文化・芸術

2018年10月 8日 (月)

名古屋で文楽 義経千本桜(道行初音旅) 新版歌祭文(野崎村の段) を観てきました

2018年10月5日に名古屋市芸術創造センターで行われた文楽公演(夜の部)を観てきました。

中日文楽がなくなって、わたしが知る限り、名古屋市での文楽公演はここだけになりました。そのおかげで満員御礼。2階席のうしろのほうなので舞台が遠いけれど、双眼鏡持参なのでダイジョーブ。

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「義経千本桜」は初めて。舞台背景は桜が満開です。「道行初音旅」って有名らしいけれど、どんなものかと思ったら、艶やかで賑やかなミュージカルでした。(笑)

静御前は勇ましいイメージがあったけれど、ここではお姫様。静御前がもつ初音の鼓にされた両親を追ってきた小狐が(って、そうそう、そういう話がありましたっけ)義経の忠臣・佐藤忠信に化けて、義経がいる吉野山へ向かうのでした。

太夫3人が登場人物を謡い分け、三味線カルテットが盛り上げます。舞台左手に字幕装置が立っていますが、ストーリーはどうでもよくて、謡と人形と三味線の世界を楽しみます。途中、静御前が投げた扇を、佐藤忠信がパッと受け取るシーンがあり「え?」。一瞬、なにが起こったのかわからず「おぉ、すごーい。サーカスみたい!」。文楽って時々サプライズがあって楽しい。

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15分の休憩をはさんで「新版歌祭文」は「野崎村の段」。床はいつもの太夫と三味線ひとりずつに戻って「あぁ、これだ」。太夫が複数の登場人物のセリフを謡い分けます。

久松とふたりの娘の義理と愛情の駆け引き。丁稚奉公先の油屋のお嬢さん・お染めと、義父・久作の娘・おみつ。久作が久松とおみつの祝言を挙げさせようとしているところにお染めが現れ、おみつが邪険に追い払おうとするのですが、席を外した隙にふたりが会ってしまい...。

いちばんうしろの席から観ていて「やっぱり(能よりも)文楽のほうが人気があるんだな」。能がいちばん地味で、文楽より派手なのが歌舞伎。文楽は面白いけれど、目のやり場に困ります。字幕を見ていると舞台が見れない。床を見ても人形から目が離れる。とかく疲れます。字幕を頼らないのが理想なのですが、そのためには同じ演目の2回目以降でないとむずかしい。

名古屋では、能は毎月なにかしら舞台があるけれど、文楽は年に一度。大阪の国立文楽劇場まで足を伸ばせばチャンスが増えるけれど、あそこの椅子はお尻が痛い。普段は能、たまに文楽、いつかは見たい御園座歌舞伎ってね!

2018年9月25日 (火)

姫町能の「道成寺」を観てきました

おおきな釣鐘が登場する「道成寺」は一度観てみたいと思っていたのです。

しかし、いちばん安いB席の前売りが1万円はちょっと高い。さらに、わたしが好きな笛の藤田六郎兵衛さんが6月に他界され、ショックで気が抜けてしまいました。わたしを能に引き込んだのは、あの笛の音だったのです。

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しかし、二日前になって「せっかくのチャンスだから」と思い直し、ネットからチケットを予約。当日、前売料金で入ることができました。姫町財団設立記念公演が、藤田六郎兵衛さん追悼公演になってしまいました。あぁ、あの笛が二度と聴けないなんて返す返すも残念です。一方「道成寺」の小鼓は、人間国宝の大倉源次郎さん。『大倉源次郎の能楽談義』を読んで以来、聴きたかったので楽しみです。一流の能楽師、囃子方を間近で見ることができるのも能の魅力です。

午後1時半開演かと思いきや、まず解説が入ります。これが長くて、能「千手」が始まったのは1時55分。5時半終了予定は大丈夫なのか。それと名古屋能楽堂定例公演では無料のイヤホンガイドが有料でした。(1000円払って借りて、返却時に500円バック)

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「千手」は、一ノ谷の合戦で敗れた平重衡が鎌倉に護送され、せめてもの慰めにと酒宴がもようされ、そこへ遣わされた千手の前と重衡の心の交流を描きます。

