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2016年4月

2016年4月27日 (水)

あやつられ文楽鑑賞 (三浦しをん)

あやつられ文楽鑑賞 (双葉文庫)
あやつられ文楽鑑賞 』は、文楽にハマった三浦しをんの文楽エッセイ集。以前図書館で借りて読んだのだけれど、実際に文楽を見て、もう一度読んでみたくなったので買いました。

1. 鶴澤燕二郎さんに聞く
2. 桐竹勘十郎さんに聞く
3. 京都南座に行く
4. 楽屋での過ごしかた
5. 開演前にお邪魔する
6. 『仮名手本忠臣蔵』を見る
7. 歌舞伎を見る
8. 落語を聞く
9. 睡魔との戦い「いい脳波が出てますよ」
10. 『桂川連理柵』を見る
11. 内子座に行く
12. 『女殺油地獄』を見る
13. 『浄瑠璃素人講釈』を読む
14. 豊竹咲大夫さんに聞く
15. 襲名披露公演に行く

1章で「妹背山婦女庭訓」の話が出てきて、お三輪が死ぬことになった理由がわかりました。当日は半分寝てたからよくわからんかった。(苦笑)他に「本朝廿四孝」や「仮名手本忠臣蔵」「女殺油地獄」なども紹介されているので参考になります。あとは、大夫さん、三味線さん、人形遣いさんたちのインタビューが面白い。何度文楽に通っても、演者さんに直接お話を伺う機会はまずないでしょうから。

作者にとって文楽の魅力とは「大夫、三味線、人形が繰りだす芸と技。いきいきした登場人物と、壮大さと深みを備えたストーリー。たまにトンチンカンな言動や思考を見せる登場人物に「そりゃあないだろ!」とツッコむ楽しさ」だとか。たしかにツッコミどころは多いですね。

今年2016年3月に京都で「絵本太功記」(夕顔棚の段、尼ヶ崎の段)と「日高川入相花王」(渡し場の段)を見て、4月には国立文楽劇場で「妹背山婦女庭訓」を見ました。まだ不慣れなので、知識も余裕もなくて、お話についていけてないのですが、なんだか面白そうなので、今年はできる限り文楽に足を運んでみようと思っています。文楽鑑賞がてら遊びに行けるというメリットもありますから。(ただ、文楽って長時間だから気合いが必要なんです…)

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5月は、地元名古屋で中日文楽があります。昼の部が「寿式三番叟」「仮名手本忠臣蔵」、夜の部が「壺坂観音霊験記」「本朝廿四孝」。これも要チェックですね。

お勧め度:★★★★★

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2016年4月25日 (月)

若冲 (澤田瞳子)

若冲
若冲』は、江戸時代中期の京都で活躍した画家。本書の表紙絵にあるように、鶏をモチーフとしたものが多く、大胆な構図と彩色、緻密な描き込みは、他の誰にも描けないもの。若冲はどのような人生を歩み、このような絵を生み出したのか。それを知りたくて本書を手にとってみました。

錦高倉市場の青物問屋「枡源」の跡取り・源左衛門として、嫁・お三輪を迎えたものの、本人は絵を描くことしか興味がなく、姑の嫁いびりが高じ、嫁いで2年後にお三輪は蔵で首を括ってしまいます。腹違いの妹・お志乃が源左衛門の世話をしつつ、無口な彼の心情を語ります。

お三輪を死なせてしまった自責の念から、自らを責め続けて描いたものだったとは。お三輪の兄・弁蔵の源左衛門に対する恨みがまた絵を描き続ける力を与えていたとは、なんと不器用で、切ない生き方でしょう。それでも300年を経て、なお若冲の作品は生き続けているわけで、わたしのように若冲の人となりに興味をもつ人も出てくるのです。

人の一生を一冊の本にまとめるのは容易ではありません。『若冲』も物足りない気がします。『等伯 』は上下巻2冊なので読み応えがありました。でも物足りなければ他の関連書を探して読めばいいこと。いまの日本では読みきれないほどの本が、図書館では無料で借りることができて幸せです。「勉強したくない」というのは我が儘というか、せっかくの恩恵を受けようとしないのが惜しいとさえ思います。

