« 灯台守の話 (ジャネット・ウィンターソン) | トップページ | 怨讐星域 2 ニューエデン (栃尾真治) »

2017年10月 5日 (木)

怨讐星域 1 ノアズ・アーク (栃尾真治)

怨讐星域Ⅰ ノアズ・アーク (ハヤカワ文庫JA)
怨讐星域Ⅰ ノアズ・アーク 』は「太陽フレアによって数年後に地球が滅亡する」という予測のもと、アメリカ大統領と3万人は宇宙船ノアズ・アーク号で秘密裏に地球を離れ「約束の地」へ旅立ったのです。一方、大統領の娘ナタリーの恋人が星間転送装置を実用化。引き離された恋人を先回りして待つことに…。

舞台は3つ。ノアズ・アーク船内と172光年離れた惑星、そして地球です。

実際にこんなことになったら一体どうなるのだろう? 読み進めるうちに引き込まれます。

ノアズ・アークが目的の星に到着するのは数百年後。地球を出発した人々の何世代も後のこと。冷凍睡眠かと思ったらそうじゃない。ただ次の世代にバトンを渡すためだけに生きるのでは、自殺者が増えるのもわかるような気がします。

一方、目的の星に転送された人たちも悲惨です。そもそも無事に転送された人は限られています。海上だったら溺死、高いところだったら転落死、山や木や石のある場所だったら合成死? 生き残ったとしても、水と食料を確保するだけでも苦労が絶えず、謎の捕食生物の犠牲者も後を絶たない。文明がリセットされた状態から未知を惑星の生活をスタートするのは、地球でのキャンプとは訳が違います。恐ろしい。

そして、もし地球が明日滅ぶとしても、最後まで見届けようとする人たちもいます。そうなったら毎日がまさに「神に与えられた」貴重な時間。そこに幸せを見出す人もいるのです。「自分だったらコレかなぁ。出不精だし」などと思いつつ読みました。

まさに三者三様の極限状態。

タイトルに「怨讐星域」とあるように、地球に取り残され組は、ノアズ・アーク組を深く恨んでいます。転送先のコミュニティでは「ノアズ・アークがこの星に着いたとき、裏切り者の子孫たちに鉄槌を下すのだ」と子供らに言い聞かせています。でも、これはちょっと違和感がある。アメリカ人なら「国民を見捨てた大統領」ということで糾弾できるけれど、日本人であれば文句をいう筋合いではないでしょう。

本作は3巻完結。さて、どうなっていくのか興味津々です。

お勧め度:★★★★★

« 灯台守の話 (ジャネット・ウィンターソン) | トップページ | 怨讐星域 2 ニューエデン (栃尾真治) »

SF/ファンタジー」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1887876/71671261

この記事へのトラックバック一覧です: 怨讐星域 1 ノアズ・アーク (栃尾真治):

« 灯台守の話 (ジャネット・ウィンターソン) | トップページ | 怨讐星域 2 ニューエデン (栃尾真治) »