戦争関連

2016年6月21日 (火)

帰ってきたヒトラー (下) (ティムール・ヴェルメシュ)

帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)
帰ってきたヒトラー 下 』は、テレビやネットで有名人となったヒトラーの「怪」進撃が描かれます。ヒトラーとの会話はことごとく噛み合わず、失笑するしかありません。極右政党の党首でさえ、ヒトラーにかかれば一刀両断。こういうのを痛快だと感じてしまうのでしょうか。

19章 新聞の一面に載る
20章 謎の女
21章 〈ウサギ耳の犬〉という名のキツネ
22章 あなたはナチスなの?
23章 極右政党本部への突撃取材
24章 孤独なクリスマス
25章 検察に突き出されるぞ!
26章 〈ビルト〉紙への反撃
27章 〈ビルト〉紙の降伏
28章 グリメ賞の受賞
29章 真実
30章 彼が帰ってきた
31章 狂乱のオクトーバーフェスト
32章 陰謀の真相
33章 ネオナチの襲撃
34章 入院の顛末
35章 英雄の本
36章 また歩き出す

フィリピン然り、アメリカ然り、票が集まるということは人間的には魅力があるのかもしれませんが、その主張は狂気の沙汰に思える点が多々あって、他国のことながら心配になります。いつになったら人間同士で殺し合うのをやめるのでしょう?

そう考えると、復活したヒトラーに居場所などないと思うのはわたしだけでしょうか。

お勧め度:★★☆☆☆

2016年6月19日 (日)

帰ってきたヒトラー (上) (ティムール・ヴェルメシュ)

帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)
帰ってきたヒトラー 上 』は「自殺したはずのヒトラーが現代のドイツに蘇ったら」というフィクション。

戸惑い、放浪するヒトラーを、周囲は「そっくりさん」だと思い、コメディアンとしてテレビ出演までするのです。実際、本物ですから、言うことは大きくズレているのですが、最初は笑っていた人も「一理ある」と思うようになり…。

序章 ドイツで目覚める
1章 2011年8月30日————ヒトラー復活
2章 おたくはアドルフ・ヒトラーに見えるよ
3章 ガソリン臭い制服
4章 ただひとり、私だけの力で
5章 ねえ、サインもらえない?
6章 そのメイキャップはご自分で?
7章 あきれたテレビ
8章 プロダクション会社に採用
9章 ほんとうの名前
10章 骨の髄まで芸人
11章 ドイツ式敬礼、知ってます
12章 アドレス設定狂想曲
13章 愚劣な政治家ども
14章 ふたたび表舞台へ
15章 総統に乾杯!
16章 ユーチューブに出ているんですよ!
17章 アクセス数が70万回を超えました!
18章 お嬢さん、泣かないでくれ

現代ドイツの社会を知る人(つまりドイツ人ですね)はよくわかるのでしょうけれど、ナチの歴史と現代ドイツ事情に詳しくないもので、いまひとつピンと来ませんでした。

お勧め度:★★★☆☆

2016年3月18日 (金)

翼をください (原田マハ)

翼をください

翼をください 』は、アメリカ・カンザス州アチソン生まれの女性飛行機乗りエイミー・イーグルウィングが世界一周を目指し、日本から国産飛行機「ニッポン」号がカメラマン山田順平を乗せて飛び立つ。飛ぶことに自由と平和を求めた先達たちの冒険譚です。

毎日新聞の社用機で世界一周したという「ニッポン」号はフィクションかと思ったら実在したのですね。一方のエイミー・イーグルウィングは、アメリア・イアハートという、こちらも実在した人物がモデルらしい。この二者の邂逅がフィクションになっています。たしかに、そのほうが面白い!

1930年代、ヨーロッパではナチスドイツによるゲルニカ空爆が起こり(ピカソが怒り)、日本は満州で関東軍が暴走。いつ戦争が起きてもおかしくない状況のなかで、民間機が世界一周とは勇気があるというか無謀というか、毎日新聞はたいしたものです。驚きました。

戦争前夜の暗雲をも飛び越えるような、飛行機乗りの冒険譚としてはよくできているのですが、わたしにはいささか出来過ぎで、少々物足りなく感じました。ただ、さすがにきれいにまとまっているので読みやすいかと思います。

お勧め度:★★★☆☆

2014年8月18日 (月)

宣戦布告 (麻生幾)

加筆完全版 宣戦布告 上 (講談社文庫) 加筆完全版 宣戦布告 上』は、北朝鮮の工作員が密入国し「すわ戦争勃発か!?」という事態に日本政府がオタオタするという小説。

