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2016年10月

2016年10月31日 (月)

2016 西尾城址薪能 【観光編】

西尾城址薪能を開催3日前に知って「舎利」も「成上り」も面白そうなので、当日券があるだろうと踏んで朝一番から名鉄電車で西尾へ向かいました。

城に詳しいわけではないのだけれど、城があれば足を運んでみることにしています。歴史小説を読むときに、行ったことのある城の名前が出てくるとリアリティが増して嬉しいのです。とくに戦国時代ものは尾張、美濃、三河が舞台になっているので、名古屋を中心に城を見て回るのに好都合。天守などが残っていなくても、山城なのか平城なのか、周囲の地形、気候はどうなのか、その土地を肌で感じることができればいいのです。(観音寺城址まで登るのはきつかった…)

ですから、西尾城址にも一度行きたいとは思っていたのですが、そのためだけに西尾まで行くのは億劫でした。そこへ降って湧いた薪能ですから、これは行くしかありません。せっかくなので「岩瀬文庫」にもお邪魔したい。前日お電話したところ、薪能の自由席券はまだ残っているということだったので、当日9時に伺ってチケットを手に入れました。これで安心。あとは会場の西尾市文化会館へ午後1時(開場)に行けばいい。(素直に文化会館でチケットを買えばいいようなものですが、それでは観光の効率が悪い。チケットは早めに確保したうえで、順番に観光して最後に文化会館に着きたかったのです)

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その日は「にしお本まつり」を開催していて、古本市などでたいへん賑やかでした。それにしても岩瀬文庫は、となりの市立図書館よりも立派なくらい。古書の博物館なんですね。2階の展示も広くはないのですが充実しています。ここ、本好きにはたまりません。

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古典の写本(見本)が巻物も含めて、ひと棚分あって、自由に閲覧できるのです。試しに「枕草子」を開いてみたのですが「よ、読めん…これ、ほんとに日本の文字?」。

春は曙(あけぼの)。やうやう白くなりゆく山際(やまぎわ)、すこしあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
夏は夜。月の頃はさらなり、闇もなほ、螢(ほたる)飛びちがひたる。雨など降るも、をかし。

「あけぼの」の「あ」と「の」はわかる。「山際」は「山きハ」とある。「雲」はわかる。
「夏ハよる月の」…あぁ、ムリ。句読点もないじゃないか。
悔しい。すこしは読めるようになりたい。自分が活字しか読めないことを痛感しました。

特別展「越境する絵ものがたり」も興味深かった。義経記など、能の題材になっているものもあります。船に乗った男を追って川に入った姫が蛇に変身する絵は、安鎮と清姫伝説とは別なのでしょうか。文楽では「絵本太功記」の日高川入相花王(渡し場の段)ですし、能や歌舞伎では「道成寺」ですね。また、浄瑠璃姫と牛若丸の物語が(人形)浄瑠璃の語源だと初めて知りました。こういった古典の絵物語は、そのまま古典芸能の素になっていることがよくわかりました。原文が読めるようになりたい…。

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岩瀬文庫から西尾城址へやってきました。これは二の丸の表門である鍮石門(ちゅうじゃくもん)です。二の丸の先に天守台があるのですが、石垣を残すのみ。島津家が建てたという旧近衛邸は庭もきれい。本丸丑寅櫓に昇ってみたけれど、景色がよいわけではありません。

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さて、資料館に着きました。ここも無料。西尾市は太っ腹です。

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甲冑や具足、刀、火縄銃などが展示してあります。ユニークな兜も多くて楽しめました。ここでもらった散策マップが役に立ちました。

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西尾小学校の向こう側にある「尚古荘」です。これは昭和初期に作られた京風庭園。

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庭園の脇にある東屋が落ち着きます。のんびり本でも読みたいところですが、能を見に来たことを忘れそうで危ない。とはいえ、西尾といえば抹茶。隣の「あいや伝想茶屋」でいただきました。

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まず、甜茶を挽くところから始めます。そう、ここは体験型茶屋なのです。「反時計回りに、1秒で1回転くらいで5分回してください」。う、思ったより重い。これを5分ですか。病院のリハビリよりきついかも。抹茶を一杯いただくのも大変なんだ…と思いつつ回していると、お茶っ葉から抹茶の粉ができてくるのが不思議でした。宇治に行ったときも抹茶がどうやってできるのか考えたことなかった。これは貴重な体験です。

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ハケで粉を集めて、茶こしで漉してからお湯を注ぎ、茶筅でしゃかしゃか(もっと速く!)シャカシャカ。最後は「の」の字で泡を整えて完成! 苦労しただけあって美味でありました。これで300円は安い。ありがとうございました。

まだ時間があるので、散策マップ片手に裏通りを伊文神社に向かって歩いていると歴史を感じさせる風景に出会いました。

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あたりは住宅街なのですが、ときどき古い建物が残っています。やっぱり城下町って面白い。文化会館へ向かう前にランチにしようと、本町通りの喫茶店に入ってオムライスセットを注文しました。

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ド〜ンと、オムライスだけでもボリューム満点なのに「サラダです」と出してくれたのが、サラダ以外にゆで卵、卵焼き、蒟蒻と茄子の田楽煮まで盛ってあります。もちろん赤だし付。もう満腹です。能の幕間のおやつも要りません。