楽園のカンヴァス 』など、内外の画家に関する小説を読んでは、実際の作品を美術館に観に行くのが楽しいのです。なにも知らずに見るよりも、画家の人生について知っていたほうが興味が湧きます。一冊の本をきっかけに世界が広がっていく。それを誰かが「ギフト」だと言っていましたっけ。

今度京都を訪れたら、相国寺境内にある承天閣美術館で若冲の作品を見たいと思っています。

お勧め度:★★★★★

2016年4月23日 (土)

エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード (萩原規子)

エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード (講談社タイガ)
エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード 』は、人間になろうとする神がパピヨンにとり憑いて渡来美綾の家にやってきた騒動記。

大学に入った美綾は幼馴染の有吉智佳と澤谷光秋のふたりに再会するのですが、バイクで事故死した同級生・香住健二の話になると微妙な空気が漂います。そして、智佳は「澤谷くんに香住くんの幽霊が憑いてる」と言い出して…。

好きな作家の新作なので読んでみたのですが、たいへんイライラする本でした。

「わしは八百万の神だ」と言うけれど「八百万」という名の神はいません。神であれば名があるはず。どうやら当面日本神話に触れるつもりはなく、超常現象として処理したいようです。紹介文に「超現実主義の神様」とあるけれど、それは主義の問題ではなく、存在自体が超現実。もう、ツッコむのも疲れます。でも、さすが神様は知能が高いようで(人間よりも)成長が楽しみです。

ラノベの主人公は鈍感だと相場が決まっていますが、それは男女を問わないようです。いくらお嬢様設定とはいえ、美綾にはイライラします。ジュブナイルだとしても、登場人物は大学生です。一体ターゲット(読者層)はどこなのでしょう?

この本そのものが「エチュード」なのかもしれません。

お勧め度:★☆☆☆☆

2016年4月21日 (木)

魔法の色を知っているか? What Color is the Magic? (森博嗣)

魔法の色を知っているか? What Color is the Magic? (講談社タイガ)
魔法の色を知っているか? 』は、Wシリーズ第2弾。人間の寿命が飛躍的に伸びた反面、子供が生まれなくなった。一方、ウォーカロンという人造人間は、人間と区別がつかない。そんな時代。

人間とウォーカロンを識別する装置の開発者ハギリは、護衛のウグイとアナバネと共にチベットのナクチュ(実在します)に開かれる「人工生体技術に関するシンポジウム」に向かいます。

映画『ブレードランナー』を思い出します。レプリカントは寿命が設定されていましたが、ウォーカロンはどうなのでしょう。「人間」と同等なのでしょうか。

先日、大阪日本橋でソフトバンクのペッパーを初めて見ました。両手を動かしながらなにやらしゃべっていましたが「いかにもロボット」なので安心しました。鉄腕アトムでもドラえもんでもいい。

だけど、蝋人形館の人形が、人とおなじように動き、しゃべるのは勘弁してほしい。人形は人に似せるほど不気味になる。だからウォーカロンに生理的嫌悪感を感じないのか不思議です。

S&Mシリーズの真賀田四季博士が伏線になっているので、本書のまえにせめて『すべてがFになる 』を読んでおくことをお勧めします。

お勧め度:★★★★★

2016年4月19日 (火)

貴婦人と一角獣 (トレイシー・シュヴァリエ)

貴婦人と一角獣 (白水Uブックス181)
貴婦人と一角獣 』は、6枚の連作タペストリー誕生の経緯を、貴婦人らの愛憎物語に絡めた物語。フィクションではあるけれど、実在するタペストリーにまつわる事実をつなぎ合わせ、想像力で空白を埋めたもの。15世紀末のフランスとベルギーの話なので、古臭く感じるかと思ったけれど、意外に面白かった。

パリ在住の貴族ジャン・ル・ヴィストがタペストリーを発注し、その絵師として雇われたニコラは腕は立つけれど傲慢で品性下劣。読んでいて不快だったけれど、彼ひとりが悪いわけでもなく、時代のせいなのか何なのか。

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6枚のタペストリーには《視覚》《聴覚》《味覚》《嗅覚》《触覚》《欲望》をテーマにしているというけれど、本書を読むと「後付けじゃないか」と思えてくる。首飾りを手にした貴婦人は、首飾りを「外したところ」なのか「付けようとしているところ」なのか、絵(織物)を見ただけではわかりません。その場の状況によって、どうにでもストーリーを作れるのではないでしょうか。

