« エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード (萩原規子) | トップページ | あやつられ文楽鑑賞 (三浦しをん) »

2016年4月25日 (月)

若冲 (澤田瞳子)

若冲
若冲』は、江戸時代中期の京都で活躍した画家。本書の表紙絵にあるように、鶏をモチーフとしたものが多く、大胆な構図と彩色、緻密な描き込みは、他の誰にも描けないもの。若冲はどのような人生を歩み、このような絵を生み出したのか。それを知りたくて本書を手にとってみました。

錦高倉市場の青物問屋「枡源」の跡取り・源左衛門として、嫁・お三輪を迎えたものの、本人は絵を描くことしか興味がなく、姑の嫁いびりが高じ、嫁いで2年後にお三輪は蔵で首を括ってしまいます。腹違いの妹・お志乃が源左衛門の世話をしつつ、無口な彼の心情を語ります。

お三輪を死なせてしまった自責の念から、自らを責め続けて描いたものだったとは。お三輪の兄・弁蔵の源左衛門に対する恨みがまた絵を描き続ける力を与えていたとは、なんと不器用で、切ない生き方でしょう。それでも300年を経て、なお若冲の作品は生き続けているわけで、わたしのように若冲の人となりに興味をもつ人も出てくるのです。

人の一生を一冊の本にまとめるのは容易ではありません。『若冲』も物足りない気がします。『等伯 』は上下巻2冊なので読み応えがありました。でも物足りなければ他の関連書を探して読めばいいこと。いまの日本では読みきれないほどの本が、図書館では無料で借りることができて幸せです。「勉強したくない」というのは我が儘というか、せっかくの恩恵を受けようとしないのが惜しいとさえ思います。

楽園のカンヴァス 』など、内外の画家に関する小説を読んでは、実際の作品を美術館に観に行くのが楽しいのです。なにも知らずに見るよりも、画家の人生について知っていたほうが興味が湧きます。一冊の本をきっかけに世界が広がっていく。それを誰かが「ギフト」だと言っていましたっけ。

今度京都を訪れたら、相国寺境内にある承天閣美術館で若冲の作品を見たいと思っています。

お勧め度:★★★★★

« エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード (萩原規子) | トップページ | あやつられ文楽鑑賞 (三浦しをん) »

京都」カテゴリの記事

文化・芸術」カテゴリの記事

時代小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード (萩原規子) | トップページ | あやつられ文楽鑑賞 (三浦しをん) »