意外に長かったからか休憩が入ります。その後、狂言「萩大名」。愚鈍な大名は31文字の短歌すら覚えることができず、太郎冠者(召使い)が必死にフォローするのですが...。狂言は(能とちがって)なにを言っているのかわかるし笑えるので、深刻なストーリーの能の合間には気分転換にもなります。

その後の仕舞2本は退屈。次の舞囃子「安宅」に登場した囃子方を見て「あ、大倉源次郎さんだ!」。背が高いなぁ。わたしはシテ方より囃子方が気になるので仕方ありません。堪忍してください。大倉源次郎さんの右手が柳の枝みたいに動いています。双眼鏡で見ると指がすごく長い。それがパラパラと自在に動いて、指の腹や先を巧みにつかって鼓を打ちます。なんかすごい!

「道成寺」では、まず狂言方が作り物の鐘に太い竹を通して4人で運んできます。高さが170cmほどあるので竹を頭上に掲げなければならず辛そう。舞台中央に置くと、今度は天辺に結んであるロープをほどいて、天井の輪っかに通します。天井まで5mはあるだろう輪っかにどうやって通すのか。「まさか梯子を立てるわけにもいかないだろうし」と思っていたら、長い竹竿が2本持ち込まれました。作法があるのか、持って回った手順を踏んで一方の竿の先にロープの先端を挟んで、ひとりがそれを輪っかに通したところをもうひとりが先端を掴んで引きおろします。ここで思わず拍手が湧きます。(笑)

そのロープをシテ方が5人がかりで引っ張って鐘を引き上げます。以前「バックステージツアー」で骨組みだけの鐘を見ましたが、その状態で60kgはあるとのこと。つまり、いまは70kg以上? 「動滑車を使えば半分の力で上がるのに」って、そういう問題ではありませんね。

圧巻は、白拍子に化けた大蛇が道成寺の新しい釣鐘の法要に潜り込んで舞を舞うシーン。大鼓につづいて、小鼓がシテ方のほうに向きなおり「一騎打ち」を繰り広げます。ふだんは涼しい顔で鼓を打っている大倉源次郎さんの表情がおおきく動きます。「あぁ、小鼓が見えないから白拍子さん、ちょっと移動してくれないかな」。舞うといいつつ、ほとんど動かないから、能を見ながら寝てしまう人がいるのも無理ありません。寝不足は能鑑賞の敵です。

「鐘入りは危険で、間違えると大怪我をする」と聞いていたので、鐘が落ちる瞬間に飛び込むのかと思ったら、上のパンフレットの写真のように、シテがちゃんと鐘の下に入ってから、ゆっくり鐘を下ろし、あと数十センチのところでドンっと落とすので危険はありません。鐘の下端にはクッションが入っているので軟着陸。それを舞台では「雷が落ちたのか!?」と大騒ぎ。

鐘のなかで衣装替えをするようですが、間狂言が終わったのが25分後。鐘の中は暑くないのかな。舞台の照明は結構熱いのです。

ともあれ、たいへん見ごたえのある曲でした。ありがとうございました。

ちなみに、すべて終わったのは午後6時15分でした。

追記:名古屋能楽堂へ足を運んだときには、ロビーで能などのチラシを探します。面白そうで、開催日時が都合のよいものを探すと、ネットよりもヒット率が高い。そこで見つけたのが、10月5日に名古屋芸術創造センターで行われる文楽(夜の部)「義経千本桜」道行初音旅と「新版歌祭文」野崎村の段。気づくのが遅かったけれど、名古屋能楽堂の事務室で調べてもらったら、まだいくらか席が残っていたのでチケットを買って帰りました。久しぶりの文楽なので楽しみです!

2018年1月 3日 (水)

作家と楽しむ古典 (池澤直樹、他)

作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首
作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首 』 は「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」で新訳を手がけた作家の講義をまとめた一冊。

わたしもこの日本文学全集で初めて読破した「平家物語」「枕草子、方丈記、徒然草」があり、それぞれの作家の苦労と工夫がわかって楽しい。ただ「古事記」はいまだに読破できずにいます。

・古事記 池澤夏樹
・日本霊異記・発心集 伊藤比呂美
・竹取物語 森見登美彦
・宇治拾遺物語 町田康
・百人一首 小池昌代

お勧め度:★★★★☆

2017年12月29日 (金)

新しい分かり方 (佐藤雅彦)

