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2014年12月23日 (火)

からくさ図書館来客簿〜冥官・小野皇と優しい道なしたち (仲町六絵)

                         
からくさ図書館来客簿 ~冥官・小野篁と優しい道なしたち~ (メディアワークス文庫)         『からくさ図書館来客簿』は、京都は東山、六道珍皇寺の井戸が冥界の入口(六道の辻)になっていて、嵯峨天皇に仕えた官僚・小野篁(802年〜852年)が夜ごと冥府通いしたという伝説が下敷きになっています。彼は1212歳。ちなみに、六道とは人道、天道、地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道を指します。
       
        で、その小野篁が死後、閻魔庁の遣いとして、この世で善行を重ね天道に行くべき「道なし」(さまよう霊魂)を冥府に送るため、京都・北白川に「からくさ図書館」を作ったという設定です。そこにもうひとり、嵯峨天皇の第2皇子、仁明天皇の第9皇女、第2代賀茂斎院(831-833)であった時子内親王(829-847)がいっしょに冥官として働いています。みかけ上の年齢は、篁が26歳、時子が18歳。『神様の御用人』の良彦が神様のパシリなら、篁は閻魔大王のパシリです。人間と幽霊?のちがいはありますが。
       
        最初は篁と時子のやりとりがぎこちなく、シリアスパートとコメディパートがちぐはぐでハラハラしましたが「図書館はあのあたりだろうな」という京都の景色がリアルに伝わってくるし、前述のように六道珍皇寺の伝説に則っていることがわかって、ラノベであっても、歴史的裏打ちがあると読んでいても安心感があります。
       
        「2時間300円、珈琲か紅茶1杯サービス」というのは、私設図書館というより漫画喫茶かネットカフェと、やたら現代的。平安時代の者共が平成の世に現れたわけで、そのギャップが面白い。考えてみれば、300円で珈琲が飲めて、2時間も長居できるならお得。営業時間は11-23時。回数券まで用意してあるとか。
       
        「道なし」に憑かれた客は「匂い」でわかり、その客のすべてが1冊の本として現れる。それを手掛かりにして怨霊退散、冥府送りとする次第。
       
             
  1. 桜守
  2.          
  3. うまし国
  4.          
  5. 葵祭
  6.          
  7. 迎え鐘
  8.        
       

とくに4話がよかった。寺の跡取りが京大でインド哲学を学んでいるのだけれど本人は建築を学びたいし仕事にしたい。しかし、寺を継がないと親に勘当される。さて、どうしたものか、悶々…。篁はおせっかいな性格のようです。(笑)

続編『からくさ図書館来客簿 第二集 ~冥官・小野篁と陽春の道なしたち 』と『からくさ図書館来客簿 第三集 ~冥官・小野篁と短夜の昔語り 』も読んでみたいし、次に京都に行ったら六道珍皇寺にもお参りしようと思います。
       
        お勧め度:★★★★★       

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