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2014年7月

2014年7月31日 (木)

警官の紋章 (佐々木嬢)

警官の紋章 (ハルキ文庫) 警官の紋章』は『笑う警官』『警察庁から来た男』に続く「北海道警シリーズ」第3弾。『笑う警官』で佐伯と津久井が追っていた事件の真相が明らかになります。

閑職に追いやられているとはいえ、優秀な警察官である佐伯と、自身の正義を貫こうとする津久井、そして合気道と射撃の腕を磨く小島百合巡査。この3人の動きが波紋を広げ、それが重なったところで事件が解決に向かうというパターンがクセになりそう。(笑)

今回は、洞爺湖サミットを控えた警察の結団式をまえに、ある警官が制服と拳銃を持ったまま行方不明に。津久井はその警官を追うよう指示され、佐伯は盗難車密輸出事件をひとりで再度調べ、小島百合は決断式に出席する大臣のSPとなります。

現場の警察官が心に刻むのが「警官の紋章」。それは警察官僚たちの胸にはないようです。

お勧め度:★★★★☆

2014年7月29日 (火)

警察庁から来た男 (佐々木譲)

警察庁から来た男 (ハルキ文庫) 警察庁から来た男』は『笑う警官』に続く「北海道警シリーズ」の第2弾。

交番に逃げ込んだタイ人女性が保護されずに暴力団に引き渡され、人身売買として国際問題になったため、警察庁から北海道警に監察が入ることに。担当は警察庁長官官房監察官室の藤川春也警視正と種田良雄主査。藤川は、協力者として(百条委員会で裏金問題について証言した)津久井を指名したのですが…。

笑う警官』で活躍した佐伯警部補は、薄野のばったくりバーの非常階段から転落死した件を再捜査していくうちに、津久井たちの監察と絡んでいきます。なにかがおかしい。けれど、不正を働いていると思われる警官がいない。なぜ???

道警のデータベースを調査するため、小島百合巡査も応援として呼ばれ、徐々につながりが見えてくるところがおもしろい。ミステリーとして推理する余地はあまりないように思いますが、伏線は張ってあるので「あ、そうきたか」と膝を打ってしまいます。

佐伯が仕掛けた罠にあっさり嵌る犯人もどうかと思いますが、ラストシーンは「藤川、がんばれ!」。

お勧め度:★★★★☆

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2014年7月27日 (日)

笑う警官 (佐々木譲)

笑う警官 (ハルキ文庫) 笑う警官』は『警官の血』の佐々木譲の小説「北海道警シリーズ」の一冊目。

札幌市内のアパートで水村朝美巡査が変死体で発見されます。交際相手だった津久井巡査部長が容疑者として手配され、覚醒剤と拳銃を所持しており危険なので射殺を許可する、という無茶苦茶な命令が出ます。以前、おとり捜査で津久井とコンビを組んだ所轄の佐伯警部補は津久井の潔白を証明するために有志を募り捜査を開始します。

じつは、津久井は翌日、県議会の百条委員会で証人として呼ばれていたのです。津久井が証人として「うたう」ことを望まない道警本部が口封じをしようとしているのか!?

組織を売る(うたう)行為と共産党を忌み嫌う警察官のメンタリティがよくわかり、背筋が寒くなります。しかし、組織に逆らっても筋を通そうとする津久井と、切れ者警部補・佐伯宏一、パソコンを駆使してデータ収集分析を行う小島百合たちの活躍に溜飲が下がります。

警官の血』では父子三世代を描いたため、話が長くて疲れましたが、今作は一日で決着を着けるのでスピーディ。札幌の土地勘のある方には、より楽しめるでしょう。

本来「うたう警官」というタイトルをドラマ化、文庫化に際して「笑う警官」と改題したとか。本作のラストには「警官たちの歌に聞き耳を立てている者がいる」とあって「うたう」とつながっています。これでは一体誰が「笑う」のか不明です。不可解な改題が残念です。

お勧め度:★★★☆☆

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2014年7月25日 (金)

海賊とよばれた男 (百田尚樹)

海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)

