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2017年3月21日 (火)

第61期 第2回 名古屋宝生会 定式能を観てきました!

名古屋宝生会の公演はちょっと高いので敬遠してたのですが、一度観てみることにしました。日曜の13時開演ですが、12時半から演目解説があるらしい。ということは12時に名古屋能楽堂に着けばいい。ということで自転車でやって来ました。

チケットは全席自由席で5,000円。コンビニで買うと発券手数料がかかるので、栄に出たついでにナディアパーク8階にある名古屋市文化振興事業団チケットガイドで購入しました。

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12時に開場されたものの、お客さんは少なめで、好きな席を選ぶことができます。のんびりしていて良い感じ。12時半に、舞台上に白頭と赤頭の実物が用意されて解説が始まります。舞囃子と仕舞は、能のダイジェストで、面と装束を着けないものだと初めて知りました。演目の内容だけでなく、能に関する知識が得られるのがありがたい。わかりやすく、ためになる解説でした。こういう地道な活動が能の普及に役立つはず。ふと見回すと開演直前には座席はだいぶ埋まっていました。

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解説が終わると、舞囃子の「花月」と「桜川」という親子再会の物語です。藤田六郎兵衛さんの笛が聴きたかったのが本公演を観ることにした理由のひとつ。河村裕一郎さんの大鼓は力強くてびっくり。一方、後藤嘉津幸さんの小鼓は優しい。革ではなく硬い木を打ち合わせたような鋭い響きの大鼓に、ポォンと柔らかい小鼓は、まさに硬軟の組み合わせ。短い演目でしたが、聴きごたえがありました。個人の芸がうまく噛み合う一瞬があって、その瞬間に立ち会いたくて能楽堂に足を運んでいるのです。

狂言の「附子」(ぶす)は面白かった。外出する主人は太郎冠者と次郎冠者に附子という毒に気をつけるようにといって預けて留守番を命じます。最初おっかなびっくりだった二人ですが、好奇心に負けて近づいて、蓋を取り、中身を見て、なめてみて「これは砂糖じゃ」。二人掛かりで美味そうに食べます。さて、主人が帰ってきたとき、どう言い訳するのやら…?

つづいて仕舞「経政」「歌占」のあと20分間の休憩。そして最後に能「是界」(ぜかい)です。

中国の天狗「是界坊」が日本に乗り込んでくるお話。まずは愛宕山の太郎坊を訪ねて作戦会議。日本の仏法を妨げるのであれば比叡山だろうということに。ただ不動明王が出てくるとやっかいだとの不安もあるようです。天狗の日中連合軍が攻めてきたということで、比叡山の僧が不動明王の加護を念じたところ、明王と十二天が現れ、天狗の力を削いだため、是界坊は地に落ち「二度とこんな国には来るもんかぁ」といって帰っていきましたとさ。めでたし、めでたし。

圧巻はやはり後シテの是界坊です。「白頭」という小書きがついているので、赤ではなく白い頭をつけて登場し(目に見えない)明王との戦いの末、橋掛りにガクッともたれかかるところなど、映画俳優みたいでかっこよかった。

次回は6月18日(日)に能「半蔀」「邯鄲」があります。いつも日曜開催なのがありがたい。「邯鄲」は『能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集10) 』に現代語訳が載っているので予習しておきましょう。現代語訳をみると地謡もストーリーを支えているのに、実際にはなにを言っているのかさっぱりわからないのが残念です。イヤホンガイドも逐語訳するわけではないので参考になりません。

五木寛之の『親鸞 完結篇 』を読んでいると、釈尊の教えが文字ではなく、声で語り伝えられたことについて、親鸞いわく「その時、その場所、そこにいた人びと。そして釈尊の声があり、表情があり、気配がある。それは、ただ一度きりのものなのだ」。それはまさに能の舞台のようです。歌舞伎や文楽はある時期、毎日おなじ公演を繰り返すけれど、能は原則その日、その時の一度かぎり。しかも舞台監督がいないから、リハーサルもない。偶然が生み出す瞬間を待つのも能の楽しみのうちだと思います。

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