新しい分かり方

新しい分かり方 』 は「ピタゴラスイッチ」の仕掛人が書いた本ということで読ませてもらいました。広告、TV CMを含む表現と教育の世界で追求してきた「伝え方」と「分かり方」をまとめてあります。約250ページ中、冒頭からカラーを含む図版がつづき、最後の約50ページがエッセイです。いろんな「仕掛け」があって楽しい本です。

たしかにユニークな視点や切り口には興味を引かれますが、読後感としては、学校の先生の話を聞いているようで、ちょっと肩が凝りました。

お勧め度:★★★☆☆

2017年8月10日 (木)

新全訳古語辞典 (大修館書店)

新全訳古語辞典
新全訳古語辞典 』 は、先日の京都観世会館で行われた林定期能の際に、事務所でいただいてきた会報誌8月号に紹介記事が載っていたのを見て買ってしまいました。

古語辞典を持つのなんて高校以来でしょうか。あいうえお順に古い言葉の意味が並んでいるものだとばかり思っていたら、いまはちがうんですね。付録が充実しています。

雑誌じゃあるまいし、付録なんて。と思いますよね。でも、ほんとです。

付録1:名歌名句事典
付録2:古語ウォーキング事典
付録3:古典文学事典

能には和歌もよく出てくるから付録1は重宝しそう。三条大橋から日本橋までの東海道の宿場ごとにコラムがあって古語にまつわるあれこれがわかってしまう付録2。古事記に始まり、伝奇物語は「竹取物語」、歌物語は「伊勢物語」「大和物語」、日記・紀行は「土佐日記」「蜻蛉日記」など全体を見渡すことができる古典文学MAPと古典人物MAP。

「引く」だけの辞典ではなく「読む」「見る」「知る」楽しみのある辞典です。

お勧め度:★★★★★

2017年8月 1日 (火)

平成29年 第4回 林定期能を(京都観世会館で)観てきました!【後編】

前編からつづく)

犬も歩けば棒、ではなく「みたらし祭り」に行き当たってラッキーでした。たしかに暑気払いになりましたし、あとは息災であれ、と祈るばかり。

下鴨神社から糺ノ森を抜けて出町柳まで戻って来たところで、駅前の「ベーカリー柳月堂」に寄ってくるみパンをゲット。くるみがたくさん入ってておいしい。

林定期能の会場である京都観世会館は岡崎にあって、そこまで市営バスで行くつもりだったのですが、出町柳のバスターミナルは乗り場がわからず、京阪電車で三条まで行くことにしました。

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iPhone の「Y!乗換案内」で「地図」を選択すると「案内」してもらうこともできます。

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スマホに案内してもらうまでもなく京都観世会館に到着。しかし、11時20分の開場までは中に入れないみたい。暑い屋外で待っていても仕方ないので、早めのランチにしましょう。

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疎水端のベンチで「ふたば弁当」を広げます。出町ふたばで買った赤飯とデザートの豆餅が2個。おかずはファミチキ。お茶はサーモスに入れてあるし、割り箸もつけてもらいました。これが京都ならではの「お弁当」です。ファミチキはおかしいだろうと自分でも思いますが、普段は食べないものなのでOKとします。久しぶりの豆餅は旨い! この素朴なしょっぱさと甘さのハーモニーがたまりません。ふたつも食べたらお腹いっぱいなのだけれど、シアワセ〜!

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事前に電子メールで「林定期能チケット申込み」として連絡しておけば、当日受付で代金とチケットを引き換えてもらうことができます。手軽に前売券を申し込むことができるので助かります。

本日の公演は能「俊寛」「百万」「天鼓」の3曲と狂言「口真似」、それに仕舞3曲という豪華ラインアップ。12時開演、17時半終演予定ですから、休憩時間を除いて実質5時間。これで全自由席4,000円はリーズナブルだと思います。

この能楽堂には2階席があります。2階席からだと橋掛りから舞台までが一望できるので、ここで観ることにしました。先客の方とあれこれ話しているうちに開演前の演目解説が始まりました。

「俊寛」は『平家物語』で、クーデターを企んだ俊寛僧都が鬼界ケ島に流されたお話。「そこの白川通の向こうのノートルダムの脇の道をずっと上っていくと鹿ケ谷なんです」って、身近に当時を偲ぶ場所があって、京都で観る能というのは一味ちがいます。以前「名古屋片山能」で観た「融」なんて、ここで観たらもっとリアルでしょうね。

