« 京都はんなり暮らし (澤田瞳子) | トップページ | 図書館の魔女 (下) (高田大介) »

2016年5月22日 (日)

図書館の魔女 (上) (高田大介)

図書館の魔女(上)
図書館の魔女(上) 』は"Boy meets girl”ファンタジー。山里で修行を積んできた少年キリヒトは「高い塔」と呼ばれる図書館に迎えられました。「図書館の魔女」マツリカの手話通訳見習いとして。

マツリカは耳は聞こえるのですが話すことができません。ふたりの女性司書ハルカゼとキリンが手話通訳もこなしていたのですが、彼女たちも多忙なため、新人を投入したという設定。ただ、キリヒトは山で炭焼きをしていたことしかわかっていません。

「高い塔の魔女」と繰り返されると「塔の魔女といえばケモミミのたんぽぽ」を連想してしまい、頭のなかは大混乱。倉石たんぽぽは、コミック&アニメ『ウィッチクラフトワークス』の、ちょっとお馬鹿で憎めない魔女なんです。マツリカはどちらかといえば「工房の魔女・火々里 綾火」だけど性格はずいぶん違う。綾火は多華宮 仄を守っているけれど、マツリカが守るのは図書館であり、自国を含む世界の平和、かな?

祖父である先代「図書館の魔法使い」タイキから役目を引き継いだマツリカはまだ15歳くらいでしょうか。外見に似合わずじゃじゃ馬で毒舌家。お嬢様とかお姫様と呼ばれるのが大嫌い。そのギャップが可笑しい。

図書館の魔女(魔法使い)といっても魔法を使うわけではなく(いまのところ)薬や呪術が出てくる程度。それよりも、タイキが周辺諸国を巻き込んだ戦争を秘密裏に回避した逸話が残っているように、情報を集め、分析し、作戦を立て、実行する「戦略家」だといえるでしょう。実際、自国の王室と議会に大きな影響力を持っています。そういう意味では(裏の)政治家ともいえるでしょう。だから敵も多いわけです。

マツリカもキリヒトも生い立ちなどの説明がないまま、章が進んでいって、あとになって、周辺の人物も含めて紹介されるので、なにか「事」が起きるよりも「説明」が長くて、世界観はよくわかるのですが、やや退屈。上巻終盤になってキリヒトが発見したことからマツリカが推理して、ふたりでちょっとした冒険をします。

マツリカのセリフは手話か、通訳者の声なのですが、小説ではマツリカ自身の言葉として書かれます。街で聞きかじった「一言」から事件を推理するなど「言葉」がとても大切にされます。その流れの「図書館」なのです。

ちなみに、上巻が650ページ、下巻が800ページあります(文庫版は4分冊)。読み応え抜群です。

お勧め度:★★★★★

« 京都はんなり暮らし (澤田瞳子) | トップページ | 図書館の魔女 (下) (高田大介) »

SF/ファンタジー」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 京都はんなり暮らし (澤田瞳子) | トップページ | 図書館の魔女 (下) (高田大介) »