墨龍賦 (葉室麟)
『墨龍賦(ぼくりゅうふ)
』は、武士の家に生れながら東福寺に入れられ、のちに絵師として生きていくことになる海北友松(かいほうゆうしょう)を描いた物語。表紙絵は彼が建仁寺で描いた雲龍図です。
若き日の友松は、東福寺でのちの安国寺恵瓊と出会い、狩野永徳に弟子入りし、明智光秀の側近・斎藤内蔵助とも親しくなっていきます。恵瓊は毛利家のために働き、織田信長が勢力を拡げていく中で本能寺の変が起きて…。
とんでもない乱世を生き、絵師として人生を全うした男の物語。次々に「天下人」が入れ替わる時代には、歴史は強者によって都合のよいように書き換えられるもの。しかし「絵に魂を込めるなら、力ある者が滅びた後も魂は生き続けます。たとえ、どのような大きな力でも変えることができなかった魂を、後の世のひとは見ることになりましょう」。
2017年春の京博での展覧会を見逃したのが悔やまれます。
お勧め度:★★★★★
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