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2014年5月

2014年5月31日 (土)

ナイチンゲールの沈黙 (海堂尊)

ナイチンゲールの沈黙(上) (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)

ナイチンゲールの沈黙(下) (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ)
ナイチンゲールの沈黙』は『チーム・バチスタの栄光 』の続編。

前回の舞台は心臓外科でしたが、今回は小児科。患者は網膜芽腫(眼の癌)を患うアツシ(5歳)と瑞人(15歳)。愚痴外来医師・田口公平は高階院長の特命により小児不定愁訴外来を開くことになったのです。医療のテーマは重いけれど、今回もにぎやかなことになりそう。

小児科病棟で、歌がうまいことで有名な看護師・浜田小夜は、伝説の歌姫・水落冴子と出会い、運命のジェットコースターが走り出してしまいます。

さらに今回は、残忍な殺人事件が起きて、警察庁の加納警視正が捜査にやってくるわ、そこへ「アノ白鳥」も飛び込んでくるわ、もう収拾がつきません。お腹いっぱいの一冊です。

あとがきによると刊行順に読むことがお勧めだとか。つまり『ジェネラルルージュの凱旋』より先に『螺鈿迷宮』を読んでみます。

お勧め度:★★★★★

2014年5月29日 (木)

チーム・バチスタの栄光 (海堂尊)

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)
チーム・バチスタの栄光(上) 』は、テレビドラマは観たのですが小説は初めて。愚痴外来医師・田口公平と厚生労働省技官・白鳥敬輔が、わたしのイメージでは伊藤淳史と仲村トオルになっていたのですが、文庫版の下巻に入って白鳥が登場すると先入観は消えました。いや、小説のほうが断然面白い!

東城大学医学部付属病院では、心臓移植できない場合の代替処置としてのバチスタ手術を行うチームを結成し、驚異的な成功率を誇ってきたのですが、最近になって3例連続で術中死が発生。病院長の高階は田口に調査を命じたのです。

出世欲もなく目立たない田口ですが、彼なりに聞き取り調査を行い、次のバチスタ手術を見学します。ただ、医療ミスなのか、偶然なのか、何者かの悪意なのか、判断はつきません。そこで、院長は「劇薬」を投入します。

ジャンルとしては「医療ミステリー」になるのでしょうか。白鳥と田口が、ホームズとワトソン。地味ながらまっとうな神経をもつ田口と、ぶっ飛んだ思考と人格の白鳥コンビのやりとりは笑えます。白鳥のロジックについていくのは(田口先生同様)なかなか難しい。そもそも本当のことなのか、でたらめなのかもわからない。(苦笑)

極北クレイマー』に登場した女医・姫宮は白鳥の部下だったのですね。「上司が出てきたら大変なことになる」と言っていたのが腑に落ちました。(笑)

ドラマは小説のラストとちがったような気がするし、犯人の動機が説明不足。でも、そんなことは些細なこと。この本は面白い!

「田口・白鳥シリーズ」は『ナイチンゲールの沈黙』『ジェネラル・ルージュの凱旋』『イノセント・ゲリラの祝祭』『アリアドネの弾丸』『ケルベロスの肖像』『カレイドスコープの箱庭』と続きます。

お勧め度:★★★★★

2014年5月27日 (火)

俺の妹がこんなに可愛いわけがない 12 (伏見つかさ)

俺の妹がこんなに可愛いわけがない (12) (電撃文庫) 俺の妹がこんなに可愛いわけがない (12)』はシリーズ最終巻。

結末がファンには不評だったようですが、これはラノベ形式のエロゲーなので、黒猫、あやせ、麻奈実、桐乃ルートのなかで、京介は彼女を選んだというだけのこと。本のタイトルをつけた時から決まっていたのかもしれません。つまり、ラノベの落とし所としては無難な選択かと。

しかし、ゲームではなくリアルではルート選択後も世界は続きます。それを思うと兄妹では社会的に破綻します。また、ゲームであればルート分岐前にセーブして、あとで他ルートにも進めるようにしておくのですが、果たして京介が選んだ道は!?

お勧め度:★★★★☆

2014年5月25日 (日)

俺の妹がこんなに可愛いわけがない 11 (伏見つかさ)

俺の妹がこんなに可愛いわけがない(11) (電撃文庫) 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(11)』はシリーズの最後から2巻目。なにやら、兄と妹が仲違いした原因について語られるとか。前巻で、桐乃と麻奈美が仲直りのための「話し合い」を持つといった約束の場で、昔話が始まります。

当時、クラスメイトの櫻井秋美が不登校だったのを、学級委員だった京介がなんとかして登校させようと奮闘したものの失敗してしまったというのですが、それが桐乃となにか関係が?

