作の魅力でもあります。

さて、PRIMARY WORLD の主人公は、大学のバイオコンピュータ IDA-10 の中に「世界」を構築してみることにしたのですが、一体なにが起こるのか!?

あとがきを読んでびっくり。これはそもそも大学の卒論だったというのです。それが1992年に本になって、2018年に『プラネタリウムの外側 』が発表された。その間、2014年に『未必のマクベス 』という作品があります。いずれ読んでみたいと思います。

お勧め度:★★★★☆

2018年6月21日 (木)

ラストレシピ 麒麟の舌の記憶 (田中経一)

ラストレシピ 麒麟の舌の記憶 (幻冬舎文庫)
ラストレシピ 麒麟の舌の記憶 』は、皇居の料理人だった直太朗が第2次大戦中、満州で完成させたレシピを再現してほしいと依頼された“最期の料理請負人”の佐々木が主人公。

借金を抱える佐々木は高額の報酬に目が眩んで引き受けるのですが、手がかりは乏しいし、依頼主の意図が掴めないし、なにやら雲行きが怪しい...。

それって「究極のメニュー?」と思ったのですが、ちょっとちがうみたい。料理の物語なのですが、美味しい場面は少なく、どちらかというと「料理ミステリー」。現在と過去の場面が交互に出てきて、テンポよく進みます。

作者がやたら料理にくわしいので、他に著書がないかと調べたらなくて、なんとTV番組「料理の鉄人」の演出家だったそうです。納得!

お勧め度:★★★☆☆

2018年6月10日 (日)

トッカン 徴収ロワイヤル (高殿円)

トッカン 徴収ロワイヤル
トッカン 徴収ロワイヤル 』は「トッカン」シリーズ第4弾。

1. 幻の国産コーヒー
2. 人生オークション
3. 徴収官のシャランラ
4. 五年目の鮭
5. 招かれざる客と書いて本屋敷真事と読む
6. 対馬ロワイヤル

主人公の「ぐー子」も鏡トッカンに鍛えられて、ひとりで動けるようになってきました。トッカンに一喝されて「うぐっ」と固まってしまうことなく言い返せるようになってきました。同僚の木綿子いわく「もう徴収に敵はいないんじゃない?」。

そんなぐー子ですが、1本150円のペットボトル飲料代を節約するためにオフィスの冷水機にかじりつき、150x5=750円でケーキを買うことを楽しみに生きてる小市民なのでした。

「雑誌やネットの記事がごはんものであふれかえるはずだ。もっとも身近で、もっとも手軽でもっとも安価に人を幸福にできるのはおいしいごはんなのである。(そうだ。肉だ。コンビニ飯食ってる場合じゃない!)」

しかし、昼はコンビニ「コーヒー+からあげ」、夜はコンビニ「スイーツ」。なんだか随所に妙なリアリティを感じてしまいます。作者は最後に「この作品はフィクションです。本当に本当にフィクションです」。なんだか怪しい。

お仕事小説としてはイチオシ! まちがいなく笑えます。(それでいいのか!?)

お勧め度:★★★★★

2018年6月 7日 (木)

海の見える理髪店 (萩原浩)

海の見える理髪店
海の見える理髪店 』 は直木賞をとった短編集。

1. 海の見える理髪店
2. いつか来た道
3. 遠くから来た手紙
4. 空は今日もスカイ
5. 時のない時計
6. 成人式

表題作は「よくしゃべるおやじだなぁ」と思っていたら、それがそのまま小説のストーリーになってる。淡々としていて、重い。

他の短編も、生活感が濃く漂っていて、読んでいて憂鬱になってきます。残念ながら、わたしの好みではありませんでした。

お勧め度:★☆☆☆☆

2018年6月 4日 (月)

遺譜 浅見光彦 最後の事件 (内田康夫)

遺譜 浅見光彦最後の事件 上 (角川文庫)
遺譜 』は「浅見光彦最後の事件」というサブタイトルに惹かれて読んでみることにしました。以前『不等辺三角形 』を読んで、他の「浅見光彦シリーズ」も読もうかと思ったら100冊以上あって断念したのです。

わたしが子供の頃、母親が「(同い年の従姉妹とちがって)うちの子は推理小説を読まない」と心配していたのを覚えています。たぶんホームズとかクリスティとかのことでしょう。最近わかったのですが、わたしが嫌いなのは推理小説ではなくて(フィクションとはいえ)人が殺されることなのです。小説でも漫画でも映画でも「殺人」が軽すぎます。

それでも本作は気になって上下巻読んでみました。浅見光彦シリーズは2作目でしかありませんが、主人公は控えめで探偵気取りではないところがいい。本作でいえば、オーストリアからドイツ、神戸、丹波、篠山としっかり取材されたようで、旅行記としても楽しめます。

「その辺りに、石の文化を持つヨーロッパと、木と紙の住居文化の日本との相違を感じる」とさりげないフレーズに思わず相槌を打ってしまうこともあります。そう、なぜ日本の建築は木だったのでしょうか。すぐに燃えてしまうのに。と、脱線できるところも魅力です。

お勧め度:★★★★☆

2018年6月 1日 (金)

名古屋駅西 喫茶ユトリロ (太田忠次)

名古屋駅西 喫茶ユトリロ (ハルキ文庫)
名古屋駅西 喫茶ユトリロ 』 は、ちょっと懐かしい喫茶店が舞台の、ご近所グルメ小説です。近年コメダやスタバなどのチェーン店が増えてきて、個人経営の古い喫茶店が減ってきたのは寂しい。太田忠次は名古屋在住の作家さんなので、名古屋の風景をリアルに描いてくれます。

1. 手羽先唐揚げと奇妙なイタズラ
2. カレーうどんとおかしなアフロ
3. 海老フライと弱気な泥棒
4. 寿がきやラーメンと家族の思い出
5. 鬼まんじゅうと縁結びの神
6. 味噌おでんとユトリロが似合う店

カレーうどんもいいけれど、それより味噌煮込みうどんやあんかけパスタじゃないのかなぁ。わたしは大阪出身で、東京と名古屋で暮らした経験から、食べ物がおいしい(好みに合う)のは大阪。ただし、お金さえ出せば東京ではおいしいものが食べられる。名古屋は特筆すべきグルメはないものの、おいしいもの、おいしい店はあります。

おいしいものを食べれば幸せになれます。幸せ探しはどこに住んでいてもできるはず。だからグルメ小説は好きです。

お勧め度:★★★☆☆

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