西尾はやっぱり太っ腹です。

(つづく)

2016年10月30日 (日)

なぜ日本の「ご飯」は美味しいのか (シンシアリー)

なぜ日本の「ご飯」は美味しいのか ~韓国人による日韓比較論~
なぜ日本の「ご飯」は美味しいのか ~韓国人による日韓比較論~ 』は、 歯科医の40代韓国人男性が「シンシアリーのブログ」に書いてきた「日本旅行記」を再構成したもの。

お姉さんとその娘さん(姪)の3人で何度か日本を訪れて、そのときに見聞きしたこと、感じたことを中心に「なぜそう感じたのか」について、新聞記事や統計などを交えて韓国の事情を説明しています。

それにしても、お隣の韓国で「反日」が国是と言われるまで徹底していると聞いてショックです。しかし、他国を毛嫌いし、反発しているだけでは自国の発展はありません。反日なら反日でいいから、それをバネにして、よりよい方向に発展させればいい。とわたしは思うのですが、現実にはむずかしい問題があるようで…。

第一章 観光客が激減する韓国、急増する日本
第二章 なぜ日本の「ご飯」は美味しいのか
第三章 日韓比較・国を語る五つの象徴
第四章 韓国人が買いたくても買えない「ニッポンブランド」と「日本の魂」
第五章「高信頼社会」日本、「低信頼社会」韓国

タイトルにある「ご飯」とはお米のこと。そう、定食についてくるご飯です。それが韓国のものよりおいしいのはなぜか。日本の温泉や銭湯の湯はきれいだけど、韓国の湯はすぐに汚れるという話もあります。でも、米も湯も根っこは同じだという気がします。米は安全で美味しいこと、湯も安全で気持ちいいことを大事にしているだけです。

対象が国家であれ、新作アニメであれ、良く言うこともできれば、悪く言うこともできます。著者は日本を観光で訪れて楽しんでいるようですから「良く言って」くれているのですが、反対に悪く言う人だっているわけです。だから、思い上がることなく謙虚に受け止めるべきでしょう。

遠くからわざわざ日本を訪れる外国人観光客が求めているのは、ディズニーランドのように「作られた世界」ではなく、日本人がふつうに暮らしている社会だと思うのです。それでも十分に「ワンダーランド」に見えるようですから。

お勧め度:★★★★☆

2016年10月29日 (土)

水戸黄門 天下の副編集長 (月村了衛)

水戸黄門 天下の副編集長 (文芸書)
水戸黄門 天下の副編集長 』は、水戸徳川家当主徳川光圀が始めた「大日本史」(国史)編纂を題材に、まったく原稿を上げてこない執筆者に業を煮やした黄門様が、覚さんと介さんをお供に原稿回収の旅に出るというパロディ時代小説。日経新聞夕刊の書評で「大爆笑」とあったので読んでみました。

1.天下の副編集長
2.謎の乙姫御殿
3.艶姿女編修揃踏
4.日本晴れ恋の旅立ち

1話目を読んでいると脳内で「じ〜んせい、楽ありゃ苦もあるさぁ♪」とTVドラマ「水戸黄門」のテーマ曲が流れます。お吟が「鬼机」って、鬼デスクですか。お吟がピンチになると風車が飛んできて「出たぁ!」。たしかに爆笑ものです。

しかし、2話、3話と読んでいくにつれ醒めてきて「これは水戸黄門ファンの出版関係者向け」だということに気づきます。『本所おけら長屋 』は「落語」だったけれど、こちらは「ギャグ漫画」。

いまさらですが、新聞の書評も「主観」なんですね。好みによりけり。されど、読んでみないことには(面白いかどうか)わからない。そういう意味では愉快な経験でした。

お勧め度:★★☆☆☆

2016年10月28日 (金)

陸王 (池井戸潤)

陸王
陸王 』は、 埼玉県行田市にある足袋製造業者「こはぜ屋」が新たにランニングシューズ開発に挑戦するお仕事小説。『下町ロケット 』のように、中小企業が大手企業の妨害や非協力的な銀行相手に悪戦苦闘しながら、自らの夢の実現に向けて努力する姿勢に胸を打たれます。

主人公の宮沢社長は、毎月の資金繰りに汲々として銀行に頭を下げるけれど、銀行は実績(過去)ばかり見て、将来性は評価してくれないのが不満です。一方、20名の従業員を説得してまとめていくのもひと苦労。おまけに就活がうまくいかなくて苦労している自分の息子もいるわけで、公私ともにプレッシャーが大きい。それでも、挫けそうになる心を、人のつながりが救ってくれて…。

池井戸潤の中小企業応援小説は、わたしにとって「水戸黄門」、王道小説です。まったく知らない業界の内幕を覗くことができるのも魅力です。今後も期待しています!

お勧め度:★★★★★


2016年10月26日 (水)

iPhone 5s + Apple Watch S2 で Suica 利用する

2代目Apple Watchに期待したのは「防水」と「Suica対応」です。

初代Apple Watchで困ったのが雨の日。雨でも自転車やバイクに乗るのですが、レインウエアを着ていても夏は暑いので袖をめくります。土砂降りだったりするとApple Watchを外さざるを得ません。大丈夫だったのかもしれませんが心配なのです。(過保護?)

