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2017年3月

2017年3月29日 (水)

書楼弔堂 炎昼 (京極夏彦)

書楼弔堂 炎昼
書楼弔堂 炎昼 』は 『書楼弔堂 破暁 』の続編。明治30年代、師範学校を出た塔子は、薩摩武士だった祖父に「本など読む必要はない」「婿を取り夫を支えるのだ」などと怒鳴られるのに反発して家を飛び出し、出会ったのが松岡と田山の二人連れ。軽口の応酬がホームズとワトソンみたい。彼らは書店を探しているというので「あそこかもしれない」と案内したのが…。

探書漆  事件
探書捌  普遍
探書玖  隠秘
探書拾  変節
探書拾壱 無常
探書拾弍 常世

章番号が前巻からの続きで7から12。弔堂を訪れるのは、深い悩みを抱える人たち。それがとんでもない有名人だったりするから、今回の案内人・塔子は魂消ます。それがまた痛快なのです。自分の悩みを弔堂の主人に話しながら、一冊の本にヒントを求め、人生を模索していく物語。

また続編を期待しています!

お勧め度:★★★★★

2017年3月25日 (土)

人生を変えてくれたペンギン (トム・ミッチェル)

人生を変えてくれたペンギン 海辺で君を見つけた日
人生を変えてくれたペンギン 海辺で君を見つけた日 』は、イギリス人の著者が1970年代にアルゼンチンの全寮制男子校に赴任し、憧れていた南米を旅する過程で出会った1羽のペンギン<フアン・サルバドール>との触れ合いを描いた物語です。

1. ペンギンを拾う
2. マゼランペンギン
3. バスタイム
4. フォークランド諸島は禁句
5. おかしな税関
6. 小魚をあげるから
7. 紆余曲折を経て
8. 新しい友人たち
9. 掘り出し物
10. 屋上談話
11. 動物園を偵察に
12. マスコット
13. マリアの家へ
14. ペンギンを探して
15. 黄金郷を探して
16. 「僕、泳げる?」
17. そして、いつまでも幸せに暮らしました―
18. あのころを振り返って

単なる好奇心でペンギンを飼ったわけではなく「彼にとってなにが幸せなのか」を常に考え、悩みつつ、学校の屋上で他の職員、教員、生徒たちと共にフアン・サルバドールと交流するなかで得たのはお金では買えない貴重な経験だったようです。冒険好きな著者だったからこそフアン・サルバドールと出会い、共に過ごすことができたのでしょう。

お勧め度:★★★★★

2017年3月21日 (火)

第61期 第2回 名古屋宝生会 定式能を観てきました!

名古屋宝生会の公演はちょっと高いので敬遠してたのですが、一度観てみることにしました。日曜の13時開演ですが、12時半から演目解説があるらしい。ということは12時に名古屋能楽堂に着けばいい。ということで自転車でやって来ました。

チケットは全席自由席で5,000円。コンビニで買うと発券手数料がかかるので、栄に出たついでにナディアパーク8階にある名古屋市文化振興事業団チケットガイドで購入しました。

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12時に開場されたものの、お客さんは少なめで、好きな席を選ぶことができます。のんびりしていて良い感じ。12時半に、舞台上に白頭と赤頭の実物が用意されて解説が始まります。舞囃子と仕舞は、能のダイジェストで、面と装束を着けないものだと初めて知りました。演目の内容だけでなく、能に関する知識が得られるのがありがたい。わかりやすく、ためになる解説でした。こういう地道な活動が能の普及に役立つはず。ふと見回すと開演直前には座席はだいぶ埋まっていました。

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解説が終わると、舞囃子の「花月」と「桜川」という親子再会の物語です。藤田六郎兵衛さんの笛が聴きたかったのが本公演を観ることにした理由のひとつ。河村裕一郎さんの大鼓は力強くてびっくり。一方、後藤嘉津幸さんの小鼓は優しい。革ではなく硬い木を打ち合わせたような鋭い響きの大鼓に、ポォンと柔らかい小鼓は、まさに硬軟の組み合わせ。短い演目でしたが、聴きごたえがありました。個人の芸がうまく噛み合う一瞬があって、その瞬間に立ち会いたくて能楽堂に足を運んでいるのです。

狂言の「附子」(ぶす)は面白かった。外出する主人は太郎冠者と次郎冠者に附子という毒に気をつけるようにといって預けて留守番を命じます。最初おっかなびっくりだった二人ですが、好奇心に負けて近づいて、蓋を取り、中身を見て、なめてみて「これは砂糖じゃ」。二人掛かりで美味そうに食べます。さて、主人が帰ってきたとき、どう言い訳するのやら…?

