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2014年11月20日 (木)

蜩ノ記 (葉室 鱗)

蜩ノ記 (祥伝社文庫) 蜩ノ記』は、九州の小藩の元郡奉行戸田秋谷が前藩主の側室との密通を疑われ、家譜編纂を終えたなら十年後に切腹するよう命じられ、向山村で幽閉の身。そこへ、城内で刃傷沙汰を起こした檀野庄三郎が秋谷の監視および家譜編纂の手伝いとしてやって来る。ともに過ごすうちに庄三郎は秋谷の誠実な人柄に惹かれ、無実の罪に甘んじているのではないかと疑うようになるのでした。

まず思い出したのが『銀漢の賦』。武士(もののふ)の誇りと覚悟がどうあるべきかを見せてくれます。また、秋谷を陥れた家老と、その背景にあるものが、家譜編纂という流れのなかで明かされていくミステリー仕立てにもなっています。秋谷が寡黙な安楽椅子探偵ならば庄三郎が助手といったところ。

秋谷の妻と息子、娘は、なんとか切腹を免れることを願っていて、いつしか庄三郎も秋谷の助命を願う己に気づくのです。ただ、自身の運命をセミ(蜩)にたとえた秋谷は最後まで武士としての筋目を通そうとします。

これは単純にかっこいいとか潔いとか言えるものではありません。現代人からみれば命を軽んじる屁理屈であって、正義なんてどこにもありません。小説としては大変面白かったのですが、主人公の生き方には共感できませんでした。

お勧め度:★★★☆☆

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