そうして今回購入したのが「AppleWatch S2 ゴールドアルミニウムケースとココアスポーツバンド」。

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モバイルSuicaは「iPhone7 を持たなくても iPhone5 と Watch S2 があれば使える」という触れ込みだったので、iOS 10.1 と WatchOS 3.1 のリリースを待って、iPhone5s と Watch S2 を最新OSにアップデート。(ちなみに、iPhone5sにiOS10は重いです。)

大事なのが「Suica」アプリのダウンロード。似たような名前のアプリが色々ありますが、必要なのは「Suica」という名前のアプリです。これを使って、モバイル版 Suica を作って、Watchに転送します。その際、Suicaの種類は「無記名式」ではなく「記名式」にします。そうしないとチャージ用のクレジットカードが登録できないからです。

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iPhone5sのWalletアプリでは「パス」の登録はできても、クレジットカードを登録できません(SEは可能)。つまり、iPhone5sではApple Payが使えないのです。「Suica」アプリで無記名式カードを登録するにはApple Payが使えなくてはなりません。一方「記名式」カードであれば、チャージ用のクレジットカードを同時に登録するのでApple Payは不要なのです。

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名古屋市バスに乗るときにドキドキしながらWatchをかざしたら、1,000円チャージしてあったところから、ちゃんと210円引き落とされました。改札をスムーズに抜けるためにはiPhoneのWatchアプリの「WalletとApple Pay」で「エクスプレスカード」指定(下図参照)しておく必要があります。そうしないと支払いのたびにWatchのサイドボタンをダブルクリックしなければなりません。

元から持っている「manaca」カードは、iPhone7以降を手に入れたときに iPhoneに取り込みます。その際、保証金500円も戻ってきてカードは廃棄することになるそうです。

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iPhoneではなく、Apple Watchで改札を通りたい。

iPhoneケースにmanacaカードを入れてあるので、iPhoneをかざすのなら何も変わりません。チャージするのに券売機が不要になるだけ。改札を通るためであれば、スマホを取り出すのも定期入れを取り出すのも手間は同じです。何も取り出すことなく改札を通れるのが最もスマートだと思うわけです。

ただ、問題は左手にはめたWatchを改札の右側のセンサーにかざすのは人間工学的に無理があること。だから、わたしは右手にはめることにしたのです。

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というのは真っ赤な嘘で、左手首を怪我してしまったので、やむなく右手にはめているのです。(お粗末…)

Apple Watchにクレジットカードを登録することにも成功したのですが、QuickPay を使うことはないのとセキュリティが不安なのでカード削除しました。当面 WatchはSuica専用にします。

メッセージとメールの通知機能も便利ですが、無音の振動アラームも重宝しています。「ワークアウト」のサイクリングとウォーキングも使っています。さらに Apple Watchは、今回のように「支払いのため」「通るため」以外に「開けるため」「ON/OFFするため」「本人確認」の鍵になっていくような気がします。

そう、Apple Watchをはめていれば、Macのロックを自動解除できるのも便利です。(要 MacOS Sierra)

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ロック解除もSuica利用も、そのためにはApple Watchの「パスコード」設定が必須です。便利になる反面、悪用されたときのリスクは増大します。ますますセキュリティが重要になってきますね。

2016年10月25日 (火)

ワキから見る能世界 (安田登)

ワキから見る能世界 (生活人新書)
ワキから見る能世界 』は、現在『異界を旅する能 ワキという存在 (ちくま文庫) 』として出版されています。実際にワキを演じる著者だからこそ見える世界があり、一歩踏み込んだ解釈を見せてくれます。

能では「シテ」が主人公で「ワキ」は脇役かと思っていましたが、そうではないようです。シテというのは「〜する人」であり、ワキは「分からせる人」だというのです。夢幻能において、シテは幽霊でワキは旅の僧だったりします。つまり「死者は留まり、生者は旅する」。シテの思いを晴らす手助けをするのがワキなのです。

「能(夢幻能)とは、ワキが異界の住人であるシテと出会う物語。ふたりの出会いが実現されたとき、そこには異界が出現する。そして、その出会いを実現するためには、ワキは自分の存在をなるべく無に近づけるための行為をする必要がある。それが旅だった。しかも、乞食の行としての旅だった。」

一度読んだだけではよくわからない部分もありますが、能のガイドブックに飽きた方にはお勧めします。夏目漱石が能にも通じていたと知り「草枕」を読み直してみることにしました。

お勧め度:★★★★☆

2016年10月24日 (月)

あらすじで読む名作能50選 (多田富雄)

新版 あらすじで読む名作能50選 (日本の古典芸能)
新版 あらすじで読む名作能50選 』は、能の代表的な演目を紹介する入門書。カラー写真が豊富で、あらすじを読んでから、解説を読むからわかりやすい。9月に観た名古屋片山能の「融」も載っていて、あらためて「ふーん、そういうことだったんだ」。