事情はわかったけれど、過去の経緯の説明に1冊割くとは…。ストーリーは進んでいないので退屈。さて、次が最終巻です。

お勧め度:★★☆☆☆

2014年5月23日 (金)

俺の妹がこんなに可愛いわけがない 10 (伏見つかさ)

俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈10〉 (電撃文庫) 俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈10〉』は、2年以上前に途中で挫折して以来の復帰。たまたま図書館で見つけて手に取ってみたら、ずいぶん流れが変わっていたので借りてみました。

桐乃の兄・京介に対する悪口雑言が聞く(読む)に耐えず、5巻で力尽きたのです。それが10巻では雪解けムードが漂い「これなら読んでみてもいいかな」と。

いや、面白かった。まさにハーレム状態の、ラノベ全開です。

6〜9巻まで飛ばしているにもかかわらず、登場人物はほとんどわかりました。初対面は黒猫の妹くらい。シリーズ後半ではキャラが増えていないみたい。真奈美のスタンスは変わってないようですが、あやせがデレるとは思っていませんでした。

一方で、12巻で完結したものの、ファンには評判が悪いらしい。それなら自分で確かめてみようと思います。あと2巻くらい読めるでしょう。

お勧め度:★★★★☆

2014年5月21日 (水)

[Xbox360] ブルードラゴン

ブルードラゴン Xbox 360 プラチナコレクション ブルードラゴン』は、Xbox360と同時発売された大作RPG。それ以前に、なぜ今Xbox360なのか?

Wii Uが発売されてもプレイしたいゲームがない。我が家では「任天堂=ゼルダの伝説」なのです。だから「ゼル伝」の新作が発売されないWii Uは魅力ゼロ。一方で、次男は時々ゲームキューブやPS2の古いゲームを引っ張り出してきて遊んでます。中古ソフトは安いから気軽に買える。当時は6,000円だったソフトが300円以下だったりするのは痛快です。 一緒に攻略本を買っておけば完璧!

だったら新しいハードじゃなく古いハードを買ってみるのも面白そう。次男が「エースコンバット」シリーズが好きなので、PS3かXbox360。PS4のソフトはまだ数が少ない上に高く、PS3との下位互換性もない。一方、Xbox Oneが今年発売されるけれど、こちらも360との互換性なし。

ソフト資産をトータルに評価すればPS3に軍配が上がるものの「エースコンバット6」はXbox360のみ、ということで決まったのです。本体は現行モデルの「Xbox360 4GB」。さすがにメモリが不足するので32GB USBメモリを追加して、いまのところ問題ありません。

ワイヤレスコントローラで電源ON/OFFできるのは便利ですね。本体に触るのは、ソフト(DVD)を入れ替えるときだけ。テレビとデジタル接続したほうが、細かい文字も鮮明に見えます。そのため、HDMIケーブルとHDMI切替器も買いました。

実は、以前から気になっていた『オブリビオン』も(次男が)プレイしてみたのです。いきなり地下牢から始まってびっくり。最初はチュートリアル代わりのクエストがあり「持ち物が多いと重くて動きが鈍くなる」とか。でも、だからといってズボンまで捨ててしまうのはどうかと思う。暗くて、怖くて、危なくて、大笑いできるのはわかったのですが、どうなんでしょ、コレ?

そのあとで見たのが『ブルードラゴン』。鳥山明デザインなので、見た目はまるで『ドラゴンクエスト』。次男とふたりして「懐かしい!」。古臭いと言われるかもしれませんが、主人公たちの青臭いセリフも含めて、ホッとするというか、安心します。ファミリー向けですね。

というわけで、わたしが始めたのですが、ボス戦は次男の担当。お互い空いている時間に進めて、進捗を伝えて、現在2枚目に入ったところ。DVD3枚組なのでどんどん進めてもらったほうがいい。これが終わったら『スカイリム』に挑戦します。

お勧め度:★★★★★

2014年5月19日 (月)

倒錯のロンド (折原 一)

倒錯のロンド (講談社文庫) 倒錯のロンド』は「叙述ミステリー」と呼ぶらしい。登場人物の心情を読者が勘違いするトリック。複数の人物に対する勘違いが重なっていき「盗作」事件は「倒錯」していくのです。