3曲の紹介が終わると「俊寛」が始まります。ところが、成経と康頼に続いて俊寛が鬼界ケ島に流されてきたんだなぁ、と思ったら、俊寛だけが島に取り残されていました。あれ、わたし寝てました? やはり寝不足はいけません。失礼しました。

続いて狂言「口真似」です。主人が太郎冠者にむかって「酒の相手を探して来い」と申しつけ、連れてきた相手が実は酒癖が悪い。かといって追い返すわけにもいかず、太郎冠者がうまく話をつけられるはずもないので、主人は「わたしの言うとおりにせよ」。すると、主人が召使いに命じるままに、太郎冠者は客人に命じます。主人が頭に来て手を上げれば、客人を殴る始末。ここまで徹底した「口真似」をやるとは、狂言恐るべし!

能の2曲目は「百万」。これは女性の名前で、我が子を探し求める芸能者の物語。とにかく子方がかわいい。切戸口を屈まずに通った人を初めて見ました。シテの舞も素晴らしく、見応えがありました。

その後、仕舞が3曲。わたしはこれまで「仕舞は退屈でつまらない」と思っていました。でも、出町柳の LIGHT UP COFFEE で浅煎り豆のコーヒーをいただいて「自分の好みじゃないと思っていたけれど、味わい方で楽しめそう」と思ったのです。仕舞もおなじ。そう思って観ると仕舞もそれぞれ趣がありました。

さて、最後に「天鼓」です。天から降ってきた鼓を打つ少年が天鼓。中国の帝が鼓を献上するよう命じたのですが天鼓は拒んだため、捕らえられ河に沈められてしまいます。その後、鼓は誰が打っても鳴らないため、天鼓の父親に打たせたところ、素晴らしい音を出したのです。帝が天鼓を沈めた場所で法要を行ったところ、天鼓の霊が現れて鼓を打ったというお話です。

公演のパンフレットの写真が「天鼓」の後シテです。煌びやかな衣装が眩しかった。2階席から観ていると、全体を見渡すことができ、シテ、ワキ、囃子方、地謡までが一体となって舞台を盛り上げていることがわかります。とくに今回、地謡の低音がよく響いていてよかった。3曲で囃子方は毎回変わり、大鼓の音色にも個体差があることがよくわかりました。打ち方、響き方に好みはありますが、能の一部だと思ってみれば、よくまとまっていたように思います。「天鼓」の最後の場面では「来るぞ、来るぞ…来た〜よしっ!」。最後がすべてピタッと決まったのです。これは感動ものです。立ち上がって拍手をしたかったのですが、マナーに反するようなので我慢しました。

原則、その日一回限りの能舞台。うまくいくときもあれば、うまくいかないときもある。でも、すばらしい一瞬のために能楽堂に足を運ぶのです。

京都の大学を出た長男に「京都に能を観にきたよ」と知らせたら「夏の京都、熱中症に気をつけて」。はい、スマホに警告が届いてます。でも、能楽堂の中は寒いくらい冷房が効いてます。

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チケット申し込みメールの返信に「会場内は冷房が強めに設定されています。 羽織るものをご持参ください」と教えていただいて助かりました。女性は長袖を羽織っている方が多く、わたしも「天鼓」の頃には寒くなってきました。

会場をあとにするまえに「京都観世会館会報誌」の年間購読(1200円)を申し込んで、8月号をいただきました。基本的に「演能カレンダー」ですが、毎月郵送してもらえれば、また京都に遊びに行くきっかけになるかと思って。

会館を出たところで「天鼓」で太鼓を打ってらした前川さんにお会いしたので「楽しませていただきました。ありがとうございます」。太鼓って思ったよりコンパクトなケースに収まっているんですね。

暑い京都の夏を涼しく過ごすのに、みなさんも観能はいかがですか?