翁、道成寺、船弁慶、土蜘蛛、自然居士は一度は観てみたい。

幸い、名古屋城の南に名古屋能楽堂があり、平成28年度は5月、7月、9月、10月、12月、正月、3月に定例(特別)公演があります。正月には翁と楊貴妃があるのでぜひ観に行きたいと思います。

お勧め度:★★★★☆

2016年10月22日 (土)

名古屋能楽堂10月定例公演観劇記(狂言:鬼継子 能:通小町)

2016年9月の「名古屋片山能」で、能の魅力を知ったので、10月は「名古屋能楽堂」の定例公演に行ってきました。

名古屋近郊で能や狂言に興味がある方は、名古屋城正門南にある名古屋能楽堂へ足を運んでみてください。ロビーに置いてあるパンフレットを集めて、次回定例公演のチケットを事務所で買って帰ればいい。文楽のときもそうでしたが、敷居が高いのは最初だけ。とにかく一度観れば、視界が開けます。チャンスを逃さないことが大事。

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チケットは、ネットで購入することもできますが、1枚買うのに400円も500円も手数料がかかるのは不経済です。今回のように、主催者が「名古屋市文化振興事業団」の場合は、栄ナディアパーク8Fの事務所に行けば、手数料なしで購入できます(クレジットカード可)。

今回は開演15分前に「ショート解説」がありました。フレンドリーな語り口で、堅苦しいと思われがちな能の開演まえに場が和んだのはよかったのですが、内容が整理されておらず散漫だったのが残念。文楽でも開演前にストーリーと見どころを中心に簡単な解説があります。能の「ショート解説」は良い企画だと思うので、どなたか解説原稿を書いてください。

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狂言「鬼継子」が始まります。

黄色い着物を着た女性が現れます。彼女は夫を亡くし幼い我が子を抱いて実家へ帰る途中、鬼に見つかってしまいます。女性が大柄で、鬼のほうが小柄。自分の妻になって地獄についてこいという鬼と、なんとか我が子を救おうとする母親のやりとりが珍妙で可笑しい。化粧を直す間、子供を抱いてあやすようにいう母。「○◇▽□って言って」「なんでそんなことを」「いいから、言って」。おっかない物言いに、鬼は「わかったわかった」と赤子をあやします。まるで孫をあやしている爺様です。「おまえの母はおおきな顔に白粉を塗っておるぞ」。鬼より母親のほうが大柄なのが「設定」みたいです。鬼のくせに妙に人間くさい仕草が笑えます。最後は、人間のくせに鬼より強い母親が勝つというお話でした。舞台にはふたりしか登場しません。今でいえば、コントか漫才でしょう。

開演前に「イヤホンガイド」(無料)を借りていますが、ガイド音声が流れるのは能だけで、狂言はガイドはありません。なくても大体わかります。ただ、鬼は面をつけているので声がこもって、すこし聞き取りづらい。

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15分間の休憩をはさんで、能「通小町」です。

京都の八瀬の山里の僧のもとへ毎日木の実を届ける里女がいて、どんな実をもってきたのか説明を求めると、桃だ梨だとたくさん説明するのです。あとで調べたところ「嵐にもろき落椎、人丸の垣ほの柿、山の辺の笹栗、窓の梅、園の桃、桜麻、苧生の浦梨、櫟香椎、真手葉椎、大小柑子、金柑」など。手に提げている竹かごにはそんなに入ってないし、桃って木の実というより果実です。そもそも八瀬の山に桃がなるの? あ、思わず突っ込んでしまいました。

僧が「ところであなたのお名前は?」「小野の…市原野辺に住む女で、わたしの跡を弔っていただきたいのです」と言い残して消えてしまいます。搔き消えるというからどうするのかと思ったら、舞台の奥、後見さんの座っている正面で座り込んで「消えた」のです。

市原野辺へ出向いた僧が小野小町の霊を弔っていると、橋掛かりの向こうから深草の少将の声が響いてきます。要するに「ちょっと待ったぁ」というわけです。彼は小野小町を想い「百夜(ももよ)通い」をした挙句、九十九夜で亡くなってしまい、成仏できないまま、いまだに小町を追っているのです。小町だけ成仏されたら自分は置いてけぼりになるから困るわけです。ストーカー幽霊の痴話喧嘩になど巻き込まれたくないと、わたしだったら思うけれど、僧はそれがお仕事なので「この場で百夜通いを再現してみてはどうか」と提案します。

公演パンフに写っているのが少将です。すっきりした形をしていますが、鬼気迫る表情をしています。

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「百夜」ですから、夜です。月がなければ真っ暗です。小町に「姿を変えて」と言われたので蓑、笠、竹の杖を持ち、足元も見えないススキの原を(車や馬ではなく)徒歩で通ったのです。どれくらいの距離だったのかわかりませんが、雨が降ればびしょ濡れになるし、雪が降れば凍えるでしょう。笠を手に柱にぶつかってしまう様子が再現され「この人も苦労したんだなぁ」と同情したくなります。そして「明日は小町に会えるぞ」と張り切ったところで過労死って、そりゃ化けて出たくもなるでしょう。小野小町は罪な女です。その後、僧の回向によってふたりは無事成仏しましたとさ。めでたし、めでたし。