つづいて仕舞「経政」「歌占」のあと20分間の休憩。そして最後に能「是界」(ぜかい)です。

中国の天狗「是界坊」が日本に乗り込んでくるお話。まずは愛宕山の太郎坊を訪ねて作戦会議。日本の仏法を妨げるのであれば比叡山だろうということに。ただ不動明王が出てくるとやっかいだとの不安もあるようです。天狗の日中連合軍が攻めてきたということで、比叡山の僧が不動明王の加護を念じたところ、明王と十二天が現れ、天狗の力を削いだため、是界坊は地に落ち「二度とこんな国には来るもんかぁ」といって帰っていきましたとさ。めでたし、めでたし。

圧巻はやはり後シテの是界坊です。「白頭」という小書きがついているので、赤ではなく白い頭をつけて登場し(目に見えない)明王との戦いの末、橋掛りにガクッともたれかかるところなど、映画俳優みたいでかっこよかった。

次回は6月18日(日)に能「半蔀」「邯鄲」があります。いつも日曜開催なのがありがたい。「邯鄲」は『能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集10) 』に現代語訳が載っているので予習しておきましょう。現代語訳をみると地謡もストーリーを支えているのに、実際にはなにを言っているのかさっぱりわからないのが残念です。イヤホンガイドも逐語訳するわけではないので参考になりません。

五木寛之の『親鸞 完結篇 』を読んでいると、釈尊の教えが文字ではなく、声で語り伝えられたことについて、親鸞いわく「その時、その場所、そこにいた人びと。そして釈尊の声があり、表情があり、気配がある。それは、ただ一度きりのものなのだ」。それはまさに能の舞台のようです。歌舞伎や文楽はある時期、毎日おなじ公演を繰り返すけれど、能は原則その日、その時の一度かぎり。しかも舞台監督がいないから、リハーサルもない。偶然が生み出す瞬間を待つのも能の楽しみのうちだと思います。

2017年3月18日 (土)

校閲ガール トルネード

校閲ガール トルネード
校閲ガール トルネード 』は、校閲ガールシリーズ第3弾。

アフロヘアーのイケメン作家との恋に溺れる河野悦子。ファッション誌 Lassy 編集部に憧れ、異動に望みをかけ校閲部での仕事に精を出してきた悦子が、久々の恋にあたふたする様子が可笑しくて可愛い。

1. 校閲ガールと恋のバカンス 前編
2. 校閲ガールと恋のバカンス 後編
3. 辞令はある朝突然に 前編
4. 辞令はある朝突然に 後編
5. When the World is Gone 〜 快走するむしず

アフロとふたりで軽井沢でお泊まりという絶好のシチュエーションに盛り上がる悦子ですが、この手のシアワセは邪魔が入ってひどいことになるのがお約束。そこに、悦子が以前から仕事上感じていた違和感の正体が明らかになっていくという展開。可笑しく笑いながらも「なるほどそういうことだったのか」と膝を叩く快感。オススメ!

お勧め度:★★★★★

2017年3月15日 (水)

金沢あかり坂 (五木寛之)

金沢あかり坂 (文春文庫)
金沢あかり坂 』は、一時期金沢で暮らしたという五木寛之の短編集です。日経新聞夕刊の文化面で「七つ橋めぐり」が紹介されて興味をもった次第。それに金沢といえば泉鏡花の出身地。先日『書楼弔堂 破暁 』の作中で若き日の鏡太郎に出会ったので親近感があります。岐阜市立図書館で読みかけて、名古屋の図書館で借りて読み終えました。といっても約250ページの薄い文庫本です。

1. 金沢あかり坂
2. 浅の川暮色
3. 聖者が街にやってきた
4. 小立野刑務所裏

金沢の花街を舞台にした表題作がいい。4話は自身の若い頃を語った私小説。リアルです。

また、金沢に行きたいなぁ。冬、雪の日に訪れたいと思いつつ、天気予報をみるといつも雲がかかっているのをみて挫けます。先の楽しみにとっておきましょう。

お勧め度:★★★★★

2017年3月11日 (土)

枕草子/方丈記/徒然草 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集07)