それこそ、作家の発想なのかもしれませんね。

お勧め度:★★★★☆

2016年4月17日 (日)

[Apple Watch 旅] 大阪で文楽4月公演:妹背山婦女庭訓

醍醐寺、石清水八幡宮を経て、午後4時前に国立文楽劇場に到着。発券機でチケットを取り出して2階の受付へ。

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「妹背山婦女庭訓」は大化の改新の頃のお話。「中大兄皇子と中臣(藤原)鎌足が、権勢を振るう蘇我入鹿を打倒した事件を題材に、大和地方の伝説を取り入れた近松半二らによる名作」です。

今回はパンフレットは買いませんでした。チラシの裏にあらすじと人物相関図があるので、それで予習して、お話についていけるかどうか試してみます。

芝六という猟師が、天智帝と(鎌足の息子の)淡海を匿いながら、禁猟の鹿を射るなど、アブナイ人生を送っています。一方、淡海は杉酒屋の娘お三輪と、身分を隠した姫と二股かけたため、舞台は修羅場となります。昔の浄瑠璃も、現代のアニメも、男女関係というのは似たようなものなのですね。可笑しいやら呆れるやら。

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お三輪が淡海との契りを表わす紅白の苧環(おだまき)を手渡します。苧環というのはうどん入りの茶碗蒸し、じゃなくて「つむいだ麻糸を巻いて中空の玉にしたもの」だそうですが、舞台では大きな糸巻きに持ち手がついたものです。淡海が赤い苧環を持ったまま、姫を追うものだから「おい、別の相手を追いかけるのに、それ持ってくるか!?」

その後、淡海を追ってきたお三輪は命を落とすことになるのですが、なぜ自分は死ななければならないのかをじっくりと聞かされます。「あなた、死にかけてるのとちゃうの?」 文楽ってツッコミどころ満載です。隣の席の人と喋りたいのに、喋っていい雰囲気じゃない。つらいです。

ちなみに、2等席でも舞台が見づらいことはありません。舞台が遠いけれどオペラグラス(双眼鏡)があれば大丈夫。それより座席が狭くてお尻が痛いです。それも「これでも新しくなったからまだマシ。以前はもっと痛かった」とか。しかも、その方は1部から通しで観ているとのことで、ほんと御愁傷様でございます。わたしは同日通しは無理です。ゼッタイ後悔します。

ひたすら山登りもつらいけれど、じっと座ってるのもつらい。人間て難儀やな。休憩時間になると即ロビーに飛び出してぐた〜とくつろぎます。ロビーのソファは大きくて柔らかいんです。この椅子で観劇させてくれ!

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文楽が午後4時から9時までかかるとなると晩御飯はどうするの?

どうやら弁当を用意しておいて25分休憩に食べるようです。わたしは売店で助六(写真上)を買いましたが、コンビニで買ったほうが安上がり。急いで食べて缶コーヒーを飲んで一息ついたらもう開演時間とは、なんとも慌ただしいこと。文楽は気合です。

それでも、文楽なぞ楽しめるのは平和な証拠。伝統芸能を将来に伝え、観て楽しむ文化が残っていくことこそが平和。悩みはお尻が痛いことなんて、幸せですよね。

9時に終わると皆さん、そそくさと席を立ち帰っていきます。わたしは地下鉄御堂筋線の難波駅まで歩いて新大阪へ向かいます。ここはミナミの繁華街。難波まで千日前を通るし、美味しそうなものがたくさん。せっかく大阪に来たのに、ラーメン、海鮮丼、たい焼き、ソフトクリーム等々を横目で見ながら急ぎます。

次回は、しっかり美味しいものをいただく旅にするぞ!