エアコンもない四畳半のアパート、山本安雄は月刊推理社の「第20回新人賞」に応募しようと原稿用紙に向かっています。物語は4月1日に始まり、締切は8月末だから余裕があると思っていたら、書けないままズルズルと…退屈な本だなぁ、と思いつつも読んでいくと安直に殺人を思いつく奴が出てきてロンド(輪舞)が始まったのでした。

私が小学生の頃、母親が「うちの子は推理小説を読まない」と心配しました。シャーロックホームズかなにかに従姉妹が夢中だったのでしょう。それは好みの問題なので心配されてもどうにもなりません。いま思うに、推理小説で起こる事件は99%「悪意」に基づくものなので好きになれないのです。殺人なんて悪意の最たるもの。それをパズルかなにかのように楽しむ気分にはなれません。子供たち(未成年)が見るアニメや漫画も「暴力」が多い。戦闘シーンがないと売れないのでしょうか。暴力を好むのは人間の性?

『倒錯のロンド』では、作者のトリックに引っ掛かるまいと思っても引っ掛かります。あえて引っ掛けられたことを楽しむのが良いと思います。あとがきを兼ねた「倒錯の日々」は笑えました。

お勧め度:★★★★★

2014年5月17日 (土)

No.6 完全ガイド (あさのあつこ)

NO.6〔ナンバーシックス〕完全ガイド (YA!ENTERTAINMENT) NO.6〔ナンバーシックス〕完全ガイド 』は「登場人物プロファイリング」「人物相関図」「ある日の食卓」「詐欺師の心理学」「 小ネズミたちの任務履歴」「紫苑の読書履歴」「NO.6の謎を読み解く」といったデータ集。

パラパラ繰っていくと「あぁ、そんなこともあったっけ」と思い出します。作者のインタビューも掲載されていますが、とくに目新しさはありません。

お勧め度:★★☆☆☆

2014年5月15日 (木)

No.6 beyond (あさのあつこ)

NO.6〔ナンバーシックス〕 beyond NO.6〔ナンバーシックス〕 beyond』は、9巻で完結した「NO.6」シリーズの番外編(後日談)です。
  1. イヌカシの日々
  2. 過去からの歌
  3. 紫苑の日々
  4. ネズミの日々

NO.6崩壊後、再建委員会のメンバーとして働く紫苑は、これまで聞いたことのなかった父の話を、母・火藍から聞きます。そして、NO.6を離れたネズミは紫苑を知る男と出会うのでした。

「NO.6」を読むのであれば、ぜひbeyondまで読みましょう。

お勧め度:★★★★☆

2014年5月13日 (火)

No.6 #9 (あさのあつこ)

NO.6〔ナンバーシックス〕#9 (YA!ENTERTAINMENT) NO.6〔ナンバーシックス〕#9』は、シリーズ第9弾。ずいぶん前に読んだ8巻で、紫苑がネズミと沙布を救おうと矯正施設に潜入したものの…というところで終わっていたのを、ようやく最終巻を手にしました。

お約束どおり、主人公は死にません。そして、人類の理想都市 No.6 は崩壊します。「1984」がそうであったように、人間が人間を精神面まで監視、管理する社会は間違っています。個々は自由でなければなりません。

もしあながた紫苑だったら、どんな未来を描くでしょうか。

お勧め度:★★★★☆

2014年5月11日 (日)

タラ・ダンカン 10 悪魔の兄弟 (ソフィー・オドゥワン=マミコニアン)

タラ・ダンカン10 悪魔の兄弟 上

タラ・ダンカン10 悪魔の兄弟 下
タラ・ダンカン10 悪魔の兄弟 上』と『タラ・ダンカン10 悪魔の兄弟 下 』 は「タラ・ダンカン」シリーズの第10弾。2003年から(原作は)年に1冊ずつ出されています。日本では各巻とも上下2分冊で、児童書とはいえ、そこそこ読み応えがあります。息子たちが小学生の頃から読んでいるので、続きを読んでみることにしました。たしか10巻で完結だと聞いたから、物語の結末が知りたい。

久しぶりなので経緯を忘れてしまっていますが、冒頭に地図や家系図、登場人物紹介、これまでのあらすじが載っているので大丈夫。

表紙絵のタラはいつまで経っても小学生のように幼く見えますが、オモワ王国のリスベス女帝から結婚を勧められるタラ。連日、候補者に会ってはお愛想を言うのに疲れています。おまけに花婿候補には悪魔の王アルカンジュとドラゴンのシェムもいるのです。もはやタラに逃げ場はない!?