面白そうだと思って鶴舞図書館で借りてきたのですが、冒頭、2枚の写真の人物が同一人物だと判断できるというだけのことを、科捜研の博士が延々しゃべる下りで挫折。うしろのほうのページをぱらぱら繰ると、霞ヶ関の役人たちが「それは無理だ」「うちでは対応できない」と逃げ腰、弱腰、責任逃れに終始している様子。あきれ果てて本を閉じました。日本は戦争したら負けます。やめたほうがいいです。

ただ、気になるので機会をあらためて読んでみようと思います。

2014年7月25日 (金)

海賊とよばれた男 (百田尚樹)

海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)

海賊とよばれた男(下) (講談社文庫)
海賊とよばれた男』は『永遠の0』の百田尚樹の経済歴史小説。出光興産の創業者・出光佐三をモデルに、国岡商店の国岡鐵三の生涯を描いています。海賊というからタンカーで外洋を荒し回ったのか思ったら、関門海峡を油売りの伝馬船で漕ぎ回ったことを指すようです。海賊はちょっと大袈裟ですけど、キャッチとしては秀逸。

上巻は、1945年8月15日、敗戦で海外拠点をすべて失い、戦地から戻って来る店員(社員)をひとりも首にすることなく迎えるため、なりふり構わず生き残りを図ります。それはまさに死ぬより苦しい闘いの始まりだったのです。

経済小説とはいえ、感動的。涙なくして読めません。恐ろしくて電車の中では広げることができません。池井戸潤の『空飛ぶタイヤ 』や『下町ロケット 』も感動しましたが、国岡鐵三の迫力にはかないません。

優秀な店員をはじめ、多くの人たちに助けられてのこととはいえ、何度も絶望の縁に追いつめられても、消費者のため、日本のためを第一に、自身の正義を貫いた男の姿は感動的でした。

この本は以前から気になっていたのですが、社会人一年生の長男が「読みたい」というので、文庫本になると同時に購入しました。見事に一気読み!

お勧め度:★★★★★

2014年2月17日 (月)

ジェノサイド (高野和明)

ジェノサイド 上 (角川文庫)

ジェノサイド 下 (角川文庫)
物騒なタイトルゆえ敬遠していたのですが面白かったのでご紹介します。超大国アメリカのエゴが人類の存続を危うくする、という大迫力のエンターテイメント小説。その背景にあるのが、かつて発表された「ハイズマンレポート」。これは、現世人類が絶滅する原因をまとめたもの。
  1. 宇宙規模の災害
  2. 地球規模の環境変動
  3. 核戦争
  4. 疫病、ウイルスの脅威及び生物兵器
  5. 人類の進化
1から4まではわかりますが、5がなぜ人類絶滅につながるのか。そこがこの小説のポイントです。レポートをまとめたハイズマンが後年語った言葉が印象的。

ハイズマン「現政権だけじゃない。私は権力者が嫌いだ。あいつらはいわば必要悪だが、それにしても度が過ぎている。もっと言えば、私は人間という生物が嫌いなんだ」
聞き手「なぜです?」
ハイズマン「すべての生物種の中で、人間だけが同種間の大量殺戮を行なう唯一の動物だからだ。それがヒトという生き物の定義だよ。人間性とは、残虐性なのさ。かつて地球上にいた別種の人類、原人やネアンデルタール人も、現世人類によって滅ぼされたと私は見ている」(中略)
ハイズマン「現在、地球上に生きている65億の人間は、およそ100年後には全員が死に絶える。なのに、なぜ今、殺し合わなければならないんだろうな?」

怒りに任せて核ミサイルのスイッチを押しかねないアメリカ大統領が手玉に取られるところは痛快無比。人間は、地球を破壊しかねない、どうしようもなく愚かな生き物かもしれないけれど、「ジェノサイド」を乗り越えて精一杯生きていこうと思わせてくれる一冊。わたしは面白かったけれど、 ある意味、理系礼賛小説なので好みが分かれると思います。

お勧め度:★★★★★

2012年6月17日 (日)

日輪の遺産 (浅田次郎)

戦争が終わることがわかっているのに死んでいった人たちがいます。『終戦のローレライ』(福井晴敏)も終戦直前の話ですが、浅田次郎のほうが人間味に溢れていて、わたしは好きです。この『日輪の遺産』を読み終えて、もう一度最初の序章を読み返すと泣けてきました。戦争は外交の手段だという政治家がいますが、それは最低最悪の手段。太平洋戦争は日本にとって外交手段ですらなかったことが馬鹿げていて不幸です。

陸軍がフィリピンでマッカーサーから奪った200兆円は、敗戦後の日本を復興するための資金。それを占領軍から隠し、守るために人生を、命を捧げた人たち。ある老人が競馬場で偶然出会った不動産屋に一冊の手帳を託して死んでしまいます。そこへ、その老人が間借りしていたアパートの大家が出てきて…。

戦後、わたしたちが享受してきた平和を遺した人たちに想いを馳せる一冊です。

お勧め度:★★★★☆

2012年6月15日 (金)

