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2014年5月 1日 (木)

富士学校まめたん研究分室 (芝村裕吏)

富士学校まめたん研究分室 (ハヤカワ文庫JA) 富士学校まめたん研究分室』は『マージナル・オペレーション』の芝村裕吏の作品。

「異星人のような女子と子供のような男子に囲まれた幼少生活は苦痛に満ちている」というように、子供の頃から周囲に馴染めず浮いていた「私」 は、勉強して工学系に進み、自衛隊の技官となります。

といえば、なにやら国防を志していたように聞こえますが、実際は、極端な口下手で、面接試験に耐えら れない。自衛隊ならたまたま形式的な面接で済んだだけのこと。消去法で流された結果なのでした。

そして、藤崎綾乃 30歳。曖昧は嫌い、混沌は好き。頭は良いどころか、相当切れるのですが、対人関係が構築できません。当然男性と付き合った経験もない。表紙絵にあるような小型ロボット戦車「まめたん」の開発に携わる一方、自分を助けてくれる伊藤二尉(のちに一尉)に恋心を抱いて、トンチンカンな言動が可笑しい。仕舞いには 「開発が頓挫したら専業主婦になろう」と、いともあっさりと仕事を放り出しかねない、危ういバランス感覚の持主。

前半は「30にもなってなんだコイツ」と思ってたのですが「年を経れば大人になるわけじゃないし」と納得するに至りました。世の中、20歳で老成する人もいれば、60歳の子供もいます。人に迷惑をかけない限り、マイペースで生きればいいのです。

まめたんの活躍を見たいけれど、戦争は見たくない。武器を開発することは矛盾をはらんでいます。

お勧め度:★★★★☆

ロボット戦車と聞くと『攻殻機動隊』のタチコマ(多脚戦車、思考戦車)を思い出します。愛嬌があって楽しい奴です。

ロボット戦車がネットワークで連携して、敵の先回りをしたり、援護射撃をしたり、開発者の予想を超える働きをするのは、技術的には興味深いのですが、警告も発せずに人を射殺するロボットは怖い。そんなロボットが街中に警備ロボットとして広がったら、いつか人類がロボットに滅ぼされる日が来るかもしれません。核兵器、原発、遺伝子操作など、トラブルが起きた際、人間が制御できなくなる可能性のある技術は用いるべきではないと思います。そういう意味では、科学者には倫理観が大切。

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