(おしまい)

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2016年4月15日 (金)

[Apple Watch 旅] 春の醍醐寺と石清水八幡宮 2

山なら頂上、ビルなら屋上、城なら天守、岬なら突端というように、わたしはてっぺんというか、それ以上先には行くことができないところまで行くのが好きなのです。だから、身体が動くうちに行けるところには行っておきたい。

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上醍醐からの帰り道、醍醐水(写真上)をいただいてから下ります。上りのように息が切れることはないけれど、膝などの関節に負担がかかる感じ。登ってくる人たちに「こんにちわ」と挨拶しながら下っていきます。帰りは上醍醐の境内に入らず(再入場不可)、東側の脇道を駐車場まで歩いていきます。途中、楓の新緑がきれいだった。秋は見事な紅葉が楽しめそうです。

じつは、今夜は大阪の国立文楽劇場で「妹背山婦女庭訓」を観る予定なのです。先月、京都で初めて文楽を観て面白かったので、4月公演の予約状況をネットでみると、第2部の2等席が2,400円で取れたので「いちばん後ろの席でも楽しめるかどうか試してみよう」。国立文楽劇場がどんなところか興味があったのと、大阪日本橋の電気街が懐かしくて再訪したかったのもあります。

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文楽は16時開演だから、15時くらいに日本橋へ着きたい。醍醐寺からバスで京阪六地蔵駅へ。中書島で京阪本線に乗り、北浜で地下鉄に乗り換えれば日本橋です。だったら、八幡市駅で途中下車して石清水八幡宮にお参りしたい。京都に来ても八幡さんには寄ることができずにいたのです。

我ながら欲張りだと思う。文楽が終わるのは21時の予定。気分転換のための休日とはいえ、頑張りすぎると疲れが残りそうで心配。だから、当日の朝は上醍醐はあきらめようと思ってたのです。そうすれば時間にも体力にも余裕ができます。でも、上醍醐へのゲートを前にしてすごすごと引き返すことはできませんでした。

例によって、Kindle Fire 8GB + 32GB SD Cardに、映画を1本と音楽アルバム3枚をダウンロードしてきました。今回はもっぱらアルバムを聴いていました。ビートルズの”Let It Be”、エリック・クラプトンの”Unplugged”、イーグルスの”Hell Freezes Over”。中でもイーグルスが気に入りました。映画と読書は今回余裕がありませんでした。

Kindle Fireは置いておくだけでも意外にバッテリーが減るのですが、音楽を再生しているだけなら丸一日でも楽勝です。iPhoneはカメラとしても使うし、あれこれ検索するからヘッドホンがつないであると邪魔になる。だから、バッグに入れたKindleを音楽専用としたのは正解だったみたい。

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醍醐寺では昼食がとれず腹ペコ。京阪八幡市駅を降りると石清水八幡宮へは男山ケーブルで3分。ケーブルカーは15分間隔で運転しているので、その待ち時間で駅前の朝日屋さんに飛び込んで竹の子ご飯セット(写真上)をいただきました。おぉ、関西のうどんだ。美味い!

満腹になって男山ケーブルで山上へ。そこは八幡さんの裏手なので、ぐるっと表に回って表参道に出ると、沿道には人垣ができています。「一体何事ですか?」とスタッフに訊くと「花魁道中が来るんです。でもここまで来るのに15分くらいかかりますよ」。だったら先にお参りさせてもらいましょう。

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きれいな本殿です。醍醐寺のようにお金もかかりません。あ、ケーブルカーは片道200円です。

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せっかくなので花魁道中をひと目見てから帰ることにしました。

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カレンダーに予定と場所を指定しておくと、出発時間にApple Watchが知らせてくれます(画像上)。便利な機能なのですが、車での移動が前提なのが難点。

大阪日本橋の電気街は、日本橋と恵比寿町の間なので、日本橋のひとつ先の恵比寿町駅まで行きました。

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恵比寿町の南は新世界。通天閣が見えます。これも懐かしい!

日本橋に向かって北へ歩いて「シリコンハウス共立」へ寄りました。昔お世話になったパーツ屋さんです。

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へへ、買っちゃいました。何を買ったのかは、いずれ明らかにいたします。

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上の地図のように、日本橋まではまだ距離があります。沿道には電気店が多いものの、寂れたビルもちらほらあって、すこし寂しい感じ。通りがかりのたこ焼き屋さんに寄りました。美味しいもの大好きなので、ここは素通りできません。

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ずいぶんしっかり焼いてあるようですが、中はトロトロのアツアツでウマイ。やっぱたこ焼きはこうやないとあかん!

