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2014年11月15日 (土)

天地雷動 (伊東潤)

天地雷動 (単行本) 天地雷動』は、1575年の長篠の戦いを描いた歴史小説。

武田信玄亡き後、古参の宿老たちの抵抗に遭いながらも、勝頼率いる武田軍は、宿敵織田信長を討つべく、信長・家康連合軍に立ち向かったのですが、3,000丁もの鉄砲のまえに無惨にも敗退したというもの。

アメリカのテレビドラマよろしく、勝頼、信長、秀吉、家康、そして武田軍の前線に立つ宮下帯刀と、ころころと視点が切り替わりながら物語は進んでいきます。最初は読みづらかったのですが、中盤には馴れてきました。

歴史の授業では「信長の鉄砲隊の三段撃ちの前に武田騎馬隊も惨敗した」という認識しかなかったのですが、じつに様々な要素が絡み合い、将の強い意思が兵を動かし、危うい均衡が、結果として信長の勝利に傾いたようです。

そもそも鉄砲の国産化に取りかかったばかりの段階で3,000もの鉄砲と必要な弾薬を揃えるなど容易ではなかったでしょう。戦乱の世だったから仕方ないのかもしれませんが、鉄砲とみると人殺しの道具(武器)として活用し、刀、槍、弓矢よりも殺傷能力が高く、大量殺人を繰り広げていったのは、人間の悲しい性というべきでしょうか。実際、その行き着く先は核兵器。使ったが最後、人類滅亡につながるという、愚かな道具。

本書で趣深いのは、長篠の戦いが終わったあとの各々の思いです。

勝頼はほとんどの宿老と多くの兵を失い、自分でも意識していなかった罪に愕然とし、家康は信長に対して戦々恐々としながら必死で領国を守ろうとしてきたけれど、考え方を変えれば、これは好機かもしれないと気付き、秀吉は、信長に命じられる無理難題を命懸けで実現してきたことが自信と奢りにつながり、帯刀はもう戦さはまっぴらだと思う。

全体に駆け足になっていて、多少物足りない気もしますが、予想以上に面白かった。このあとの勝頼の話は『武田家滅亡 』に続くそうなのでいずれ読んでみようと思います。

お勧め度:★★★★★

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