お囃子方の小鼓の方がご高齢のせいか足取りが心もとなく、小鼓を打つ手も弱々しく見えたのですが、深草の少将を打つ雨だれを象徴していたとか。そう言われると納得してしまいます。舞台を終え、橋掛かりを渡っていく様子を見ながら心の中で「がんばれ、爺ちゃん」(失礼)と拍手を送ったのでした。

先月の「名古屋片山能」で観た「融」は、後半の舞がかっこよかったので、今回も舞を期待したのですが、かならずしも舞があるわけではないのですね。「小督」の舞もよかったし、藤田六郎兵衛さんの笛も印象的だった。

来月は「やっとかめ文化祭」で、能「草薙」と狂言「昆布売」を観る予定です。

お勧め度:★★★★★

2016年10月21日 (金)

これならわかる、能の面白さ (林 望)

これならわかる、能の面白さ
これならわかる、能の面白さ 』は「リンボー先生」が書かれた能の解説書ということで読んでみました。これは以下21曲の解説集なので、初心者にはピンときません。能を観る際の予習、復習として読むのがよいように思います。

翁、箙、吉野天人、絵馬、安達原、船弁慶、高砂、石橋、俊寛、野宮、安宅、鉢木、屋島、二人静、小督、土蜘蛛、松風、羽衣、巴、定家、鶴亀

かなり深く能を理解してらっしゃる様子に驚いていたら、観世流の能を習ってらしたとか。観るだけ、聴くだけでなく、自ら謡を唸ってみて初めてわかることがあるらしい。つまり、わたしにはそこまで理解できないわけで、半ば「置いてけぼり」状態で「これじゃわからない、能の面白さ」。

それでも、能の雰囲気は楽しむことができるので、興味のある方はどうぞ。

お勧め度:★★★☆☆

2016年10月20日 (木)

豹頭王の来訪 〜 グイン・サーガ 139 (五代ゆう)

豹頭王の来訪 (グイン・サーガ)
豹頭王の来訪 (グイン・サーガ) 』は、グインサーガ139巻目。このままいけば200巻超えは必定。「ローダン」に続く(終わらない)のか!?

1.<死の御堂>の聖者(承前)
2.豹頭王来訪
3.愛に値せぬもの
4.<三姉妹>
閑話 再び、ヤガーそして

信者は謙虚でおとなしいはずだったミロク教が変わってしまい、幼子スーティを庇った母フロリーと、パロのヨナ博士がさらわれてしまいます。ふたりを救出すべく神殿の奥深くに潜入したブランは老僧に出会います。一方、スーティを預かったスカールは黄昏の国の女王ザザと、ノスフェラスの狼王ウーラと逃避行を続けます。スーティがウーラを「わんわん」と呼ぶのが可愛い。憎たらしいイシュトバーンの息子とは思えない愛らしさ。これはフロリーの血ですね。将来、父を諌めるようになることを期待しています。

キタイの竜王の支援を受けたイシュトバーンによって襲撃されたパロを逃れワルド城に滞在していたヴァレリウスは、弟子のアッシャが魔力を暴走させ村を破壊してしまい、まずい立場に置かれています。リギアは怪我をしていてすぐには動けないし、アッシャもお咎めなしでは済みません。そこへ現れたのが…!

今回は豪華キャストです。いつものレストランでいつもの料理を注文したら、常連サービスで追加の皿を出してもらえたような、お得な気分。(笑)

今後、二代目の子供たちの行く末が楽しみです。先のスーティ以外にも、オクタヴィアとマリウスの娘マリニア、グインと愛妾ヴァルーサの間に生まれた双子アルリウスとリアーヌは各々楽しみなのですが、シルヴィアの子はどうなってしまうのか心配です。悪い奴らの傀儡にされなければいいのですが。

「グイン・サーガ」の世界の大きな謎はグインの出自ですが、一方の鍵を握るのがスカールらしい。グインは不死身でしょうけれど、スカールはボロボロの身体を魔道でかろうじて生かされている状態。あ、魔道だからこちらもなんでもアリですか。長生きしてくださいね。

お勧め度:★★★★★

2016年10月18日 (火)

本所おけら長屋 2 (畠山健二)

本所おけら長屋(二) (PHP文芸文庫)
本所おけら長屋(二) 』は、シリーズ第2弾。1話は前巻「ふんどし」の後日譚で、4話は前巻「かんおけ」が絡む話なので、1巻から読むことをお勧めします。冒頭に付近の地図と長屋の見取図がついています。住人の年齢まで書いてある。

1.だいやく
2.すていし
3.まよいご
4.こくいん
5.あいおい
6.つじぎり

前巻と話がつながって、厚みが出てきて、ようやく面白くなってきました。しかし、おけら長屋の面々の活躍は痛快でもあり爆笑ものでもあり、やはりこれは小説というより落語の世界です。読者の予想の斜め上をいく突飛な展開を、江戸の長屋暮らしに着地させようとするギャップが凄まじい。

落語のもつ(良い意味での)でたらめさを面白がって読むか、とてもついていけないと諦めるか。読者の評価は真っ二つに分かれそうです。

お勧め度:★★★☆☆

2016年10月16日 (日)

本所おけら長屋 (畠山健二)