(つづく)

2016年4月13日 (水)

[Apple Watch 旅] 春の醍醐寺と石清水八幡宮 1

京都は何度も訪れていますが、新幹線でいつも通り過ぎている山科に行ってみたい。そう、醍醐寺です。

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京都の寺社505を歩く(下)』の「上醍醐への山道はかなり急坂でしかも距離があり、気軽に拝観するといった気分ではいけない。天候の状態をみて、よし、今日は上醍醐に”挑戦する”という覚悟が必要であろう」という記述を見て、俄然やる気になってしまいました。

安土の観音寺城址へ桑実寺を抜けて10丁登ることになったり、御在所岳にロープウエイで登ったら雪が積もっててビックリしたり、気軽な日帰り旅とはいえ、滑って転んで怪我しないためには靴が大事。かといって登山靴は大げさだから、もうすこしカジュアルなものを探していて見つけたのが「モントレイル」。これはトレイルランニングといって「舗装路以外の山野を走る」ための靴。走るつもりは全くなく、歩くだけですけど、雨にも強いタイプを選んだので、これで山道に迷い込んでも大丈夫!?

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醍醐寺の拝観時間は9〜17時なので、9時に着くように出発。京都八条口のホテル京阪東側の8番乗り場から醍醐寺行きバスに乗って30分。桜の見頃は先週末だったから、ほとんど散ってしまっていますが、それでも参拝客はたくさん。

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上醍醐に”挑戦”する前に下醍醐をざっと見ておきたい。

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というわけで、まずは霊宝館から。寺宝の数々のなかに、襖絵がずらっと並んでいて、端から順番に見ていくと、かなり劣化しているものの、風にそよぐ葉の緑が美しい。「これは笹?」って考えてると、中央の札に「長谷川等伯 柳草図」。なんと、等伯ではないですか。笹ではなく柳でした。

等伯といえば、前回本法寺で見た仏涅槃図。霊宝館にも小さな仏涅槃図がありましたが、構図は酷似しています。比べてみると面白い。洋の東西を問わず、宗教画のモチーフにはパターンがあるのでしょうか。

続いて三宝院。ここは塔頭なのですが、庭園も広くて立派。豊臣秀吉が建てて「醍醐の花見」を催したとかで、毎年4月に「豊太閤花見行列」が行われるって、え…今日ですか!?

最近、こういうサプライズが多いような気がします。不意のお祭りはうれしいのだけれど、混雑するのが困りもの。お寺の人に聞いたところ「花見行列」は午後1時スタートらしいので、それまでに脱出しましょう。上醍醐までがんばって歩かなきゃ!

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売店の貼紙で「京都醍醐寺ナビ」というアプリがあると知って早速iPhoneでダウンロードしたものの「拝観記念カードのIDを入力してください」。そのカードは無料配布しているのか思ったら、なんと540円で販売していました。だったら最初から有料アプリにすればいいのに紛らわしい。

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おすすめコースを案内してくれたり、歴史解説など、機能は盛りだくさんなのですが、音声ガイドは聞こえないし、いま境内のどこにいるのかわかりづらいし、540円の値打ちはありません。限られた時間内での拝観を充実できるならばと購入したものの期待ハズレ。観光ガイドブックを買ったほうがいい。

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三宝院をあとにして、仁王門を抜け、上醍醐方面へ。五重塔は、東寺ほど大きくはないけれど、整った形をしていて美しい。「醍醐寺アプリ」で写真を撮ると、こんなふうにタイトル文字が入るのですが一事が万事なんです。面白みに欠ける。無料の姫路城アプリのほうが洒落てる。

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金堂、弁天堂、女人堂まで来ると、下醍醐はそこまで。入山料600円を払って、柵の向こう側へ抜けると上醍醐なのですが、そこは観光地というより山の中。頂上の16丁まで山道が続きます。

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同じように登る人は少ないけれど、いないわけじゃない。同志です。不動の滝がある9丁くらいまではつらかったけれど、そこを越したら楽になりました。歩く速度に呼吸を合わせて登っていくとようやくたどり着いた16丁地点。入山してからここまで35分。

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16丁から先は下りになり、醍醐水、薬師堂、五大堂を経て、最終目的地の開山堂に到着するまでに20分かかったので計55分。女人堂から開山堂まで約2.6kmということだったけれど、山道の2.6kmはきつかった。

