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2017年2月 9日 (木)

平家物語 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集09)

平家物語 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集09)
平家物語 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集09) 』は、わたしが初めて読破した「平家物語」です。同シリーズの「能・狂言」を読んだら面白かったので、能や文楽の出典となっている平家物語は読んでおきたかったのです。

京の治安維持や反乱の鎮圧など、武力を必要とした朝廷が、平清盛に介入、蹂躙され、ついには帝が幽閉されるまでに及び、頼朝、義仲ら源氏の巻き返しに遭って滅びる物語。900ページ近い大作です。

文中に出てきた人名、地名、寺社名などをパソコンで検索しつつ読み進めました。平家の家系図と御所の見取り図はいつでも見れるようにしておくことをお勧めします。

三の巻の「足摺」は、能「俊寛」の元ネタ。菊池寛、倉田百三も「俊寛」という小説を書いています。平家に対する反乱(鹿谷事件)に加わったとして流罪となった俊寛。清盛の娘・徳子(建礼門院)が高倉天皇の世継ぎ(安徳天皇)を生んだという慶事により、共に流された成経と康頼は赦免され都に戻ったのに俊寛だけ取り残され絶望して死んでしまうという、ただそれだけのストーリー。平家物語によると俊寛は名僧とはいえないようなのですが一体そういう人物だったのか、反乱謀議ではどのような立場だったのかがよくわかりません。

後日、俊寛に仕えていた有王が、俊寛の娘の手紙を携えて島を訪れるわけですが、芥川龍之介は「俊寛」で有王に「俊寛様の話くらい、世間に間違って伝えられた事は、まずほかにはありますまい」と言わせています。これがいちばん「ありそうな話」にわたしには思えます。

なぜ「俊寛」がこのようにあちこちで取り上げられるのか。仮にも僧都が、自分も御赦免船に乗せてくれと、恥も外聞もなく泣きわめくなどみっともないったらありゃしない。清盛亡きあとの宗盛や維盛も含めて「平家物語」は敗者、弱者を描きたかった、というか、その無常観が時代の空気だったのかもしれません。

それと、この時代には霊魂や幽霊が信じられていたというか、ほんとうに存在したような気がします。だから、能では成仏できない幽霊がたくさん登場するのでしょう。

敦盛の最期、那須与一の見事な弓、屋島の合戦後、義経が頼朝に追討される下りなど、有名なお話がたくさん出てきます。なにより安徳天皇が可哀想。読み方は人それぞれ。これまで「平家物語」に挫折してきた方も、この本なら読破も夢じゃない。

わたしが読破できた鍵は、図書館で借りたことにあります。2週間という返却期限付きだったのが奏功しました。購入していたら今も積んだままになっていたと思います。(苦笑)

お勧め度:★★★★★

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