« 2019年5月 | トップページ | 2019年7月 »

2019年6月

2019年6月28日 (金)

任侠浴場 (今野敏)

任侠浴場 (単行本)
任侠浴場 』は「任侠シリーズ」第4弾。出版社、私立高校、病院を立て直してきたヤクザの親分・阿岐本雄蔵が今回手がけることになるのは、赤坂にある銭湯です。

たいして儲からないのに、親分の道楽みたいなものに付き合う代貸・日村誠司は心配性で苦労性。今回は銭湯の経営再建のヒントを得るため、松山の道後温泉まで出張に行くことに。わたしも道後温泉には行ったことがあるので懐かしかったです。

親分いわく「休むときに思いっきり休まねえから、いざというときの踏ん張りが利かねえんだ。日本人はめりはりを忘れちまったんだ」。銭湯は日本のパワーの源だといわんばかり。大風呂敷、ここに極まれり! いいですねえ。こういうノリ、好きです。

お勧め度:★★★★★

2019年6月19日 (水)

スガリさんの感想文はいつだって斜め上 (平田駒)

スガリさんの感想文はいつだって斜め上
スガリさんの感想文はいつだって斜め上 』は書店で見かけて思わず買ってしまった一冊。

1. 夏目漱石『こころ』
2. 新美南吉『手袋を買いに』

茅野から名古屋に転校してきた文学少女・須賀田綴。クラスメイトに分けてあげようと持って来たスガリを出した途端、教室は阿鼻叫喚の坩堝に。スガリとは蜂の子。名古屋の女子高生にとっては「虫」。それ以来、彼女のニックネームは「スガリ」になったのです。

スガリさんは、私立鶴羽学園の男性家庭科教員・直山杏介を顧問に、読書感想部を立ち上げ、ユニークな読書感想文を杏介に読ませようとしてきます。これがなかなか面白い。

一方、名古屋の覚王山にある「揚輝荘」の1階にあるカフェでアルバイトしているスガリさん。ここは実在していて、私も行ったことがあるので親近感を覚えます。

直山先生の出番を減らしてでも、スガリさんをもっと前面に出してほしい! 続編に期待してます。

お勧め度:★★★★★

2019年6月13日 (木)

鹿の王 水底の橋 (上橋菜穂子)

鹿の王 水底の橋
鹿の王 水底の橋 』は「鹿の王」の続編ですが、東乎瑠帝国の医療のあり方を問うものになっていて、ふと『新章 神様のカルテ』を思い出しました。また泣けちゃうのでしょうか?

1. 真那の故郷
2. 秘境 花部
3. 鳴き合わせ、詩合わせ

「鹿の王」の内容を忘れてしまってて読めるのか心配だったのですが問題ありませんでした。黒狼熱大流行の危機を脱した東乎瑠帝国では、ふたりの次期皇帝候補の政争が起こっているところへ、オタワルの医術師ホッサルと恋人ミラルが飛び込んでしまいます。

オタワル医術は人の命を救うことを第一義とし、一方の清心教医術は宗教色がつよく、貝毒や馬の血の血清などを「穢れ」として嫌う。次期皇帝争いは医術2派の命運をも左右するため、ホッサルも巻き込まれてしまいます。

その鍵を握るのが、真那の父・安房那侯。真那によって安房那領に招かれたホッサルとミラルが診た患者は?

読み応えがあり、医療について考えさせる内容でした。あとがきも興味深かった。

お勧め度:★★★★★

2019年6月 6日 (木)

ありふれたチョコレート2 (秋河滝美)

ありふれたチョコレート〈2〉 (アルファポリス文庫)
ありふれたチョコレート2 』は続編であり完結編です。元上司である瀬田と結婚し、SICで働くため、ニューヨークにやってきた茅乃ですが、まず英語の壁に阻まれます。瀬田係としてだけでなく、いろいろ仕事を任される茅乃は、日本でお気に入りだったチョコレートを、なんとかしてアメリカでも手頃な価格で手に入るようにしたいと奮闘します。

恋愛小説というよりはビジネス小説。ラノベとしては珍しい筋立てですね。楽しませていただきました。

お勧め度:★★★☆☆

2019年6月 1日 (土)

新章 神様のカルテ (夏川草介)

新章 神様のカルテ
新章 神様のカルテ 』は「神様のカルテ」シリーズの最新刊です。

主人公の一止は榛名との間に小春という娘に恵まれ、本庄病院から信濃大学の大学院生として大学病院で働くことになりました。医師8年目。大学病院に移っても激務であることは変わらないようです。

1. 緑光
2. 青嵐
3. 白雨
4. 銀化粧
5. 黄落

「元来が医療というものは、人が人の命を左右するという無茶な使命を負わされている。かかる乱暴な礎石の上に、理不尽と不条理と矛盾の三本柱を立て、権威という大きな屋根をかけたのが大学病院だ」。すごくよくわかる説明です。

理不尽と不条理と矛盾に弄ばれ、患者の命を支えるという重圧に耐え、一止はそれでも淡々と漱石節で語ります。生真面目で堅苦しいユーモアが愉快です。しかし、大学病院は重症患者が多いようで、フィクションだとわかっていても気が滅入ります。

クライマックスは残り3分の1。膵癌の29歳女性が7歳も娘と夫との暮らしを1日でも長く続けたいと願い、それに懸命に向き合う医師の姿は感動的でした。スタバで読んだのは失敗。涙が止まりませんでした。

毎日のなにげない暮らしがどんなに幸せなことなのか、心に刺さりました。

お勧め度:★★★★★

« 2019年5月 | トップページ | 2019年7月 »