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標高450mですが、下界を見下ろす気分は最高。心なしか涼しくて気持ちいい。下醍醐ほど人が多くないのでのんびりできます。ベンチで休憩して、いつもなら読書タイムになるのですが、今日は時間がないので、すぐに下山します。

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(つづく)

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2016年4月11日 (月)

モダン (原田マハ)

モダン
モダン 』は、モダンアートの殿堂「MoMA(The Museum of Modern Art)」ニューヨーク近代美術館を舞台にした5編の短編集です。

1. 中断された展覧会の記憶
2. ロックフェラーギャラリーの幽霊
3. 私の好きなマシン
4. 新しい出口
5. あえてよかった

MoMAが福島の美術館に貸し出していた「クリスティーナの世界」を、東日本大震災と原発事故のために「引き上げろ」という命令を受けた杏子ハワードは福島へ向かうのですが…。

2011/3/11の東日本大震災は、自然の脅威だけれど、2001/9/11のアメリカ同時多発テロ事件は、人間の悪意。日本であれ、アメリカであれ、壊れた街は復興できるけれど、亡くなった人は戻って来ない。

そんな事件を背景にした物語もあります。わたしが一番気に入ったのは「私の好きなマシン」。なんのことかと思ったら、ベアリングなどの工業部品も収蔵されているとか。なにより、この話のオチがイイ。そう、デザインは大事です!

『楽園のカンヴァス』の登場人物と絡む部分もあります。原田マハの「アート小説」が好きな方にオススメします。

お勧め度:★★★★☆

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2016年4月 9日 (土)

スティル・ライフ (池澤夏樹)

スティル・ライフ (中公文庫)
スティル・ライフ 』は、学校の教科書にも引用されていると聞いて興味を持ちました。

「この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。世界ときみは、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、それぞれまっすぐに立っている」って、文学に触れた気になって、いかにも中学生が反応しそうな文章です。

極大から極小へ、無限遠から内面へ、想像世界を自由自在に往き来しつつ、泥臭い現実を見せてくれる小説のタイトルが「スティル・ライフ」とは興味深い。『ヤー・チャイカ』(私はカモメ)もおもしろかった。ちょっとでも興味を持った方はご一読を!

お勧め度:★★★★☆

2016年4月 7日 (木)

虹の岬の喫茶店 (森沢明夫)

虹の岬の喫茶店 (幻冬舎文庫)
虹の岬の喫茶店 』は、小さな岬にひっそりと立つ「岬カフェ」でつながる人々のささやかな物語。さあ、おいしい珈琲と絶妙な選曲の音楽をどうぞ!

1. 《春》アメイジング・グレイス
2. 《夏》ガールズ・オン・ザ・ビーチ
3. 《秋》ザ・プレイヤー
4. 《冬》ラブ・ミー・テンダー
5. 《春》サンキュー・フォー・ザ・ミュージック
6. 《夏》岬の風と波の音

1話目からヤバイです。泣けてきます。
2話目は、ちょっと「青い」けど、これはこれでいい話です。
3話目は、カフェに泥棒が入って…。
4話目は、カフェのオーナー悦子さんとタニさんのお話。
5話目は、カフェの隣にライブハウス兼自宅を自作した浩司の話。
6話目は、寂しい岬での暮らしに挫けそうな悦子さんは…。

モデルとなった喫茶店「岬」にバイクで訪れてみたい。

お勧め度:★★★★★

2016年4月 5日 (火)

海を抱いたビー玉 (森沢明夫)

海を抱いたビー玉 (小学館文庫)
海を抱いたビー玉 』は、1958年製のボンネットバスと、そのバスを愛する人たちの交流を描いた、実話を元にした小説です。

1. 大三島
2. 山古志 (一)
3. 福山
4. 湯沢
5. 山古志 (二)

目次を見たときに「一体どういうつながりなんだ?」。それは、読んでのお楽しみ!