追記:出町ふたばの赤飯も美味しいのだけど、岐阜ツバメヤの豆穀おこわも美味しい。思い出したら食べたくなってきた。でも大名古屋ビルヂング店では売ってない。柳ヶ瀬本店まで行かなくちゃ。あ、隣に「アイスクリーム松ノ家」ってできてる。最中アイスですか。これはぜひ行かねば!(買い食いスイーツに弱いんです)

2017年7月31日 (月)

平成29年 第4回 林定期能を(京都観世会館で)観てきました!【前編】

名駅薪能の抽選に外れたので、京都へ能を観に行くことにしました。

久しぶりの京都です。行きたいところが溜まっていて、とても一日では収拾がつかないのですが、今回は観能がメインと割り切ることにしました。

いつものように名古屋始発の新幹線に乗って朝7時に京都入り。上賀茂神社行きの市バスに乗って河原町今出川で下車。京都市営バスでもApple WatchのSUICAが使えるようになって便利になりました。

さて、出町柳周辺買い食いツアーといきましょうか。(能については後編にまとめます。)

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いつもならば9時に出町柳駅前でレンタサイクルを借りるのですが、今回は京都観世会館に着く11時までしか使わないので歩くことに。とはいえ、CROCSなので無理はできません。

まず、地図のいちばん下のパン屋さん「エズ・ブルー」へ。まだ7時半なのですが、7時から開いているのがうれしい。焼きたてパンが並んでいくのですが、まだ値札がついていないので品名がわかりません。「あのぉ、これクリームパンですか?」って、忙しそうなので聞きづらい。3つほど選んで京都御苑へ。雨に濡れた木々ではセミが大合唱中。

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ベンチにタオルを敷いて朝ごはんにします。クロワッサン(右下)とソーセージの(右上)はサクサクで美味しい。これ、好き! 左のクリームパンはまだ温かくて、クリームは美味しいけれどパンはモチモチ。近くの自販機でSUNTORYの「すっきりしたトマト」という缶ジュースを買いました。最近トマトジュースに凝ってて、これは確かに飲みやすい。塩にレモンも入ってる。うーん、満腹です。

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雨がぱらついてきたので、枡形商店街を抜けて「出町ふたば」へ向かいます。8時半開店ということですが8時には開いているみたい。今日も行列ができているものの許容範囲内。いつもの豆餅と赤飯を買いました。

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昨年秋に向かい側にできた「LIGHT UP COFFEE」というカフェに寄りました。吉祥寺に本店があって、豆の味を生かした浅煎りコーヒーが特徴だとか。味を確かめるために TASTING SET (680円) を注文しました。

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左から「COLOMBIA」「COSTA RICA」「ETHIOPIA」。カップの前に置いてあるカードの裏にそれぞれの特徴が書いてあります。左から順に飲んでいくと、いちばん右のエチオピアが「これがいい」。たしかにイチゴの味がします。わたしはコーヒーの酸味は苦手で、浅煎りより深煎りが好みなのですが、コーヒー豆本来の味を楽しむという意味では考えを改めるべきかもしれません。(前述のカードは文庫本の栞に使ってます)

なぜか他にお客さんがおらず、若いバリスタさんとあれこれ話しながら、のんびりさせてもらいました。「また、来ますね!」

京都観世会館の林定期能は11時20分開場、12時開演だから、出町柳を出発するまでに、まだ1時間ちょっとあります。それならば、森見登美彦の小説『夜行 』に出てきた御霊神社と出雲路橋に行ってみましょう。

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全体にどっしりとした重みを感じる神社です。境内の中央に舞台があります。能を観るようになって舞台が気になります。神楽を舞うのでしょうか。雨が上がって陽が差してきたのはよいのですが、暑いです。体に悪い暑さです。

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この出雲路橋を東へ渡ってしばらく行くと下鴨神社なので、お参りしていきましょう。

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いつもは閑散としている境内へ、人や車が吸い込まれていくから何事かと思ったら「みたらし祭り」。なんですか、それ?

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よくわからないままに初穂料300円を納め、ロウソクを受け取り、履物(CROCS)を脱いで袋に入れ、みたらし池にむかってジャブジャブと歩いていきます。水が冷たくて気持ちいい。と言っていられたのは始めのうち。最後は足が凍えました。突き当たりで灯明を供えて池から上がり、履物を履くと泉の水が振る舞われます。ぐいと飲み干したら御手洗社にお参りして終了。

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あとで調べたところ、通称「足つけ神事」といって、暑気を払い息災を祈願するそうです。「水みくじ」というのがあって、水に浸すと文字が浮かんでくるみたい。いろいろ考えますね。

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この出口は、アニメ「有頂天家族2」で下鴨一家が出入りしていた場所。彼らは(たぬきとしては)糺ノ森に住んでいるはずですが、なんだかここが彼らの家の玄関に見えます。

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売店の店先にアニメのポップが立っていました。さて、糺ノ森を抜けて出町柳へ戻りましょうか。(後編へつづく)

2017年7月18日 (火)

岐阜県美術館『日本画の逆襲』を観てきました!