海賊とよばれた男(下) (講談社文庫)
海賊とよばれた男』は『永遠の0』の百田尚樹の経済歴史小説。出光興産の創業者・出光佐三をモデルに、国岡商店の国岡鐵三の生涯を描いています。海賊というからタンカーで外洋を荒し回ったのか思ったら、関門海峡を油売りの伝馬船で漕ぎ回ったことを指すようです。海賊はちょっと大袈裟ですけど、キャッチとしては秀逸。

上巻は、1945年8月15日、敗戦で海外拠点をすべて失い、戦地から戻って来る店員(社員)をひとりも首にすることなく迎えるため、なりふり構わず生き残りを図ります。それはまさに死ぬより苦しい闘いの始まりだったのです。

経済小説とはいえ、感動的。涙なくして読めません。恐ろしくて電車の中では広げることができません。池井戸潤の『空飛ぶタイヤ 』や『下町ロケット 』も感動しましたが、国岡鐵三の迫力にはかないません。

優秀な店員をはじめ、多くの人たちに助けられてのこととはいえ、何度も絶望の縁に追いつめられても、消費者のため、日本のためを第一に、自身の正義を貫いた男の姿は感動的でした。

この本は以前から気になっていたのですが、社会人一年生の長男が「読みたい」というので、文庫本になると同時に購入しました。見事に一気読み!

お勧め度:★★★★★

2014年7月23日 (水)

大日本サムライガール 8 (至道 流星)

大日本サムライガール 8 (星海社FICTIONS シ 2-10) 大日本サムライガール 8』は『大日本サムライガール 』シリーズの第8弾。

既存政党(野党)と合併し「大和同盟」の旗揚げに漕ぎ着け、裏では公安やCIAの協力も取付けた日鞠たち。しかし、蒼通が仕掛けたネガティブキャンペーンのおかげで連日「大和同盟」はバッシングされまくり。このままでは浮かぶ瀬がない。というわけで、ひまりプロダクションは「ひまりプロラジオ」という番組を企画し、ささやかな反撃を試みるもののテレビの影響力には及ばず苦戦中。

表紙絵の美人と美少女は一体だれなのか。新人タレント? それは読んでのお楽しみ。しかし颯斗(はやと)の回りは美女だらけ。さすがラノベ!

今回は、やられたらやり返せ! 半沢直樹の世界です。

日毬の「核武装」の主張にどう理屈をつけてアメリカと周辺国に認めさせるのか。ラストは「やっぱりそう来るよなぁ」。妙なリアリティがあるだけに、お粗末なこじつけに陥らないよう慎重に筆を進めていただきたい。期待してます!

お勧め度:★★★★☆

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2014年7月21日 (月)

スリジエセンター 1991 (海堂尊)

スリジエセンター1991 スリジエセンター1991』は『ブラックペアン1988 』『ブレイズメス1990』に続く完結編。

最近気に入っている佐々木譲の北海道警シリーズも明るい話ではありませんが、それ以上にこのシリーズは暗く、読んでいて陰鬱な気分になります。

わたしが贔屓にしていた天才外科医・天城先生はさくらの花とともに散ってしまうし、東城大学病院の高階講師と藤原婦長も嫌いになってしまい、これではもう「田口・白鳥シリーズ」も楽しくありません。自壊シリーズです。

読んだことを後悔したのって生まれて初めてかもしれません。つぎは『輝天炎上 』を読むつもりで図書館で借りてきたけれど、やめておこうかなぁ。

2014年7月19日 (土)

ケルベロスの肖像 (海堂尊)

【映画化原作】ケルベロスの肖像 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) ケルベロスの肖像』は『チーム・バチスタの栄光 』シリーズの海堂尊による現代医療ミステリー。

東城大学病院に送られたきた「八の月、東城大とケルベロスの塔を破壊する」という脅迫状。エーアイセンター開設の日になにかが起きる!?