この本を読むまえに、図書館で伊坂幸太郎『ガソリン生活 』を借りたのですが、あまり楽しくなくて読むのをやめてしまいました。クルマが心をもって「しゃべる」という設定は同じなのですが、個人的にはデミオには感情移入できません。これがローバーのMINI COOPERか、フィアット RITMO 130TCあたりなら面白かったんだけど。

本書の主役はいすゞBX341。例のネコバスのモデルだとか。ボディが朽ちかけた、古いイギリス車をレストアするのは見たことがあるけれど、バスのレストアは(大きいから)大変だったでしょう。でも、それだけに完成したときの喜びもひとしおだったはず。毎日話しかけながら作業していたのだろうと想像しながら読ませてもらいました。

古いものには魂が宿ることがある。付喪神ですね。旧車ファン必読です。

お勧め度:★★★☆☆

2016年4月 3日 (日)

[Kindle Fire] 京都に連れ出して

Kindle Fireを買ったものの、使い道に困っていました。iPhone5sより画面が広いことだけが取り柄のタブレット端末。ダウンロードした雑誌を見るか、Amazon Videoで映画を観るか、それくらいだから、普段は持ち歩くこともありません。

京都へ出かけるときにはバッグに入れていってもいいかな。というわけで、前夜荷造りしていて、Amazon Videoで観ていた”COVERT AFFAIRS"というTVドラマの続きの1話分をダウンロードしました。SDカードを買っていないので内蔵8GBに収まるのか心配でしたが、42分間で約250MBは大丈夫だった。それならばと、カーペンターズの”A Song for You”もダウンロードして、いざ出陣!

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新幹線で足元のコンセントから電源を取って観ましたが、付属のUSBケーブルが短くてテーブルの上に載せることができませんでした。もうすこし長いケーブルが必要ですね。映画を観るなら、スマホよりも大きめの、これくらいのサイズがいい。ただ、新幹線のように騒々しいところでは密閉型のヘッドフォンが欲しくなります。

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京都市内の喫茶店ではカーペンターズを聴きながら読書しました。

今回、Kindle Fireには、スマホの内蔵メモリとバッテリーを消耗させずに、動画と音楽を持ち歩けるというメリットがあることがわかりました。新幹線などの移動時間に合わせて、映画やドラマなど、ダウンロードするタイトルを選べばいい。

帰宅後、早速 32GB micro SDカードを注文。カードが挿してあれば、ダウンロードしたデータはすべてそこへ保存されるようです。

要するに、KindleとAmazon VideoとAmazon Musicの端末ということですね。まんまとAmazonに乗せられている気がするけれど、便利なものは使わせていただきます。

Kindle Fireは弁当箱。お気に入りの雑誌やら音楽、映画を詰め込んで出かけます。

2016年4月 1日 (金)

さいはての彼女 (原田マハ)

さいはての彼女 (角川文庫)
さいはての彼女 』は、日々の仕事に疲れて旅に出る、ミニストーリー4編。

1. さいはての彼女
2. 旅をあきらめた友と、その母への手紙
3. 冬空のクレーン
4. 風を止めないで

1話:会社を立ち上げて、ずっと夢中で働いてきて、ここらで沖縄へバカンスのつもりが、なぜか飛行機は女満別へ。BMW6ではなく、おんぼろ軽自動車に乗った鈴香は凪と出会います。凪はハーレーを駆って日本中を旅する、明るくかっこいい女の子。「さいはて」で「さいはて」まで走っていきます。

2話:女ふたり旅を続けてきたハグが伊豆へひとり旅。ナガラはハグを「人生を、もっと足掻こう」と励まします。

3話:重機ではなく鳥のほうです。北海道の群生地を訪れた志保は、天羽と出会って目から鱗。建築物で「日本の景色を変える」と意気込んできたけれど、自然はもっと大きく素晴らしい。

4話:1話の凪の母親視点のストーリー。バイク事故で夫を亡くしたものだから、娘がツーリングに出ると心配で仕方がない。自分はスピード恐怖症だからタンデムは好きじゃなかった。だけど、ハーレー乗りたちに囲まれているのは不快じゃない。いつも風を感じていられるから。

旅って、ある意味現実逃避。逃避できるから楽しい。わたしは連休を取るのがむずかしいから、日帰りで行けるところを攻めてます。近場を制覇したら一泊に昇格の予定です。

個人的には、凪の話をもっと読みたかった。

お勧め度:★★★★☆


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