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2014年3月16日 (日)

とっぴんぱらりの風太郎 (万城目学)

                         
とっぴんぱらりの風太郎とっぴんぱらりの風太郎』は『鴨川ホルモー 』『鹿男あをによし 』『プリンセス・トヨトミ 』『偉大なる、しゅららぼん 』などの万城目学(まきめ・まなぶ)の作品。
      
      ちょっと不思議で、馬鹿馬鹿しくて笑えるけれど、ちょっぴり切ない。ほら、大阪弁で「そんなアホなぁ」っていうとき、いろんなニュアンスがありますよね。「バカ言ってんじゃねーよ」というときと「そんなバカなことがあっていいわけねーだろ」というときがある。万城目の小説は後者なんです。荒削りだけど、ある一点に向かっていく。だから『かのこちゃんとマドレーヌ夫人 』も大好きです。
      
      さて、徳川の世になって戦がなくなり、忍者も仕事がなくなってしまった。忍者は傭兵。仕事にあぶれれば食うに困る。伊賀での忍者修行半ばで里を出てし まった主人公・風太郎は吉田山の麓に住み着いてブラブラしているところへ、忍者仲間の黒弓がひょうたんを持ってやってきます。黒弓は、南蛮帰りで商才がある、お調子 者。しかし風太郎にとっては疫病神みたいな奴。そのひょうたんを産寧坂の「瓢六」というひょうたん屋に届けるのですが…。
      
      宣伝文句に「その時、1人対10万人」とか「ニート忍者」とありますが関係ありません。ニートとか、そういうことじゃありません。妙な先入観を持たない方がいい。ジャンルとしては時代小説なのでしょうが、得物が剣や手裏剣であることを除けば、時代小説っぽくありません。京都の吉田山、鴨川、八坂神社、清水の産寧坂、高台寺、大坂城が主な場所なので親近感があります。
      
      「風太郎」という文字は許せても「プータロー」という音は許しに くい。「忍たま乱太郎」を想像してしまう。主人公は乱太郎より要領が悪い。真面目だけど石頭で陰気だから客商売には不向き。いまひとつ血の巡りが悪いから、読者が先回りできてしまう。でも、最後には誰にも真似できないことをやってくれる。
      
      「おぬし、死ぬぞ」
      「俺はもう決めたのだ」
      「こんなもの、忍びがする仕事ではないぞ」
      「なら、俺は元から忍びではなかったということだ」
      
      ハードカバーで746ページ。久々に読み応えのある小説に出会いました。最後のクライマックスでは思わず泣きそうになった。続編は期待しないけれど、後日談が読みたいと思うのはわたしだけでしょうか。
      
      お勧め度:★★★★★

本が1,995円で、Kindle版が1,500円。Kindle版は、読み終えても、家族や友人に貸すこともできないし、古本として売ることもできないから、わたしにとって1,500円の価値はありません。電子書籍の価格は、書籍版の半額が妥当だと思います。

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