新聞広告で岐阜県美術館の『日本画の逆襲』展を知って、日本画のことはなにもわからないけれど、面白そうなので足を運んでみることにしました。映画『スターウォーズ』世代には「逆襲」は見逃せません!(笑)

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名古屋からJR東海道線快速で岐阜駅へ。暑いから、南口のサカエパンでアイスクリームパンを買おうと思ったら、まさかの「休業日」。いつものようにレンタサイクルを100円で借りて向かうは「茶洋館マサラ」。

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朝9時の開店にあわせて到着。お客さんがどんどん入ってきます。人気店なんですね。

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マサラブレンドに、フレンチトーストのモーニングを頼んだら、サラダとフルーツ(バナナ、グレープフルーツ)もついてきました。これで470円のコーヒー代のみ。コーヒーはおいしいのだけれど、すこしぬるい。もうすこし熱くてもよかったかな。でも、フレンチトーストといっしょに飲むとすごくおいしい。ワッフルが有名みたいだから、スイーツに合うようにブレンドしてあるのかもしれませんね。

岐阜県美術館は10時開館なので、それにあわせて移動。茶洋館マサラのまえの道路をまっすぐ南西に向かうだけなので迷うことはありません。ただ、車道は怖いし、歩道がすごく狭いので自転車では走りづらかった。

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岐阜県美術館は立派な建物です。お目当ての『日本画の逆襲』は期待どおり、おもしろかった。CGのような「宙」は鮮やかな動きが感じられたし「木漏れ日」はキラキラしてたし「orbit」が掛軸になっているのが可笑しかったし「ハナカスミ」は純粋にきれいだった。和紙に岩絵具を使って描けば日本画になるわけではないのでしょうけれど、伝統的技法にとらわれない作品たちが素敵でした。

遠くから離れて観て、ぐっと近づいて見て「あ、こういうのもアリなんだ」と気づかせてくれる発見があります。

また、熊谷守一の襖絵展もよかった。そのユーモラスさに思わず頰が緩んでしまいます。見る人を幸せにしてくれる襖絵です。おっかない獅子や龍よりよほどいい。

それにしても、開催2日目でわたしの入場券番号は000092。週末なのに少なくないですか。みなさん、もっと美術館に足を運びましょう。もったいないです。

とはいえ、そのおかげで館内は静かで読書がはかどりました。

この中央のスペースには、ミケランジェロの模刻が3体とちいさなパイプオルガンがあります。パイプオルガンの演奏会も開かれるようです。

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少女漫画風の表紙だと人前で出すのが恥ずかしい。

お腹が空いたけれど、岐阜駅の南側は詳しくない。かといって、柳ヶ瀬とか北側まで回る気力が(暑さのために)ありません。近くに適当なお店はないものかと iPhone の「食べログ」でチェックしたら「ピッツェリア・マリノ」がありました。名古屋にもあるので勝手はわかります。

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パスタセットを注文すると、ピザ、サラダ、スープ、ドリンクが自由に選べます。テーブル上でピザを温めることができるのでおいしくいただくことができました。おかげで食べ過ぎてしまい超満腹。(まじでくるしい…)

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美術館北の八ツ草公園の東屋で休憩。ここでも本を広げたのですが、まだ蚊がいないのは助かるものの、お昼を過ぎて熱気がすごい。保冷ポットのお茶がなくなったところで我慢大会は終わりにして岐阜駅へ戻ることにしました。

いつものことながら、芸術よりも食欲に走ってしまう傾向があります。失礼しました。

2017年4月 3日 (月)

第15回 名古屋片山能を観てきました!