今回も、田口先生が高階病院長に呼び出されるシーンから始まります。無茶振り、丸投げ阻止の構えを見せながら、姫宮に会ってみたいというスケベ心から田口先生は自滅。

本人も自覚しているように、実績もないのに肩書きばかり出世していくというアンバランスとアンフェア。それでもなんとかなりそうなのが彼の人徳なのでしょうか? この点が本シリーズ最大の謎です。

過去に登場した人物や出来事の総集編みたいになっていて、シリーズ読者には楽しめるはず。ただ、残念なことに物語自体は茶番の連続。大小様々、雑多なエピソードの寄せ集め、という印象が拭えません。

これが最終巻、完結編ではちょっと寂しい。

お勧め度:★★☆☆☆

2014年7月17日 (木)

玉村警部補の災難 (海堂尊)

玉村警部補の災難 (『このミス』大賞シリーズ) 玉村警部補の災難』は、『チーム・バチスタの栄光 』シリーズの海堂尊の小説から、加納警視正と玉村警部補が関わった事件+αをまとめた一冊。どこかで読んだような話もありますが、玉村が田口先生に話して聞かせる形で語られます。
  1. 東京都二十三区内外殺人事件
  2. 青空迷宮
  3. 四兆七千億分の一の憂鬱
  4. エナメルの証言

田口が公園のベンチで発見した死体に対して白鳥が取った行動から「あ、だから23区内外」なのか。「青空迷宮」とはテレビの特番のために製作した高さ3mの巨大迷路で起こった殺人事件。「4兆7千億分の1」の確率で本人を特定できるDNA鑑定。死体を他人にすり替えるために歯を治療する闇歯科医。

これまで多くの小説を書いてきた海堂尊ですが、まだ今後のための伏線を張っています。時間と場所、人物の相関図が相当複雑になっていて、担当編集者も把握できなくなるような状況で、良い度胸です。

そういえば「桜宮市」とは実際にどこがモデルなのか。富士山より西の太平洋岸というのが定説ですが、感覚的には「首都圏の端っこ」ですから、せいぜい小田原あたりかと、わたしは思います。

お勧め度:★★★☆☆


2014年7月15日 (火)

王妃の館 (浅田次郎)

王妃の館〈上〉 (集英社文庫)

王妃の館〈下〉 (集英社文庫)
王妃の館』は『鉄道員(ぽっぽや) 』の浅田次郎の長編小説。

フランス、パリの「王妃の館」に10日間宿泊できる150万円の贅沢ツアーと、20万円の格安ツアーを二重ブッキングの確信犯は、手形決済のための資金調達に追いつめられた旅行会社。

冒頭から胡散臭さ満点、いかがわしさ全開。10ページで気力が萎えて断念。浅田次郎ではよくあるのです。たしか「蒼穹の昴」もそうだった。生理的嫌悪感から本を閉じてしまう。そういうときは、軽く読める本で気分転換。今回は『和菓子のアン』(坂木司)で、気分をリセットしてから再挑戦。

豪華ツアーは、ツアコンが朝霞玲子、不倫上司に捨てられた桜井香、ベストセラー作家・北白川右京と担当編集者・早見リツ子、工場が破綻し借金苦から自殺を決意した下田夫妻、成り上がり不動産王・金沢賢一と愛人ミチル。

格安ツアーは、ツアコンが戸川光男、元警察官・近藤誠とオカマのクレヨン、カード詐欺師の丹野夫妻、元夜間高校教師の岩波夫妻、早見のライバル出版社の文芸編集者・谷文弥と香取良夫。

小説家はホテルに缶詰で原稿書きになるだろうに、ホテルの部屋を他者と共有なんて最初からムリがあります。そのムリをどうやって切り抜けるのか見てやろう。というのが正しい姿勢。ツッコミどころ満載で、おまけにくだらんギャグばかりでやってられん、と思ったら読んでられません。

我慢の限界に達しようとしていた中盤になって、当時のルイ14世の物語が北白川右京の原稿として挿入されます。松竹新喜劇と劇団四季が交互に舞台に現れる感じ。

北白川右京の初期の長編『細雪国』の冒頭は「国境の長いトンネルを抜けると細雪が降っていた。夜のそこいらが白くなった」。

いちばん喜んでいるのは作者じゃなかろうか。最後は予定調和の大団円になるだろうことは予想がつくのですが、中身はドタバタ喜劇。それを笑える方にお勧めします。ほら、難しい顔しちゃだめです。人生は楽しんだほうが得!

