« 名探偵の呪縛 (東野圭吾) | トップページ | [Apple Watch] ちいさな旅 2015 総集編 »

2015年12月30日 (水)

捏造の科学者 STAP細胞事件 (須田桃子)

捏造の科学者 STAP細胞事件 捏造の科学者 STAP細胞事件 』は「科学史に残るスキャンダル」を毎日新聞が取材した内容を踏まえて一冊にまとめたものです。
  1. 異例づくしの記者会見
  2. 疑義浮上
  3. 衝撃の撤回呼びかけ
  4. STAP研究の原点
  5. 不正認定
  6. 小保方氏の反撃
  7. 不正確定
  8. 存在を揺るがす解析
  9. ついに論文撤回
  10. 軽視された過去の指摘
  11. 笹井氏の死とCDB「解体」
  12. STAP細胞事件が残したもの

発表時はマスコミが「これからは理系女子の時代だ」と大騒ぎして、しばらくすると論文に疑義が噴出し、あれよあれよという間に崩壊、論文撤回に至ったのは、わたしも非常にショックでした。

あのときに感じたのは、理研は「再現実験が成功すれば名誉挽回、失敗しても小保方氏を解雇して早期に幕引き」を狙っていること。文科省や政治家の圧力もあったのでしょうけれど、理研の隠蔽体質と危機意識の低さには失望しました。

iPS細胞にライバル意識をもつのは結構ですが、ノーベル賞を手にしても舞い上がることなく「早く患者さんの役に立ちたい」とメダルを封印した中山教授と、エプロンつけてポーズを取っている小保方氏は、科学者として以前に、人間としての格が違うと感じました。

誰も白状しないので、悪意があったかどうかはわかりませんが、結果として論文が捏造されたわけです。

誰が、いつ、どのように、なにを考えて、行ったのか。なぜ、それを指導者、上司、共同執筆者は防ぐことができなかったのか。それが知りたくて、この本を手に取りました。

しかし、小保方氏は実験ノートも十分に残しておらず、追跡調査もままならず。「それでもSTAP細胞はあります」と言われても、コピペと改ざん画像とミス、手違い満載の論文が根拠では、なにを言っても信用されません。社会はそれほど甘くない。

なにより笹井氏の自殺が悔しい。つらかったのはわかるけれど、他に方法はなかったのか。小保方氏に対する遺書に「絶対にSTAP細胞を再現してください」と励ましてあったといいますが、穿った見方をすれば、小保方氏はその言葉を一生背負っていかねばなりません。

マスコミのスクープ合戦には興味がないけれど、懸命にひとつのテーマを追う新聞記者の姿には感動しました。新聞記者に関する「お仕事本」として学生さんにお勧めします。

お勧め度:★★★★★

« 名探偵の呪縛 (東野圭吾) | トップページ | [Apple Watch] ちいさな旅 2015 総集編 »

その他」カテゴリの記事

ノンセクション」カテゴリの記事