本所おけら長屋 (PHP文芸文庫)
本所おけら長屋 』は、12軒並ぶ貧乏長屋に一癖ある住人が日々助け合い(おせっかい?)ながら暮らす様を描いています。シリーズ化されていて、現在7巻まで出ています。

1.だいくま
2.かんおけ
3.もののふ
4.くものす
5.おかぼれ
6.はこいり
7.ふんどし

1話目は「まるで落語だな」と思いつつ読んでいたら、なにやら大騒ぎになっていって、種明かしに至って「どこまでお人好しなんだ。それに人別帳はどうする」。お人好しにも程があると憤慨しながら2話目。やっと小説らしくなってきました。米屋の万造と酒屋の松吉の「おせっかい爆弾」が炸裂して、究極の人情話になっていきます。連作小説なのですが、各話の統一感に欠け、これまで読んできた時代小説とは勝手がちがいます。

お勧め度:★★☆☆☆

2016年10月11日 (火)

名古屋で文楽:近頃河原の逢引(四条河原の段、堀川猿廻しの段)

2016年はわたしの「文楽元年」と決めて、今回を含めて5回観ました。

1.3月は、京都(京都府立芸術文化会館)で、絵本太功記(夕顔棚の段、尼ヶ崎の段)と日高川入相花王(渡し場の段)。

2.4月は、大阪(国立文楽劇場)で、妹背山婦女庭訓(二段目 鹿殺しの段、掛乞の段、万歳の段、芝六忠義の段 四段目 杉酒屋の段と、道行恋苧環、鱶七上使の段、姫戻りの段、金殿の段)。

3.5月は、名古屋(中日劇場)で、壺坂観音霊験記(沢一内の段、山の段)と、本朝廿四孝(十種香の段、奥庭狐火の段)。

4.8月は、愛媛県内子町(内子座)で、仮名手本忠臣蔵(五段目 山崎街道出会いの段、二つ玉の段、六段目 身売りの段、早野勘平腹切の段)。そして、今回、

5.10月が、名古屋市芸術創造センターで、近頃河原の逢引(四条河原の段、堀川猿廻しの段)。

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文楽公演は、大阪と東京が2大拠点で、時々地方公演があるといった感じ。年に2回名古屋で公演があるだけでも有難いことです。(ぜひ来年もお願いします!)

会場は名古屋市芸術創造センターで18:30開演。名古屋市営地下鉄桜通線高岳駅から歩くついでに幕間のおやつ用に「テーラ・テール」でパンを買いました。いつものクロワッサン(サリュー)とカレーパン(とまとオリエンタル)。どちらも焼きたてだったので、温かいうちにと、会場に着くなり開演前に食べちゃいました。カレーパンはたっぷりの挽肉にトマトの酸味がアクセント。サリューは噛むとひろがる小麦の甘さとバターの風味。やっぱりおいしい!

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例によって2階席、2,600円です。歌舞伎の6,000円に比べると半額以下。財布にやさしいのがうれしい。今回は、京都公演で見た、縦長の字幕装置が舞台下手に置いてあります。これ「G・マーク」と呼ぶそうで…。(苦笑)

近頃河原の逢引の四条河原の段では、井筒屋の若旦那・伝兵衛と恋仲の祇園の遊女お俊(しゅん)に横恋慕した官左衛門が、主家の宝である茶入れを餌に伝兵衛を困らせ「とにかく茶入れを一旦わたしに預けてくれ」と頼み込む伝兵衛の眼の前で官左衛門は茶入れを割ってしまいます。それでキレた伝兵衛が官左衛門を斬り殺してしまいます。その場は井筒屋の番頭がごましかてくれたものの、お上の調べで容疑者伝兵衛が確定。殺人容疑で逃げる伝兵衛はお俊の実家に現れたのです。ここからが堀川猿廻しの段になります。

お俊の母と兄は伝兵衛がヤケをおこしてお俊を殺してしまうのではないかと心配でなりません。慌て者の兄は、伝兵衛を締め出したつもりでお俊を家から締め出してしまい大騒ぎ。ただ、伝兵衛は暴れることなく神妙な様子。お俊の命を奪っては親兄弟が悲しむからと、お俊を巻き込むまいとするのですが「それは聞けませぬ伝兵衛さん」の名セリフで、元はといえば自分の責任だと、ともに心中しようと心に決めます。

最後は母と兄もお俊の気持ちを汲んで、ふたりの道行を許します。暗くなりがちな雰囲気を取り繕うかのように、まるで前途を祝うかのように、兄は猿回しを見せるのです。これは黒子さんがひとりで二匹の子猿をマペットのように動かすのですが、これが可愛い! 三味線もふたりになって迫力があります。かっこいい!