リスベスがアルカンジュをこちら側に招くというのにタラは猛反対。悪魔の力を見くびると取り返しのつかないことになります。

といったスリルもあれば、タラがカルから告白されて、揺れる女心もあります。もう誰と誰がくっついたとか、喧嘩したとか、興味ありません。話を先に進めましょう。

下巻に入って、これが最終巻なら、マジスターの正体が明らかになるはず。気になります。ところが、悪魔たちがやってきてもマジスターは出てきません。あれ、終わっちゃった。

まだ、続くの〜!?

ネットで調べたところ、12巻まで延長されたとか。気合い入れて、期待して読んだのに、拍子抜けしました。

お勧め度:★★★☆☆

2014年5月 9日 (金)

今出川ルヴォワール (円居挽)

                         
今出川ルヴォワール (講談社BOX)
      
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        『今出川ルヴォワール』は『丸太町ルヴォワール 』『烏丸ルヴォワール 』に続く、シリーズ第3弾。講談社BOXとして出版されますが、1〜2作はすでに講談社文庫になっています。
       
        私的裁判「双龍会」は、日本の司法で裁かれない事案を訴えることで開かれるわけですが、事実を追究するのではなくクロをシロと言いくるめてしまえば勝ち。負けた方は京都から放逐(所払い?)されるようです。裁判というよりディベートみたい。一度読んだだけではよくわからない、小難しい小説です。
       
        河原町今出川交差点の南東にあるのは大怨寺ではなく了徳寺ですが、京都を舞台にしている点がわたしにとっては大きな魅力。
       
        最初に掲載されている京都市街図には実在している施設がほとんど。
       
             
  • 京都大学 吉田キャンパス
  •          
  • からふね屋珈琲店 熊野店(東山丸太町の北)
  •          
  • 京都市勧業館 (岡崎)
  •          
  • グレースたなか(スーパーマーケット)
  •          
  • 左京郵便局
  •          
  • 京都御所
  •          
  • ボンボンカフェ(鴨川河畔)
  •          
  • 西陣郵便局
  •          
  • 六角堂
  •        
作者が京大出身ということもあってか、登場人物も京大生が多い。私的裁判という、傍聴人を納得させたほうが勝ちという世界に生きる人たちなので、頭の回転は速いわけで、自ずと小難しい話になりがち。ユーモアもちょっと硬いけれど笑えます。
       
        たとえば、からふね屋珈琲店での城坂論語と瓶賀流の会話。
       
        「それにはバイカル湖よりも深い訳があるんですよ」
        「ほう、どんなだ?」
        「撫子さんに振られました。用事があるんですって」
        「高瀬川より浅いな」
       
        「上洛するそうですよ」って、いつの時代だ。しかし、上京では東京に行ってしまうから、それでいいのか?
       
        ミステリーとして読むか、京都に巣食う怪しい組織の暗躍を楽しむか、若者たちの成長を見守るか、いろんな楽しみ方があります。
       
        お勧め度:★★★★☆       

2014年5月 7日 (水)

ふるさと銀河線 (高田郁)

ふるさと銀河線 軌道春秋 (双葉文庫) ふるさと銀河線 軌道春秋』は「みをつくし料理帖 」シリーズの高田郁の作品ということで手に取ってみました。
  1. お弁当ふたつ
  2. 車窓家族
  3. ムシヤシナイ
  4. ふるさと銀河線
  5. 返信
  6. 雨を聴く午後
  7. あなたへの伝言
  8. 晩夏光
  9. 幸福が遠すぎたら(寺山修司)

「軌道春秋」という短篇連作から8編を選んだもの。タイトルにもなっている「ふるさと銀河線」は、地元鉄道の運転士をしながら育ててくれた兄の思いを知りつつも、卒業後の進路について悩む少女を描いています。

その「ふるさと銀河線」はまだ良いほうなのです。とにかく冒険譚ならぬ不幸譚で、読んでいて暗く哀しい気持ちになってしまいます。「みをつくし料理帖」ならば、不幸のどん底から這い上がって行く光明が見えるのですが、それもないのでは救われません。

