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2016年5月30日 (月)

中日文楽観劇記(壺坂観音霊験記、本朝廿四孝)

2016年5月は、地元名古屋で文楽公演「中日文楽」があるということで観て参りました。地元で観ることができるのは有難いです。どんどんやってください!

演目は、壺坂観音霊験記(沢一内の段、山の段)と本朝廿四孝(十種香の段、奥庭狐火の段)。午後4時、栄の中日劇場で開演です。

天気予報は雨なので地下鉄で行きます。栄で降りてすこし歩けば地下から中日ビルに連絡しているのですが、思わず「喫茶コンパル」に寄ってしまいました。

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熱いコーヒーに砂糖など入れてから氷のグラスに注ぐ。このアイスコーヒーが美味しい。問題は、喫煙可なので隣にタバコを吸う人が来ないかどうか。店が空いている時が狙い目です。

中日ビルの1階から直通エレベーターで9階へ。窓から外を見ると栄が一望できます。

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わたしは高額な席でなくても「見えればいい」ので、2階席のB席です。すぐ後ろの扉を出ると3階ですから、舞台までかなり遠い。でも双眼鏡持参ですから大丈夫。2階席にはぱらぱら空きがあります。「もったいない」と思う反面、空いている方が快適ではあります。

開演前に豊竹咲寿太夫が演目の説明に立ちます。3月の京都でも彼が説明していましたが、4月の国立文楽劇場ではなかった。地方公演だけなのでしょうか。

いよいよ開演。とざいとーざいの黒子さんの声が遠いです。

▼ 壺坂観音霊験記(沢一内の段、山の段)

国立文楽劇場みたいに、字幕は舞台上に横書きで表示されます。太夫と三味線の紹介されたところで「待ってました!」。おぉ、お芝居みたい。文楽では初めて聞きました。

さて、目が見えない沢一が、3つ年下の幼なじみ・お里と所帯をもって3年。こんな身体では、お里に世話をかけるばかりと世を儚んで身を投げ、お里もあとを追うという悲劇。

早い話が、夫婦喧嘩の段と、投身自殺の段です。

貧しい暮らしをしているという設定ですが、沢一の衣装は汚れひとつない絹ですよ。木綿なんかじゃありません。いい暮らししてるじゃないですか。(と、ツッコム)

どうやって身を投げるんだろう。ひょっとして…と舞台を注目していると「あ、落とした」。崖の上から約1メートル下の谷底(舞台)に人形を落としたのです。それを受け取った黒子が舞台の袖に消えていきました。高い位置から見ていると黒子の動きがよくわかる。頭が傷つかないようにしないといけないものね。

無表情な人形が、怒ったり、泣いたり、笑ったりする。それが人形遣いの技。舞台まで遠くても、太夫の声はちゃんと聞こえます。竹澤宗介の三味線が気に入りました。

舞台となった壺阪寺(南法華寺)は、奈良県にあり(橿原神宮の南方)、眼病に霊験があるとか。「沢一の杖」が伝えられているそうです。

夫婦が互いを思って投身自殺。でも救われる道が用意されていますからご安心を!

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このデザインのクリアファイルをもらいました。(八重垣姫+白狐モード)

▼ 本朝廿四孝(十種香の段、奥庭狐火の段)

武田勝頼の影武者が切腹し、許嫁だった八重垣姫は部屋に篭って勝頼の絵姿を眺めながら落ち込んでいるし、反対側の部屋では、腰元の濡衣が位牌をまえに影武者を供養している。その真ん中で立派な装束に身を包んだ「花作りの蓑作」が立ってます。

これはどう見ても若殿じゃないですか。蓑作を見た八重垣姫は「もしやあなた様は勝頼様では」と縋りつきます。それを振り払う蓑作。橋本治いわく「文楽の姫は恋することがお仕事」。アイドルの追っかけ、ストーカー寸前です。

勝頼でなくてもいい、勝頼似のいい男・蓑作を紹介してほしいと濡衣に頼み込む八重垣姫。それならば武田家の家宝「諏訪法性の御兜」を盗み出してくるように言います。その話をこっそり聞いていた謙信は、使いに出した蓑作を暗殺しようと企み、それを知った姫は、そのことを蓑作に知らせたいと「アゝ、翅がほしい。羽がほしい。飛んで行きたい。知らせたい。逢ひたい」となるのでした。わたしの脳内では「翼をください」が流れます。

奥庭狐火の段は圧巻でした。ツインギターならぬツイン三味線に琴が加わり、舞台では怪しい狐火が飛び回り、ついには白狐が飛び出します。え、どこからどうやって出てきたの。あたりを跳ねまわった狐は諏訪法性の御兜にとり憑きます。そこへやってきた八重垣姫。塩尻へ向かった勝頼にどうやって危機を知らせればいいのか。近道するには諏訪湖を渡るしかない。でも冬だから湖は凍っていて船は出せない。それなら神の使いの狐のあとを歩いて渡るしかないのだけれど。

というお話で、八重垣姫の衣装が赤から白に一瞬で変わり、人形使いが3人とも黒子ではなくなるし、最後は白狐が4匹出てきて大団円。もう宝塚状態です。

▼ そんなわけで

休憩を含めて3時間の公演でしたが、奥庭狐火の段は最高に面白かった。興味のある方はぜひ一度ごらんください。派手な演出が、とてもわかりやすい。

2階席の後方からは、舞台にベニア板が張ってあるのが丸見え。主遣いさんが履いている高下駄のような履物に草鞋みたいなものが2枚前後に巻いてあるのが見えました。ドンドンと足を踏み鳴らすのは足遣いさんなんですね。屈んだままで動き回るのはつらそう。

文楽を観るのは今回で3度目なので、すこし慣れて余裕が出てきました。

休憩時間はロビーに出て身体を動かしたり、ペットボトル茶と軽食を持参したり、観劇中は脱いでおける靴にしたり、スポーツタオルを寒ければ肩に羽織り、疲れたら畳んで背もたれに乗せれば簡易枕とか、工夫ができるようになってきました。

椅子のクッションは国立文楽劇場よりよかったのか、お尻もあまり痛くなりませんでした。ただ、左右と足元に余裕がないのはおなじ。日本人の体格も大きくなっていますから新幹線だけでなく、劇場の設計も変えてもらいたい。

中日劇場でもらったパンフレットに、三谷幸喜演出の「其礼成心中」大阪公演がありました。曽根崎心中のパロディだから「それなり心中」。落語みたいに新作ってないのか疑問だったのです。どんどんチャレンジしてほしい。しかし、興味はあるけれど8,000円+交通費は高いなぁ。DVDを買ったほうが安上がり。それに、できればオリジナルの「曽根崎心中」を先に観たい。

さて、次回の文楽はいつ、どこで、なにを? たのしみです。

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