道行の予感のなか、愉快な猿回しを見るというのは、物悲しいはずなのに、面白可笑しく見てしまうのが、人としてどうなのかと(ちょっとだけ)悩んでしまいます。そもそも主家の茶入れを無断で持ち出したうえに故意に壊した官左衛門は放っておいても切腹でしょう。忠臣蔵ではないけれど、伝兵衛の「短気は損気」だったような気がします。

文楽は、舞台の人形だけでなく、左の字幕、右の太夫と三味線も見たいから忙しい。最近わかってきたのですが、見たいところを見ればいいと思うのです。人形が布団を被って寝ているシーンでは「主遣いさんは腕が苦しそうだな」と思うし、女性のセリフでは「太夫さんの声が裏返ってる」とか「三味線の弦が切れたみたい」とか。気づいたら一点を凝視していたことが多々あります。

歌舞伎はとにかく華やかですし、役者が大勢出てくると迫力があります。それに比べると文楽は派手さは控えめながら、人形ならではのマニアックな演出があったりして面白い。一体の人形を3人で操るので、舞台に4体登場すれば、そこには12人いるわけで、狭い家ならいっぱいになります。ただ、そんなことはおくびにも出さず、観客も人形の動きだけを追うお約束に従うも良し、心のなかでツッコミまくって楽しむも良し。文楽は、いろんな見方、楽しみ方ができます。

今年は文楽はこれで見納めになりそうですが、また機会があれば見に行きたいと思います。

2016年10月 8日 (土)

2016 錦秋名古屋顔見世 歌舞伎初体験記 2

「菅原伝授手習鑑」が終わり、20分間の休憩でロビーに出て(コンビニで買ってきた)パンを食べました。会場ではお弁当も売っていますが、夕食は帰りに取る予定なので、いまはおやつでいい。

さて、続いては「英執着獅子」です。

これは長唄舞踊なのですが、能の「石橋」から来ており、霊獣である獅子が舞う様子を演じています。お囃子も、左に笛、小鼓x2、大鼓、太鼓、右には三味線と太夫が4人ずつという豪華キャスト。パーカッション、ストリングスとコーラスでしょうか。主役である女方(時蔵)の衣装も華やかで、舞も美しく、力強い。

能では、囃子方はシテのセリフに被ろうが容赦なく音を出していましたが、歌舞伎のお囃子はあくまで役者のためのBGMという感じ。お芝居として全体のまとまりを大事にしているように感じました。

Img_2941

上の写真が2階席から見た舞台。下手側に花道が見えます。花道にはすっぽん(下からせり上がってくる仕掛け)もあります。

舞台の緞帳を見ていた次男が「右のほうに白く見えるのは東京タワーみたいじゃない?」。たしかに、うっすらと塔が見えます。「名古屋だからテレビ塔だろうな」。

Img_2942

それじゃ、その左隣に見える白いシルエットは? 名古屋市役所を横から見たところという話も出ましたが確証はなく、会場整理の女性に訊いたところ「緞帳には名古屋城、テレビ塔、熱田神宮が描かれていると聞いています」。あれは熱田神宮のどこなのだろう。そうは見えませぬ。

あとで元画像を拡大してみて判明しました。やはりテレビ塔の左に見える建物は名古屋市役所です。

Cityhall

そして、熱田神宮は名古屋城の左上にちらっと見えています。つまり、日本特殊陶業市民会館の緞帳には名古屋城、熱田神宮、名古屋市役所、テレビ塔が描かれています。あぁ、すっきりした!

さて「英執着獅子」が終わって、30分間の休憩後、最後の演目「品川心中」です。

これは面白くて笑えました。まるで松竹新喜劇です。セリフもテレビの時代劇みたいでわかりやすいし、地元ネタで笑わせてくれたりします。

三大名作の一つに加えて、舞踊と喜劇を並べて、まるでお芝居の「幕の内弁当」。しっかり楽しませてもらいました。歌舞伎も面白い!

お勧め度:★★★★★

2016年10月 7日 (金)

2016 錦秋名古屋顔見世 歌舞伎初体験記

錦秋名古屋顔見世(夜の部)を観てきました。今年になって、文楽と能を生まれて初めて観て、残るは歌舞伎だったのです。

演目は「菅原伝授手習鑑(寺子屋)」「英執着獅子」「品川心中」。会場は本来、伏見の御園座なのですが、建て替え中のため、金山の日本特殊陶業市民会館です。

Kabuki2

3等席なので、2階席のいちばんうしろ。いわゆる「大向こう」というやつです。「よろずや」と声をかけるおじさんがいました。それにしても、この席が6,000円とは、文楽や能と比べると高い。それだけ歌舞伎は大掛かりでお金がかかるのでしょう。

次男といっしょだったので、上図のチラシを受付でもらって、裏面のあらすじを読んでおくように渡しました。あらすじがわかっていればなんとかついていけるはず。

「菅原伝授手習鑑」は文楽にもあります。菅原道真が大宰府に流されるお話なのですが、寺子屋を営む武部源蔵が、道真(菅丞相)の息子(菅秀才)を匿っていることを時平に知られ、秀才の首を差し出すよう命じられたのです。なんと源蔵(染五郎)は、その日寺子屋に入ったばかりの小太郎を身代わりにして、その首を差し出します。検分役の松王丸(仁左衛門)の目をごまかし、ピンチを切り抜けたところに、小太郎の母が迎えにやってきます。「小太郎は奥で元気に遊んでおります」と嘘をついて、母親に斬りかかったところに松王丸が現れます。じつは小太郎は松王丸の実子だったのです!