終戦のローレライ 1 (福井晴敏)

太平洋戦争末期、昭和20年、連合軍に降伏したナチスドイツから1隻の潜水艦が特殊兵器”ローレライ”を搭載して日本へ向かっていた。ところが米潜水艦の攻撃を受け”ローレライ”を放棄したのだった。日本に到着した潜水艦は伊507と名を変え、五島列島沖に沈んだ”ローレライ”探索に向かうことになったのです。

講談社文庫版は全4巻あり、この1巻ではローレライとは何かについては明かされません。”ローレライ”探索の極秘任務に巻き込まれる男たちが描かれます。1巻は約250ページと比較的薄いので気軽に読めたのですが、2巻以後は読み応えがありそうです。

『亡国のイージス』は上巻の序盤で(テロリストが盗み出した化学兵器?をアレ呼ばわりするばかりなのに嫌気がさして)挫折したので不安です。おまけに漢字が多く、文字の密度が半端じゃないので読みづらいです。

お勧め度:★★★☆☆

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2011年2月 9日 (水)

あの戦争は何だったのか~大人のための歴史教科書 (保坂正康)

1945年から60年後、2005年に発行された本書の性格は著者自身がつぎのように書いています。

「太平洋戦争を正邪で見るのではなく、この戦争のプロセスに潜んでいるこの国の体質を問い、私たちの社会観、人生観の不透明な部分に切りこんでみようというのが本書を著した理由である。あの戦争のなかに、私たちの国に欠けているものの何かがそのまま凝縮されている。そのことを見つめてみたいと私は思っているのだ。その何かは戦争というプロジェクトだけではなく、戦後社会にあっても見られるだけでなく、今なお現実の姿として指摘できるのではないか。
戦略、つまり思想や理念といった土台はあまり考えずに、戦術のみにひたすら走っていく。対症療法にこだわり、ほころびにつぎをあてるだけの対応策に入りこんでいく。現実を冷静に見ないで、願望や期待をすぐに現実に置きかえてしまう。太平洋戦争は今なお私たちにとって”良き反面教師”なのである。」

歴史を振り返ったときに、太平洋戦争への始まりとなった事件はなにで、直接のきっかけを作ったのは誰なのか。「父が子に教える昭和史~あの戦争36のなぜ?」(半藤一利 他)という解説集のような本のつぎに読んだこともあって、戦争に至る経緯を著者の考えで1冊にまとめてあるという意味で興味深いものでした。「大人のための歴史教科書」というよりも「副読本」といったところでしょうか。

なぜ戦争を避けることができなかったのか。なぜ無謀な戦闘が繰り返されたのか、といった疑問に対する答えが知りたくて、最近戦争関連の本を読んでいるのですが、限定的な意味での責任者はいても、単純なわかりやすい答えは見つかりそうにありません。そもそも戦争に勝つための条件(目標)が曖昧で、天皇がどうの、内閣がどうの、軍部と右翼がどうのと、国内の勢力闘争に明け暮れ、国家戦略もなく、無闇に戦線を拡大して自滅していく…。翻って現代日本はどうか、ということをじっくり考えてみる必要があるでしょう。

 お勧め度:★★★☆☆

2011年2月 3日 (木)

父が子に教える昭和史~あの戦争36のなぜ? (半藤一利 他)

「落日燃ゆ」(城山三郎)を読んで、満州事変から東京裁判まで「ここをもうすこし詳しく知りたい」と思っていた「痒いところ」に手が届く本。手軽な参考書としてお勧めです。

  1. 昭和恐慌
  2. 満州事変
  3. 二・二六事件
  4. 戦前暗黒史観
  5. 南京事件
  6. 朝鮮統治
  7. ノモンハン事件
  8. 日独伊三国同盟
  9. 従軍慰安婦
  10. 新聞の責任
  11. 海軍善玉説
  12. エリート参謀
  13. 真珠湾奇襲
  14. 零戦
  15. 戦艦大和
  16. 特攻
  17. 戦場の兵士
  18. 原爆投下
  19. 東条英機
  20. 昭和天皇
  21. 無条件降伏
  22. 引揚げ
  23. シベリア抑留
  24. 北方領土
  25. マッカーサー会見
  26. 闇市
  27. 皇族と華族
  28. 人間宣言
  29. 日本国憲法
  30. 民主主義
  31. 東京裁判
  32. 共産党
  33. 朝鮮戦争
  34. 天皇退位
  35. 吉田 茂
  36. 講和条約

一部納得のできない記述もありますが、本でも新聞でもそこに書いてあることを鵜呑みにしてはいけません。正しいと思われる情報を集めたうえで自分の頭で考えましょう。我が家で「父が子に教える」のはそういうことです。

お勧め度:★★★★☆

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