枕草子/方丈記/徒然草 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集07)
枕草子/方丈記/徒然草 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集07) 』は、学校で習ったことはあっても全文を読み通したことがないので試しに手にとってみました。2016年10月に「岩瀬文庫」で見た枕草子の写本がまったく読めなくてショックを受け「それなら現代語訳で」と考えたのと、同シリーズの『平家物語』を読むことができたので、枕草子もなんとかなるのでないかと期待してのことです。

一条天皇の中宮定子に仕えた宮中で見たこと、聞いたこと、感じたことを軽妙なタッチで描き出す清少納言。「春はあけぼの」が「春は夜明けが好き」。胸がときめくもの、満ち足りるもの、気がかりなものはよいとして、いたたまれないもの、あきれはてるもの、憎らしいものをいくつも思い出して数え上げるというのはあまり楽しい作業とは思えません。馬は、牛は、猫は、滝は、川は、里は、草は、と書き連ね「歌集は万葉集、古今集」。宮中の様子や出来事を垣間見ることができるのも興味深い。宮中では鶯が鳴かないというのは本当でしょうか。

『方丈記』の現代語訳には驚きました。なにせタイトルが「モバイル・ハウス・ダイアリーズ」です。荒れ果てた京の町は物騒だからと、南の外れの日野にちいさなあばら家(掘っ建て小屋?)を建てて暮らしていたようです。地名、人名などの固有名詞がカタカナ表記になっていることもあって、方丈記だと知らずに読んだら、12世紀のSF小説かと思ってしまいます。30頁ほどの短い文章なので、高校生にタイトルを伏せて読んでもらい感想文を書かせたら面白そう。方丈記だと看破する人もいるでしょう。1180年の福原京への「首都移転」は『平家物語』にもありましたっけ。同じ出来事でも、見る人によって捉え方がちがうのがおもしろい。

『徒然草』が個人的にはいちばんおもしろかった。ひきこもりのボッチかと思ったら、宮中のことを知っているし、和歌や芸能にも通じてる。兼好というのは何者かと思ったら、父親が吉田神社の神職で、宮仕えもしていたけれど、その後出家したらしい。41段の「賀茂競馬」がいまでも行われているのはすごい。188段では「一事を必ずなさんと思うならば、他のことを破っても悔いてはならない」。202段では神無月には神様は伊勢に集まるとあるけれど、それって出雲じゃないのかな。226段では平家物語の作者は信濃前司行長とある。242段に「人間が求めるもの。第一に名声、第ニは色欲、第三は美味である」。1番目と2番目はわからないけれど3番目は同感です。

おかげさまで、ざっとではありますが、枕草子、方丈記、徒然草を読んで、どういうものなのかはわかりました。ふだん読んでいる時代小説とちがって、その時代を実際に生きている人が書いたものはひと味ちがいました。

お勧め度:★★★★★

2017年3月 7日 (火)

岐阜・柳ケ瀬探訪:革靴と担々麺と金沢あかり坂

やながせ倉庫のCOMOCさんから革靴の完成連絡があったので再訪しました。標準サイズでは幅と甲の高さが足りなかったので、採寸してもらい、すこし緩めにお願いしました。

で、緩めで完成しました。靴下を2枚履くかインナーソールを入れたほうがいいみたい。ぴったりサイズに作ってもらうのはむずかしい。

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靴底はよくみると2重になっていて、外側(下側)の黒い部分が残り2mmくらいになったら張り替えをお願いするといいそうです。最初はたぶん踵部分だけ、つぎに爪先、最後に全部だとか。踵だけならその場で張り替えて、履いて帰ることができるとのこと。

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いつものように、JR岐阜駅南口でレンタサイクルを借りてあるので、ランチは岐阜市役所西側の開化亭に伺いました。

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予約していないので、時間制限つきのカウンター席。しかも御飯もの限定。予約客を捌くのに忙しいみたい。担々麺+ごはんを注文。肉味噌にもやしだけのシンプルなものですが、スープはおいしい。と思っていたら、じわーっと効いてきました。辛い!!