2016年9月の「第14回 名古屋片山能」で、生まれて初めて能を観て、思っていたより面白く、お囃子も気に入って、その後も続けて観てきて、今回が8回目の能楽鑑賞になります。名古屋能楽堂は「バックステージツアー」も体験して、すっかり慣れました。

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今回も能が2本立て。「忠度」と「殺生石」です。

能楽の公演は、能だけでなく、狂言や舞囃子、仕舞なども演じられることが多いのですが、名古屋片山能は1時間ほどの曲を2本となっています。お目当はあくまで能ですし、あまり長時間になると疲れるので、この番組構成はありがたい。

もうひとつ、笛が藤田六郎兵衛、大鼓が河村眞之介なのも(わたしにとって)魅力です。ただ、今回イヤホンガイドを聞いていてわかったのですが、お囃子にはワキを呼び出すもの、シテを呼ぶもの、祈りを表すものとパターンがあるようです。演目によって全部異なるわけではないようです。そう思って聞くと「なるほど、そうかも」。

能「忠度」は「平家物語」の平忠度が主人公。武士なので修羅物かと思ったら幽霊になって出てくるので夢幻能? ワキである旅の僧が須磨の浦を通りかかり、1本の桜の木に惹かれます。そこへ現れた老人に一夜の宿を求めると「行き暮れて 木の下蔭を宿とせば 花や今宵の 主ならまし」と和歌で返したのでした。名古屋能楽堂南の桜も4分咲き。能舞台にその桜を1本持ってきたつもりで観ていました。そういえば舞台正面の鏡板は老松から若松に変わっています。

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さて、旅の僧が桜の木陰で眠っていると、夢の中に忠度の幽霊が現れ、自分の歌が「詠み人知らず」として千載集にあるので作者名を入れてほしい旨、藤原定家に伝えてくれるよう頼みます。後シテの忠度の衣装は美しく、勇ましくもどこか優美な舞いは、まさに夢のようでした。

能「殺生石」は小書きに「白頭」とあります。先月の名古屋宝生会での能「是界」も「白頭」でした。ワキである玄翁という高僧が登場します。旅の僧の衣装よりも豪華です。下野国、いまの栃木県を通りかかると、ある石のうえを飛ぶ鳥が落ちていきます。不思議に思っていると、女の声で「その石に触れてはいけません。触れると死んでしまいます」。


昔、鳥羽上皇の寵姫だった玉藻前(たまものまえ)が実は妖狐の化身であり、陰陽師に見破られ那須野の原まで逃げたけれど、ついには討たれて、そこにあった巨石に取り憑き殺生石となったのでした。玄翁が経をあげていると、石が割れて野干(やかん=狐)が飛び出してきます。過去の出来事を語り終えると、仏法に導かれて消えていったのでした。めでたし、めでたし。

こちらの後シテは白頭に金の衣装。ピカピカで妖しい。美しい衣装を間近で見ることができるのも、能の魅力のひとつです。あの世である「鏡の間」から「橋掛り」を通って、現世である「能舞台」に現れた者は、まさに「この世のものとは思えない」わけです。シンプルな能舞台を想像力で補って鑑賞すると楽しめます。

「殺生石」の最後で、地謡、小鼓、大鼓がピタッとタイミングがあって終わったのが素晴らしかった。こういう瞬間こそが能の醍醐味。思わず拍手しそうになったのですが、橋掛りを退場するタイミングで拍手するものらしいので遠慮しました。こういうときは歌舞伎のほうが自由ですね。

次回「第16回 名古屋片山能」は2017年9月10日(日) 14:00開演。能「葛城」と能「大会(だいえ)」です。

また、昨年伺った「内子座文楽」の案内が届きました。今年は2017年8月19日(土)〜20日(日)に「芦屋道満大内鏡」を上演するとのこと。ネットからチケット予約、購入できますが、桟敷席は注意してください。2階の東桟敷席は床の真上なので、太夫と三味線がまったく見えません。また、今回花道を使うかもしれないそうで、その場合は2階の西桟敷席もよく見えないかもしれません。初めての方は、目当ての座席で問題ないかどうか問い合わせてから決めることを強くお勧めします。

名古屋能楽堂の自由席の席選びはいつも迷います。最前列は舞台には近いのですが、目線が低いため、舞台の床がかろうじて見える程度。最後列のほうが、やや上から見下ろす形になって見やすいのです。遠くてよく見えない場合は双眼鏡を使えばいい。あとは角度によってシテ柱の影になる部分をどこに持ってくるかが問題。わたしはお囃子がちゃんと見える席を選びます。また、前後左右を囲まれた状態は息苦しいので端っこの席を選びます。指定席だと動けませんが、自由席なら避難できるので好都合。ですから「どの席がいいか」は一概にはいえません。なにを優先するかで決めましょう。

2017年3月21日 (火)

第61期 第2回 名古屋宝生会 定式能を観てきました!

