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2018年9月15日 (土)

プラネタリウムの外側 (早瀬耕)

プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA)

プラネタリウムの外側 』は『グリフォンズ・ガーデン 』の後日譚にあたる連作小説です。理系世界の恋愛小説というのは、文系のわたしには刺激的なのです。

北海道大学にある有機素子コンピュータでチューリングテストの研究を行うという名目で、じつは出会い系サイトで稼いでいる南雲助教のもとへ工学部2年の佐伯衣理奈がやってきます。彼女は元恋人の川原圭が札幌駅で列車に轢かれて死んだのは自殺ではないと確かめるため、有機素子コンピュータで会話プログラムを開発して川原圭の行動をシミュレートしようというのです。

有機素子コンピュータは、同じパラメータを設定しても解が一意にならないので、人間の会話プログラムを組みにはうってつけ。チューリングテストでは、ある人が、2台のコンピュータにテキスト入力して会話を行い、一方が人間、もう一方がコンピュータの会話プログラムが相手をします。どちらが人間なのか区別できなければ、そのコンピュータは知性を持っているといえるというもの。今でいうAI、人工知能の開発です。

出会い系サイトの「さくら」の補助システムとして開発を始めて、徐々にコンピュータに直接、人間(客)の相手をさせるようになっていきます。IDの盗用を防ぐため、登録したApple Watchをはめているときだけログインできるなど、コンピュータ好きには興味深い小説です。

前作同様、現実と仮想現実が交錯するなかで、物語は進んでいきます。さて、南雲助教が手がける会話プログラムはどこまで行くでしょうか。興味のある方はぜひご一読を! 前作を読んでいなくても楽しめます。

お勧め度:★★★★★

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