小太郎を身代わりに差し出すのは覚悟のうえだったとはいえ、親にとってはむごすぎる。小太郎の最後の様子を訊ねる松王丸に、源蔵は「事情を説明したらご自分から首を差し出されました。しかも最後は笑っておられました」。「なに、笑っておったか」。息子をあっぱれと褒めてやりたいところだけれども…そのときの松王丸のなんともいえない表情を思い出すと今でも泣けてきます。

舞台上手に太夫と三味線がいて「文楽とおなじだ」。人形はしゃべらないから太夫がセリフも話さないといけないけれど、歌舞伎では役者がしゃべるので、太夫は解説役。

舞台がはじまって最初に感心したのが、源蔵の妻戸浪(梅枝)が登場した瞬間。「女方ってすごい」。女より女らしい。男は男らしく、女は女らしくと、はっきりしています。これが浮世絵になったのですね。

最後に、登場人物全員がポーズを取って終わるのですが、それがすごく様(さま)になっているのです。そのまま菊人形にしたいくらい。ほぉ〜っとため息をついたところで幕となりました。

しかし、寺子屋はストーリーが重すぎて疲れました。

(つづく)

2016年10月 6日 (木)

歌舞伎名作ガイド50選 (鎌倉惠子)

一冊でわかる歌舞伎名作ガイド50選
一冊でわかる歌舞伎名作ガイド50選 』は「歌舞伎ってどんなものなんだろう」と最初に手に取った一冊。豊富なカラー写真で、極彩飾の世界だということがよくわかります。

菅原伝授手習鑑、仮名手本忠臣蔵、義経千本桜の三大名作って、それ、文楽にもあるじゃないですか。やっぱり文楽の演目が歌舞伎にも流れたんですね。他に、勧進帳、毛抜、暫、助六、鳴神、矢の根といった歌舞伎十八番など、全部で50の演目が紹介されています。

これで予習して、本物の歌舞伎を見にいきましょう。

お勧め度:★★★☆☆

2016年10月 5日 (水)

青い海の宇宙港 秋冬篇 (川端裕人)

青い海の宇宙港 秋冬篇
青い海の宇宙港 秋冬篇 』は『青い海の宇宙港 春夏篇 』の続編。島での1年間を2冊に分けてあります。

ロケットの打ち上げや、島の自然と神話、学校教育、里親制度など、丁寧に取材したことがわかる、本格的な内容なのですが、小学生が主人公なので、ともすると児童書みたいな気がして、読者としてのモチベーションが下がります。

児童書は息子たちが幼い頃、いっしょになって読みました。『ルドルフとイッパイアッテナ 』は今でも好き。岐阜の金華山ロープウエイに映画のステッカーがぺたぺた貼ってあったのは、ルドルフの故郷が岐阜だからでしょうか。

しかし、子供たちが本格的なロケットを打ち上げようとする様子には感動。後半は一気に読みました。これが高校生なら驚かないのですが、小学生というところがミソですね。そんな短期間に、コストのかかるミッションが実現可能なのか。思わずツッコミたくなりますが、そこがフィクションの良いところ。可能なんですよね。

大人も勇気をもらえる一冊です。

お勧め度:★★★★☆

2016年10月 3日 (月)

青い海の宇宙港 春夏篇 (川端裕人)

青い海の宇宙港 春夏篇
青い海の宇宙港 春夏篇 』は、小6の天羽駆は多根島の宇宙遊学生として、1年間多根南小学校に編入してきました。駆はロケットよりも、島の生き物に興味があったのですが、周太、希美、萌奈美らと「宇宙探検隊」を結成。巻き込まれていくのでした。

本物のロケットの打ち上げを見て、自分たちで作った小さなロケットを飛ばして、小学生のときにこんな経験ができたら素晴らしい。(モナちゃん、かわいい!)

専門用語が多いわりに、解説図などないし、わかりづらい部分はあるけれど、興味があれば自分で調べればいい。それくらいしないと、駆たちに笑われます。

青い海の宇宙港 秋冬篇 』に続きます。

お勧め度:★★★★★

2016年10月 1日 (土)

あきない世傳 金と銀 早瀬篇 (高田郁)

あきない世傳金と銀 2(早瀬篇) (ハルキ文庫 た 19-16 時代小説文庫)
あきない世傳 金と銀 2(早瀬篇) 』は、シリーズ第2弾。「みをつくし料理帖」シリーズは「江戸時代グルメ小説」だったことと、人情ものだったことで大好きだったのですが、この新シリーズはビミョーでした。まず第一に、タイトルが読めない。「あきないせい、でん??」。そして反物は食べられない。

それでも一気読みしてしまいました。非情な運命に立ち向かう、健気な幸から目が離せません。醒めた読者にはあざとく映るかもしれませんが、この「高田節」が好きなのです。

読み進めるうちに「あ、フラグが立った」「やっぱり...」。最後は、ちょっと予想が外れて「そう、来たか」。

五十鈴屋の番頭、治兵衛のセリフ「知恵は、何もないとこからは生まれしまへん。知識、いう蓄えがあってこそ、絞り出せるんが知恵だすのや。そやさかい、盛大に知識を身につけなはれ」。

なんで勉強せなあかんのか。現代にも通じる話です。

お勧め度:★★★★★

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