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2015年1月 1日 (木)

ワイルド・ソウル (垣根涼介)

ワイルド・ソウル〈上〉 (新潮文庫)

ワイルド・ソウル〈下〉 (新潮文庫)
ワイルド・ソウル』は1960年代、政府が募集したブラジル移民が、ろくに現地調査もせず、その後もフォローせず「棄民」したことに対して、外務省に復讐する物語。垣根涼介は、ベトナムが舞台の『午前三時のルースター』に続いて2冊目。

アマゾンの奥地の密林地帯では、苦労して開墾した土地も雨期には水に沈み、作物は流され、貧困と病気で入植地を逃げ出すか、命を落とすか、いずれにせよ日本政府もブラジル政府も助けてはくれなかった…。

日本は高度経済成長で豊かさを享受しているのに移民たちはジャングルの地獄に遺棄されている。家族を失い、友人の息子ケイを拾った衛藤は、その後なんとか身を立てることができ、仲間たちと復讐計画を実行に移すのでした。

文庫版上巻では、早い段階で舞台が東京に移りますが、登場人物紹介を兼ねてか、南米での回想が挟まれます。外務省はもちろんとして、当時の外務官僚がターゲットになるのはわかるのですが、一体なにをやらかすつもりなのかが定かではありません。上巻は退屈で、500ページは重かったけれど、彼らの復讐劇を見たくて読み切りました。

そして下巻でいきなり復讐劇が始まります。外務省と政府の過去の罪を明らかにするにはマスコミの力が必要。そこでケイはテレビ局の女性記者に近づいて…。

血筋は日本人でも、生まれも育ちもブラジルのケイは日本語をしゃべっていても「根っからのブラジル人」。国民性のちがいが面白かった。そのブラジル人男性と日本人女性のラブコメ要素もあって楽しめました。なにより血を見なくて済んだのがうれしい。

お勧め度:★★★★★

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