お勧め度:★★★☆☆

2014年7月13日 (日)

月島慕情 (浅田次郎)

月島慕情 (文春文庫) 月島慕情』は『鉄道員(ぽっぽや) 』の浅田次郎の短篇小説集。
  1. 月島慕情
  2. 供物
  3. 雪鰻
  4. インセクト
  5. 冬の星座
  6. めぐりあい
  7. シューシャインボーイ
気に入ったのは「月島慕情」「供物」「めぐりあい」「シューシャインボーイ」。最後の話はいつだったか読んだことがあります。泣かせる話が揃っていますから電車の中で読むのはお勧めしません。

浅田次郎って、歴史小説と現代小説の隙間を埋めてくれているような気がします。江戸でも平成でもなく、明治から大正時代の様子を、戦争を含めて、祖父母が生きた時代を彷彿とさせてくれるのです。

あとがきの前の「作者自身による自作解説」も興味深い。

お勧め度:★★★★☆

2014年7月11日 (金)

和菓子のアン (坂木司)

和菓子のアン (光文社文庫) 和菓子のアン』はデパ地下の和菓子屋「みつ屋」でアルバイトを始めた梅本杏子の奮闘記。商店街育ちの杏子から見たデパ地下、そして和菓子の伝統や歴史、文化を垣間みることができます。
  1. 和菓子のアン
  2. 一年に一度のデート
  3. 萩と牡丹
  4. 甘露家
  5. 辻占の行方

みつ屋で働く先輩たちの表の顔と裏の顔のギャップにびっくり。個性的な面々と、ちょっとした謎解きも楽しめます。

余談ですが、わたしが好きな和菓子は、京都満月の阿闍梨餅と、出町ふたばの豆餅と桜餅。豆餅はそもそも有名ですが、桜餅は生まれて初めて美味しいと思いました。また食べたい!

お勧め度:★★★☆☆

2014年7月 9日 (水)

警官の血 (佐々木譲)

警官の血〈上〉 (新潮文庫)

警官の血〈下〉 (新潮文庫)
警官の血〈上〉』 『警官の血〈下〉』は、安城清二、民雄、和也。父子3代の警視庁警察官の物語です。戦後の混乱期から平成まで、民雄がそうであったように、清二が追っていた事件と、清二自身が命を落とした事件(事故)の真相を和也も追うことになります。

昭和23年、初代警察官の清二は、谷中の天王寺駐在所の駐在さんとなったが、五重塔の火災の際、跨線橋から転落して列車に轢かれて死亡。火災を出した責任をとって自殺したものとして、殉職扱いされませんでした。

父の最後に納得していなかった民雄も駐在となった後、父の手帳を見ながら当時の事件を調べていたけれど、麻薬中毒者の銃から少女を救うために殉職。そして、警察官になりそうにはなかった和也が大学卒業後、警視庁警察官の道を選んだのです。

清二が追っていた2つの事件と、清二自身の死。これらが物語を貫くミステリーなのですが、警官にとっての正義とはなにか。それが大きく、重いテーマとなっています。「警官の血」といっても三人三様。きれいごとだけでは済まない現実をフィクションとして描いています。

お勧め度:★★★★☆

2014年7月 7日 (月)

疾風魔法大戦 (トム・ホルト)

疾風魔法大戦 (ハヤカワ文庫) 疾風魔法大戦』は、1200年前のバイキングたちが大暴れするユーモア・ファンタジー。

女性考古学者ヒルディは、スコットランド北部のケイスネス(ほんとうに何もない土地です)でバイキングの船を発見し、そこで眠っていた13人の戦士たちと出会います。彼らは邪悪な魔法使いの王との戦いに勝利したものの、王を取り逃がし、再び世界が危機に陥ったときに眠りから覚めるよう魔法をかけていたというのです。

大昔の人物が現代で大暴れするという設定は『鉄の魔道僧』シリーズと同じ。時代のギャップが可笑しい…はずなのですが、王は現代文明にもさほど驚きません。なぜ?

