貴婦人と一角獣 (トレイシー・シュヴァリエ)
![]() 『貴婦人と一角獣 』は、6枚の連作タペストリー誕生の経緯を、貴婦人らの愛憎物語に絡めた物語。フィクションではあるけれど、実在するタペストリーにまつわる事実をつなぎ合わせ、想像力で空白を埋めたもの。15世紀末のフランスとベルギーの話なので、古臭く感じるかと思ったけれど、意外に面白かった。 パリ在住の貴族ジャン・ル・ヴィストがタペストリーを発注し、その絵師として雇われたニコラは腕は立つけれど傲慢で品性下劣。読んでいて不快だったけれど、彼ひとりが悪いわけでもなく、時代のせいなのか何なのか。 ![]() 6枚のタペストリーには《視覚》《聴覚》《味覚》《嗅覚》《触覚》《欲望》をテーマにしているというけれど、本書を読むと「後付けじゃないか」と思えてくる。首飾りを手にした貴婦人は、首飾りを「外したところ」なのか「付けようとしているところ」なのか、絵(織物)を見ただけではわかりません。その場の状況によって、どうにでもストーリーを作れるのではないでしょうか。 それこそ、作家の発想なのかもしれませんね。 お勧め度:★★★★☆ |
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