名古屋宝生会の公演はちょっと高いので敬遠してたのですが、一度観てみることにしました。日曜の13時開演ですが、12時半から演目解説があるらしい。ということは12時に名古屋能楽堂に着けばいい。ということで自転車でやって来ました。

チケットは全席自由席で5,000円。コンビニで買うと発券手数料がかかるので、栄に出たついでにナディアパーク8階にある名古屋市文化振興事業団チケットガイドで購入しました。

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12時に開場されたものの、お客さんは少なめで、好きな席を選ぶことができます。のんびりしていて良い感じ。12時半に、舞台上に白頭と赤頭の実物が用意されて解説が始まります。舞囃子と仕舞は、能のダイジェストで、面と装束を着けないものだと初めて知りました。演目の内容だけでなく、能に関する知識が得られるのがありがたい。わかりやすく、ためになる解説でした。こういう地道な活動が能の普及に役立つはず。ふと見回すと開演直前には座席はだいぶ埋まっていました。

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解説が終わると、舞囃子の「花月」と「桜川」という親子再会の物語です。藤田六郎兵衛さんの笛が聴きたかったのが本公演を観ることにした理由のひとつ。河村裕一郎さんの大鼓は力強くてびっくり。一方、後藤嘉津幸さんの小鼓は優しい。革ではなく硬い木を打ち合わせたような鋭い響きの大鼓に、ポォンと柔らかい小鼓は、まさに硬軟の組み合わせ。短い演目でしたが、聴きごたえがありました。個人の芸がうまく噛み合う一瞬があって、その瞬間に立ち会いたくて能楽堂に足を運んでいるのです。

狂言の「附子」(ぶす)は面白かった。外出する主人は太郎冠者と次郎冠者に附子という毒に気をつけるようにといって預けて留守番を命じます。最初おっかなびっくりだった二人ですが、好奇心に負けて近づいて、蓋を取り、中身を見て、なめてみて「これは砂糖じゃ」。二人掛かりで美味そうに食べます。さて、主人が帰ってきたとき、どう言い訳するのやら…?

つづいて仕舞「経政」「歌占」のあと20分間の休憩。そして最後に能「是界」(ぜかい)です。

中国の天狗「是界坊」が日本に乗り込んでくるお話。まずは愛宕山の太郎坊を訪ねて作戦会議。日本の仏法を妨げるのであれば比叡山だろうということに。ただ不動明王が出てくるとやっかいだとの不安もあるようです。天狗の日中連合軍が攻めてきたということで、比叡山の僧が不動明王の加護を念じたところ、明王と十二天が現れ、天狗の力を削いだため、是界坊は地に落ち「二度とこんな国には来るもんかぁ」といって帰っていきましたとさ。めでたし、めでたし。

圧巻はやはり後シテの是界坊です。「白頭」という小書きがついているので、赤ではなく白い頭をつけて登場し(目に見えない)明王との戦いの末、橋掛りにガクッともたれかかるところなど、映画俳優みたいでかっこよかった。

次回は6月18日(日)に能「半蔀」「邯鄲」があります。いつも日曜開催なのがありがたい。「邯鄲」は『能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集10) 』に現代語訳が載っているので予習しておきましょう。現代語訳をみると地謡もストーリーを支えているのに、実際にはなにを言っているのかさっぱりわからないのが残念です。イヤホンガイドも逐語訳するわけではないので参考になりません。

五木寛之の『親鸞 完結篇 』を読んでいると、釈尊の教えが文字ではなく、声で語り伝えられたことについて、親鸞いわく「その時、その場所、そこにいた人びと。そして釈尊の声があり、表情があり、気配がある。それは、ただ一度きりのものなのだ」。それはまさに能の舞台のようです。歌舞伎や文楽はある時期、毎日おなじ公演を繰り返すけれど、能は原則その日、その時の一度かぎり。しかも舞台監督がいないから、リハーサルもない。偶然が生み出す瞬間を待つのも能の楽しみのうちだと思います。

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