紀元8世紀の人に会うということは、日本であれば奈良時代。目の前に藤原仲麻呂が現れたようなもの。考古学者は驚くと同時に狂喜乱舞することでしょう。ヒルディは戸惑いながらも、彼らの話から「本物」だと確信し、世話を焼くことになります。こういう非常時には女性のほうが強いような気がします。

ヴァイキングの王から預かった宝を換金しては移動用のクルマや衣服、食糧を買い込むヒルディ。なぜ会話に困らないかというと、同行している魔法使いのおかげだというのですが、魔法使いの言葉はわかりません。「彼もいろいろ試したのだが、鏡を使っても自分には魔法がかけられなかったそうだ」(笑)。

とんでもない説得力をもたせる骨、敵を押しつぶす岩に変わる小石、遠くで起きていることを覗くことができる眼鏡石など、魔法の小道具も愉快。

映画にすると面白そうなのですが、駆け足で語られるため、ちょっと消化不良気味。もっとじっくり読ませてほしかった。ただ、エンディングは洒落てます。

お勧め度:★★★☆☆

2014年7月 5日 (土)

司法戦争 (中嶋博行)

司法戦争 (講談社文庫) 司法戦争』は最高裁判所を舞台にしたリーガル・サスペンス。海堂尊の『チーム・バチスタの栄光 』をはじめとするメディカル・サスペンスを読んできたので、目先を医療から法曹界に変えてみました。

冬の沖縄の海岸で最高裁判事・村上稔が殺害された。法曹界に激震が走り、検察から最高裁に出向している女性判事・真樹加奈子を中心に、警察庁、警視庁、検察、法務省、内閣情報室までが絡んでくる…。

村上判事はなぜ殺されなければならなかったのか?

それが知りたくて読み進めていくと、予想の斜め上をいく、とんでもない陰謀が明らかになっていきます。その謀略のまえには真樹の命など風前の灯。危なっかしくて見ていられません。

それでも真樹の味方も現れて、なんとか無事に切り抜けてほしいと念じつつページを繰っていきました。まさにタイトルどおり、これは戦争です。文庫本700ページの大作ですが、一気に読んでしまいました。

お勧め度:★★★★★

2014年7月 3日 (木)

惑星カレスの魔女 (ジェイムズ・H・シュミッツ)

惑星カレスの魔女 (創元SF文庫) 惑星カレスの魔女』は、紹介文には「ユーモア溢れるスペースオペラ」とあったのに惹かれて手に取ったのですが、まさに「一難去ってまた一難」の繰り返し。

おんぼろ宇宙船を駆るパウサート船長が、思わず助けてしまった少女が「まだ姉妹がいるの、この町に」と言われ3人の奴隷を買い取ったら、それはカレスの魔女だったのです。長女のマリーンは予知能力、二女のゴスはテレポート、三女のザ・リーウィットはサイコキネシスが可能。彼女たちをカレスに送り届け、再出発したらゴスが密航していて…。

ちょっとわかりにくい部分もありますが、意外な展開で楽しませてくれました。表紙絵は宮崎駿ですが、アニメにするにはやや華に欠けているかもしれません。

お勧め度:★★★☆☆

2014年7月 1日 (火)

宰領〜隠蔽捜査 5 (今野敏)

宰領: 隠蔽捜査5 宰領: 隠蔽捜査5』は「隠蔽捜査」シリーズ第6弾。途中に「隠蔽捜査3.5」があるので6巻目となります。独特な警察小説で、際立ったところはないんだけれど、安心して読めます。

警察庁長官官房総務課から、不祥事による降格人事で大森署署長となった竜崎伸也が主人公。彼は無駄や不合理を嫌い、組織内でも筋を通して国を守ることを使命としています。ですから、息子が二浪の末、3度目の東大受験という日、さぞかし心配だろうという周囲の気配りにも「息子は息子、自分は自分の仕事に取り組むだけ」。

今回は、大森署管内で国会議員が失踪し、発見されたクルマからは運転手の遺体が発見される。殺人および誘拐か。複数犯に見えるが単独犯の可能性も捨てきれない。予断は禁物。事実から推理していかねば…。

竜崎の淡々とした思考回路が懐かくも頼もしい。犯人から脅迫電話が警察にかかってきて、横須賀市内に潜伏していることがわかり、警視庁と神奈川県警との確執に悩まされる竜崎。ただ、彼の目的は一刻も早い議員の救出。メンツなど関係ない。

最初は竜崎に反感を抱いていた神奈川県警の警察官たちも、警視庁のメンツにこだわらず的確な判断を下す竜崎を信頼するようになっていく様をみると気分爽快。これが隠蔽捜査シリーズの魅力です。

お勧め度:★★★★★

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