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このお店のランチはコースを予約してくるのが基本のようです。でもコースランチならば名古屋の四川飯店もおいしいし、お店の雰囲気と接客もいい。

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お腹がいっぱいになったところで、すこし北のメディアコスモスの図書館へ。

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今日は五木寛之の『金沢あかり坂』を選びました。金沢は一度しか行ったことがないから、また行きないなぁ。と、思いながら2話の途中まで読みました。窓際の椅子に座っていると(寝不足のため)眠くていけません。続きは名古屋に帰ってから。

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柳ヶ瀬に来ると必ずツバメヤに寄ります。大地のどらやきとおこわがマイブームなのですが、あらたに桜餅を発見。天気がいいのでメディアコスモスの屋外のベンチでいただきました。

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桜餅は「黒米入りおこわ」でこし餡を包んであって、塩漬け桜葉のしょっぱさが甘さを引き立てます。いかにも「ツバメヤの桜餅」です。そして大地のどらやきは、唇がカステラ生地に触れた瞬間の感触と香りがすばらしい。ウマい!

前回、ツバメヤの「大地のカステラ」は(上等すぎて?)口に合わなかったので、起き上り本舗のカステラを買ってきました。

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ずっしり重いから計ってみたら500gもある。内づかいのおやつは軽く上品なものよりも食べ応えのあるものが好き。ホットミルクで美味しくいただきました。

わたしの「おでかけ」はいつもおいしいもの探しになります。「おいしい」はシアワセです!

2017年3月 4日 (土)

書楼弔堂 破暁 (京極夏彦)

文庫版 書楼弔堂 破暁 (集英社文庫)
書楼弔堂 破暁 』は、明治20年代の東京府の外れに、ひっそりと佇む「書楼弔堂」なる古書店。ふと足を踏み入れた主人公が不思議な縁でだれかを弔堂に案内し、そこの主が客に対して「生涯で一冊の本」を売る。

探書壱 臨終
探書弐 発心
探書参 方便
探書肆 贖罪
探書伍 闕如
探書陸 未完

ホラーは苦手なのですが、本が好きなので楽しめました。明治の文豪や幕末の著名人が登場するのも楽しい。4章「贖罪」を読んでいくと「この人が客なのだろう」とわかってきて、最後にどんな本を勧めるのか興味津々。お、そう来たか。反面、それはないだろう。とも思う。複雑です。

「読まれぬ本を弔い、読んでくれる者の元へ届けて成仏されるが我が宿縁。(中略)読まれる本は紙くずですが、読めば本は宝となる。宝と為すか塵芥と為すかは人次第。私は、何千巻何万冊であろうとも、必ず我が楼に収めた凡ての書物を宝に変える所存」と、弔堂の主は言い切ります。

6章「未完」で紹介された『トリストラム・シャンディ』(The Life and Opinions of Tristram Shandy, Gentleman)は実在して、全9巻の未完小説とのこと。今度図書館で見てみようと思います。

お勧め度:★★★★☆

2017年3月 1日 (水)

ハリー・ポッターと呪いの子 (J.K.ローリング他)

【Amazon.co.jp限定】 ホグワーツMAP付き ハリー・ポッターと呪いの子 第一部、第二部 特別リハーサル版 (ハリー・ポッターシリーズ)
ハリー・ポッターと呪いの子 第一部、第二部 特別リハーサル版 』は「ハリー・ポッター」シリーズの後日談かと思ったら、2016年7月30日、ロンドンのパレス・シアターで初演された演劇の脚本でした。小説を期待していたので、ちょっとがっかり。

でも、読み始めたらハリーたちとヴォルデモートとの闘いが思い出されて懐かしい。あれから19年、ハリーは魔法省で働き、ハーマイオニーはロンと結婚し、一女ローズをもうけ、なんと魔法大臣に収まっています。ちなみにロンは悪戯グッズショップのオーナー。ハリーの伴侶はジニーです。ジニーで誰だっけ? と、ググってしまいました。

さて、今回の主人公はハリーの次男アルバス。魔法界の英雄を父にもつプレッシャーに加え、父との折り合いが悪く、ホグワーツにも入学したくありません。彼が出会ったのは、ドラコの息子スコーピウス。ヴォルデモートの子ではないかという悪い噂があるのですが、ふたりは仲良くなっていきます。

そこまではよいのですが問題は、ハリーのせいでヴォルデモートに殺されたセドリックを取り戻そうとアルバスが考えたこと。スコーピウスと協力して、魔法省に隠されているらしい逆転時計を盗み出します。過去に戻ってセドリックを救おうという作戦です。

しかし、歴史を改変しようとしてもたいていロクなことになりません。

さて、一体どうなることやら? 続きは読んでのお楽しみ!

お勧め度:★★★☆☆

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