少なくとも、わたしがいま読みたい本ではありませんでした。(残念)

お勧め度:★★☆☆☆

2014年5月 5日 (月)

サエズリ図書館のワルツさん 2 (紅玉いづき)

サエズリ図書館のワルツさん 2 (星海社FICTIONS) サエズリ図書館のワルツさん 2』はシリーズ第2弾。本といえば電子データであって、紙の本は見たことも読んだこともない子供が珍しくない。そんな未来で、貴重な本を無料で貸し出す私設図書館のお話。

「なぜ紙の本なのか」に説得力を感じるかどうか。そして、本によって人生が変わることがあると信じるかどうか。それが本書を面白いと思うかどうかの分かれ目だと思います。

思うに、電子本は自分のモノじゃないんです。あれは「読む権利」を買うだけ。タブレット端末などにダウンロードしていない本は(出版社の倒産などで)サーバーから削除されたらおしまい。当然、家族や友人に貸すこともできないし、古書店に売ることもできない。本を自分のモノにするには「紙の本」でなければならないのです。本というものを「データ」とみるか「モノ」とみるかの違いです。

わたしは、興味のある本はまず図書館で借りて読みます。そして、家族にも読ませたいと思った本だけ買います。図書館の本はいつ、誰が持っていってしまうかわかりませんが、自分の本棚にあれば、そんな心配はありません。以上が、わたしが紙の本にこだわる理由です。逆にいえば、それ以外は電子本でも構わないので iPadで「青空文庫」も利用させてもらっています。

サエズリ図書館のワルツさん 2』では、就職活動に失敗したチドリさんが図書修復師を志すに至るお話がメインです。愛着のあるモノを長く残すための手仕事。きっと良い職人さんになることでしょう。

お勧め度:★★★★☆

2014年5月 3日 (土)

サエズリ図書館のワルツさん 1 (紅玉いづき)

サエズリ図書館のワルツさん 1 (星海社FICTIONS) サエズリ図書館のワルツさん 1』は、近未来の不安定な戦後世界で、電子化されたデータではなく、紙の本をこよなく愛するワルツさんが営むサエズリ図書館を訪れる人たちを描く連作小説です。

表紙絵の美人がワルツさん。変わった名前だと思ったら本名なのです。割津 唯。のちにタンゴさんも登場します。(笑)

学校の教科書も電子化され、これまで本を読んだことのなかったカミオさん、小学校教師のコトウさん、祖父のコレクションを取り戻したいモリヤさんらの視点で描かれるワルツさんは、本を守るという強い意志と他人を思いやる優しさをもつ女性。嫌なことがあったときに読むといい。ホッとします。

ワルツさん自身のことは第4章で明らかになります。2巻も出ているので読んでみるつもりです。

お勧め度:★★★★★

2014年5月 1日 (木)

富士学校まめたん研究分室 (芝村裕吏)

富士学校まめたん研究分室 (ハヤカワ文庫JA) 富士学校まめたん研究分室』は『マージナル・オペレーション』の芝村裕吏の作品。

「異星人のような女子と子供のような男子に囲まれた幼少生活は苦痛に満ちている」というように、子供の頃から周囲に馴染めず浮いていた「私」 は、勉強して工学系に進み、自衛隊の技官となります。

といえば、なにやら国防を志していたように聞こえますが、実際は、極端な口下手で、面接試験に耐えら れない。自衛隊ならたまたま形式的な面接で済んだだけのこと。消去法で流された結果なのでした。

そして、藤崎綾乃 30歳。曖昧は嫌い、混沌は好き。頭は良いどころか、相当切れるのですが、対人関係が構築できません。当然男性と付き合った経験もない。表紙絵にあるような小型ロボット戦車「まめたん」の開発に携わる一方、自分を助けてくれる伊藤二尉(のちに一尉)に恋心を抱いて、トンチンカンな言動が可笑しい。仕舞いには 「開発が頓挫したら専業主婦になろう」と、いともあっさりと仕事を放り出しかねない、危ういバランス感覚の持主。

前半は「30にもなってなんだコイツ」と思ってたのですが「年を経れば大人になるわけじゃないし」と納得するに至りました。世の中、20歳で老成する人もいれば、60歳の子供もいます。人に迷惑をかけない限り、マイペースで生きればいいのです。

まめたんの活躍を見たいけれど、戦争は見たくない。武器を開発することは矛盾をはらんでいます。

お勧め度:★★★★☆

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