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2014年12月30日 (火)

散り椿 (葉室鱗)

散り椿 (角川文庫) わたしが読む葉室鱗の作品として『散り椿』は『おもかげ橋』『銀漢の賦 』『蜩ノ記 』に続く4作目。設定は『おもかげ橋』と似ています。

扇野藩の一刀流道場で四天王と呼ばれた瓜生新兵衛が帰ってきた。幼なじみの篠を榊原采女と取り合い、嫁にして故郷を離れたものの、篠は病を得て、京都の地蔵院(椿寺)で亡くなったのです。篠が生前、新兵衛に故郷に戻、なにをしてほしいと頼んだのですが…。

おもかげ橋』同様、女心はわからん。わざと曖昧な書き方をしている気もします。江戸時代の男女交際は露骨な表現は避けるものらしく、互いに誤解することも珍しくないということなのでしょう。でも本作では最後に篠本人の回想があるので、そこですべてがはっきりします。

藩主の兄と結託して藩政を牛耳っている家老の石田玄蕃に対して、新しい藩主を盛り立てようとする采女は露骨な迫害を受けます。じつにタイミングよく帰郷した新兵衛はお家騒動に巻き込まれていくのです。

篠の妹・里美の息子・坂下藤吾は初め新兵衛を煙たがるのですが、彼もまた騒動に巻き込まれ、最後は愛しい許嫁・美鈴を守ろうと立ち上がります。このあたりは江戸時代の恋愛小説。文字通り、命懸けの恋です。

お勧め度:★★★★★

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