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2014年3月14日 (金)

神去なあなあ日常 (三浦しをん)

神去なあなあ日常 (徳間文庫) 神去なあなあ日常』は、林業エンターテイメント小説。舞台は神去(かむさり)村となっていますが、三重県の 旧美杉村(現美杉町)がモデル。大雑把にいえば、名張と松阪の間の山岳地帯です。三浦しをんのおじいさんが美杉村の出身らしい。

『風が強く吹いている』で駅伝の世界を知り、『舟を編む』で国語辞典編纂の苦労を知り、『仏果を得ず』で文楽の世界を知ったように、『神去なあなあ日常』では林業について、小説として楽しく読ませてくれます。

主人公は、横浜出身の平野勇気18歳。高校卒業と同時に林業実習生として(本人の意思を無視して)神去村に送り込まれたという設定。携帯の電波も届かない山の中。花粉の製造元だから、春先には一体どうなるのかと思ったら(花粉症の人は)やっぱり大変みたいです。

神が住むという山の、大自然と神秘。危険と背中合わせの山仕事。数十年、百年単位で木を育てる長ーい目。そんなところから「なあなあ」(ゆっくり行こう、まあ落ち着けといった意)が定着してきたのでしょう。大阪生まれで名古屋に住んでいると、桑名の人が関西弁なのが不思議。三重県で言葉のうえでは関西(近畿)圏なんです。だから神去村も関西弁の「のんびりぶり」が影響しているのではないでしょうか。

最初は脱走を企てた勇気くんも、次第に慣れてくるに従って自信もついてきたようで、自然の美しさと怖さを知り、年上の小学校の先生に恋したり、ダニやヒルと闘いながら充実した毎日を送っているようです。

林業に興味のある人もない人もぜひ読んでみてください。つぎは、続編『神去なあなあ夜話』も読みたいと思います。

お勧め度:★★★★★

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