天地明察 (冲方丁)
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『天地明察』は、江戸幕府碁方の安川家に生まれた渋川春海が算術に惹かれ、暦づくりに取り組むことになった物語。 冒頭「幸福だった。この世に生まれてきてからずっと、ただひたすら同じ勝負をし続けてきた気がする。」って、これホントに時代小説?(絶対ヘンだ!) 作者のプロフィールを見るとラノベ作家からスタートしたみたい。これが初の時代小説? やっぱり…。ま、それはいいとして、暦づくりがどうしたって? 日本中で北極星を観測して記録して巡り、交流を広め、最後には幕閣から、新たな暦づくりを任される。それはわかったのですが、上巻では、何故それがそんなに重要な仕事なのかについて説明不足。 800年前の暦を使っていたために2日のズレが生じて、日食や月食の発生も予見できない。暦が各地でマチマチだと、ある地では1日なのに、となりでは30日だったりする。混乱するわけです。暦は朝廷が発布するものだったのを、武家の手で新しい暦を作ろうとしたわけです。 下巻では、暦法を新たにすることがいかに重要か、大事業かが解かれていますが、あまり難しく考えずにさらっと読んだほうがいいみたいです。 Wikipediaによると…1年は約365.2422日で、それを暦で定義するのが暦法。現行暦では1年を365日とし、閏年を400年間に97回設けて、一年の平均日数を365.2425日としている。至極当然のように教科書に載っている事柄も、そこにたどり着くまでには過去の人たちの貢献があったわけで、その点を描いたのが本作だといえます。 次男の「時代小説デビュー」にちょうどいいかも。(あまり時代小説っぽくないから?) お勧め度:★★★★★ |
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