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2017年10月17日 (火)

水の家族 (丸山健二)

水の家族
水の家族 』は、三浦しをんの『本屋さんで待ち合わせ 』で紹介されているの見て興味を持ちました。読み始めると、いとうせいこうの『想像ラジオ 』を思い出しました。そう、主人公は死者なのです。

半島の片隅、忘れじ川が流れる草場町に暮らす一家には、馬を育てる祖父、漁師の父、桃を育てる母、銀行員の兄と兄嫁、やくざな弟、天真爛漫な妹がいます。主人公は大学まで出してもらいながら親不孝な奴でして、家を飛び出したかと思ったら密かに舞い戻り、密かに死んでしまうのです。

そして、主人公は成仏できず、雨のこと、川のこと、山のこと、家族のこと、赤子のこと、馬のこと、魚のこと、亀のこと、凧のこと等々、自然と家族の営みを眺めながら自省を込めて語っていきます。本書のタイトルは「水の家族」以外にありえません。

作中「私は肉体無しの状態に疲れを覚える」とあります。幽霊ってそうなのでしょうか。疲れるのは肉体であって、肉体から解放された魂であれば疲労とは無縁だと思っていました。片足を失っても、まだそこにあるように感じるように、肉体もまたそうなのでしょうか。

三浦しをんが勧めてくれる本は骨太な小説が多く、読み応えがあり、新鮮です。

お勧め度:★★★★☆

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