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2016年10月11日 (火)

名古屋で文楽:近頃河原の逢引(四条河原の段、堀川猿廻しの段)

2016年はわたしの「文楽元年」と決めて、今回を含めて5回観ました。

1.3月は、京都(京都府立芸術文化会館)で、絵本太功記(夕顔棚の段、尼ヶ崎の段)と日高川入相花王(渡し場の段)。

2.4月は、大阪(国立文楽劇場)で、妹背山婦女庭訓(二段目 鹿殺しの段、掛乞の段、万歳の段、芝六忠義の段 四段目 杉酒屋の段と、道行恋苧環、鱶七上使の段、姫戻りの段、金殿の段)。

3.5月は、名古屋(中日劇場)で、壺坂観音霊験記(沢一内の段、山の段)と、本朝廿四孝(十種香の段、奥庭狐火の段)。

4.8月は、愛媛県内子町(内子座)で、仮名手本忠臣蔵(五段目 山崎街道出会いの段、二つ玉の段、六段目 身売りの段、早野勘平腹切の段)。そして、今回、

5.10月が、名古屋市芸術創造センターで、近頃河原の逢引(四条河原の段、堀川猿廻しの段)。

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文楽公演は、大阪と東京が2大拠点で、時々地方公演があるといった感じ。年に2回名古屋で公演があるだけでも有難いことです。(ぜひ来年もお願いします!)

会場は名古屋市芸術創造センターで18:30開演。名古屋市営地下鉄桜通線高岳駅から歩くついでに幕間のおやつ用に「テーラ・テール」でパンを買いました。いつものクロワッサン(サリュー)とカレーパン(とまとオリエンタル)。どちらも焼きたてだったので、温かいうちにと、会場に着くなり開演前に食べちゃいました。カレーパンはたっぷりの挽肉にトマトの酸味がアクセント。サリューは噛むとひろがる小麦の甘さとバターの風味。やっぱりおいしい!

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例によって2階席、2,600円です。歌舞伎の6,000円に比べると半額以下。財布にやさしいのがうれしい。今回は、京都公演で見た、縦長の字幕装置が舞台下手に置いてあります。これ「G・マーク」と呼ぶそうで…。(苦笑)

近頃河原の逢引の四条河原の段では、井筒屋の若旦那・伝兵衛と恋仲の祇園の遊女お俊(しゅん)に横恋慕した官左衛門が、主家の宝である茶入れを餌に伝兵衛を困らせ「とにかく茶入れを一旦わたしに預けてくれ」と頼み込む伝兵衛の眼の前で官左衛門は茶入れを割ってしまいます。それでキレた伝兵衛が官左衛門を斬り殺してしまいます。その場は井筒屋の番頭がごましかてくれたものの、お上の調べで容疑者伝兵衛が確定。殺人容疑で逃げる伝兵衛はお俊の実家に現れたのです。ここからが堀川猿廻しの段になります。

お俊の母と兄は伝兵衛がヤケをおこしてお俊を殺してしまうのではないかと心配でなりません。慌て者の兄は、伝兵衛を締め出したつもりでお俊を家から締め出してしまい大騒ぎ。ただ、伝兵衛は暴れることなく神妙な様子。お俊の命を奪っては親兄弟が悲しむからと、お俊を巻き込むまいとするのですが「それは聞けませぬ伝兵衛さん」の名セリフで、元はといえば自分の責任だと、ともに心中しようと心に決めます。

最後は母と兄もお俊の気持ちを汲んで、ふたりの道行を許します。暗くなりがちな雰囲気を取り繕うかのように、まるで前途を祝うかのように、兄は猿回しを見せるのです。これは黒子さんがひとりで二匹の子猿をマペットのように動かすのですが、これが可愛い! 三味線もふたりになって迫力があります。かっこいい!

道行の予感のなか、愉快な猿回しを見るというのは、物悲しいはずなのに、面白可笑しく見てしまうのが、人としてどうなのかと(ちょっとだけ)悩んでしまいます。そもそも主家の茶入れを無断で持ち出したうえに故意に壊した官左衛門は放っておいても切腹でしょう。忠臣蔵ではないけれど、伝兵衛の「短気は損気」だったような気がします。

文楽は、舞台の人形だけでなく、左の字幕、右の太夫と三味線も見たいから忙しい。最近わかってきたのですが、見たいところを見ればいいと思うのです。人形が布団を被って寝ているシーンでは「主遣いさんは腕が苦しそうだな」と思うし、女性のセリフでは「太夫さんの声が裏返ってる」とか「三味線の弦が切れたみたい」とか。気づいたら一点を凝視していたことが多々あります。

歌舞伎はとにかく華やかですし、役者が大勢出てくると迫力があります。それに比べると文楽は派手さは控えめながら、人形ならではのマニアックな演出があったりして面白い。一体の人形を3人で操るので、舞台に4体登場すれば、そこには12人いるわけで、狭い家ならいっぱいになります。ただ、そんなことはおくびにも出さず、観客も人形の動きだけを追うお約束に従うも良し、心のなかでツッコミまくって楽しむも良し。文楽は、いろんな見方、楽しみ方ができます。

今年は文楽はこれで見納めになりそうですが、また機会があれば見に行きたいと思います。

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