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2013年12月 8日 (日)

天神 (小森陽一)

天神 (集英社文庫) 航空自衛隊というと、有川浩の『空の上』『空飛ぶ広報室』を思い出しますが、本作は航空自衛隊の戦闘機乗り候補生(学生)たちの奮闘記です。

祖父と父も戦闘機乗りだった航空学生出身の坂上 陸と、防衛大学出のエリート高岡 速(はやり)の、まったく性格の異なるふたりを軸に物語は進みます。「天神」というのは、戦時中祖父が出会ったという空の神様。そのおかげで祖父は生還できたというのです。航空自衛隊のファイターパイロットは空に上がったら生きて還ることができる保証がないという危機感が物語の背景にあるのですが、終盤までずっと淡々と語られていきます。これが有川浩だったら、とんでもなく切ない、感情を揺さぶる書き方をしてくるだろうな、と思いつつページを繰りました。

この本は、訓練中に学生が事故死した過去を引き摺っているので、テーマは非常に重いのですが、描き方がやや平坦なので損をしているような気がします。表紙絵と合わせて「ライト」ノベルだと思われているのかも。

巻末に実機が紹介されているので、まずこちらを見てから読んだほうが実感が湧くことでしょう。最後のクライマックスは泣けちゃいました。

お勧め度:★★★★☆

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