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2013年11月

2013年11月30日 (土)

ゲート 1 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり 接触編 (堀内たくみ)

ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈1〉接触編 表紙だけではわかりませんが、厚さ3センチ、全520ページの大作が第1巻。5巻まで出ています。陸上自衛隊のトリップもの、というより異世界交流ものでしょうか。表紙絵になっている自衛隊員がオタクの伊丹二尉、その回りの3人の美少女(エルフのテュカ、魔導師のレレイ、死神ロゥリィ)が行動を共にする仲間です。

銀座に突如異世界に通じる門が現れ、そこから大群が押し寄せてきて…という1ページ目で「失敗したか」と思ったのですが、もうすこし気楽に読み進めてみてください。軍事オタクにはちょっと物足りないかもしれませんが、ラノベファンタジーとしては面白いと思います。

似たような設定のアニメ「アウトブレイクカンパニー」では、指輪をはめると異世界人と会話できるようになりますが『ゲート』では、レレイが日本語を覚えて通訳を勤めてくれるようになります。

映画『ET』を見たとき、ETを捕えるのに防護服を着込んだ連中が押し寄せてきたのを「そんな大袈裟な」と思ったけれど、今は、異世界から「外来種」や「病原菌」が侵入してくるのが心配になります。年齢を重ねると、気になるポイントが変わってくるのでしょうか。

日本が未知の世界への門戸を開いたことを、アメリカ、ロシア、中国が黙っているはずもなく、政治的な駆け引きも繰り広げられ、ドロドロした一面もありますが、異世界の調査を一任された自衛隊の「人道援助」体質がリアルに、愉快に描かれています。

それにしてもエルフたちと渋谷でお買い物とは…想像できてしまうだけになんとも言えません。小説(フィクション)っていいですね。

お勧め度:★★★★☆

2013年11月28日 (木)

真夜中のパン屋さん 午前3時の眠り姫 (大沼紀子)

真夜中のパン屋さん 午前3時の眠り姫 (ポプラ文庫 日本文学) 「真夜中のパン屋さん」第4弾。「沈まぬ太陽」の最終巻で、陰鬱さに堪えられなくなって「もっと気軽に楽しく読める本がいい」と買ったのに、それなのに何だこりゃあ!? いえ、大沼紀子さんには非はありません。わたしの我儘です。

冒頭から店主の暮林がなぜか家出、じゃなくて「夏休み」のため不在。目的は伏せてあるけど、何をしているか、わかるような気がする。そして、元ヤンキーの金髪、眉なしの従姉妹・沙耶が突然「律子おばさんに会わせてほしい」と押しかけてくる。希美の母・律子は行方不明だと言ったら「元カレに追われてるから、ここにかくまって。一緒におばさんをさがしてほしい」って、昔、希美に散々辛く当たっておいて、それは虫が良すぎるでしょう。そこにソフィアのストーカーまで現れて…希美いわく「ここは変態ホイホイか」。たしかに!(笑)

前半は、読んでいて不愉快。暮林は筋金入りのお人好しだけど、希美だって、沙耶の身勝手を黙って聞いてやるなんて、十分お人好し。放り出せばいいのにって思いつつ、重いページを繰っていくと、少しずつ真実が見えてきます。

小説でもドラマでも、ちゃんと事情を説明しないから混乱や軋轢が生じるのはよくあるパターン。事情がわかれば納得できるから、希美は沙耶を放り出せない。放り出しちゃいけない。こんな読み方するから不愉快なのです。(苦笑)

律子いわく「あたしには希美に残してあげられるものが、なーにもないんだなーって」。お金じゃなくて暖かな記憶とか。そう、いっしょに暮らした思い出や、親が生きてきた人生や考え方について、そんな話が子にとってはかけがえのないもの。今年の春、母を亡くしたわたしは、そう強く思うのです。

父を学生時代に亡くしたので、自分もいつ死ぬかわからない。生きているうちに自分の思いを息子たちに伝える(残す)必要を感じていました。彼らが幼い頃、3歳から9歳くらいまで、彼らの誕生日ごとに手紙を書いてた。抜けた歯や折り紙を入れたり、一種のタイムカプセルみたいな。小学校でいじめられることがあっても挫けないでほしい、まちがっても死んだりしないように逃げ道を作っておきたかった。

中学になったら渡そうと思ってたけど、無事高校まで卒業してくれたので、20歳になった息子たちにそれぞれ渡しました。長男は1年に1通ずつ読んでるみたい。「こんなの中学の時に渡されても理解できなかったよ」。内容は忘れたけれど、確かに子供相手に書いたものじゃなくて、一人の人間相手に書いたもんな。子供の成長は早い。細かいことなんてじきに忘れてしまうから、その時に書き残しておくことをお勧めします。

4巻になって「まよパン」の世界がしっかりできてきていることを感じます。現実世界とどんなにずれていても、そこなら読者も受け入れてもらえるという安心感が持てる。それが「東京バンドワゴン」同様、この小説の魅力になっているのでしょう。

いま一番お気に入りのケーキ屋さんは、京都一乗寺のパティスリー・タンドレス。美味しいパン屋さんもずっと探してます。息子がベビーカーに乗ってた頃、経堂駅前にあったトレンサンク(35)もおいしかったし(現在は沼津市へ移転したらしい。行ってみたい!)、倉敷の美観地区 mugi で買ったクロワッサンはバターたっぷりでずっしりと食べ応えがあっておいしかったけど、上には上があるはず。

三軒茶屋だったら、こんなパン屋さんがあってもおかしくない。そんなふうに思わせてくれる「まよパン」の続編を楽しみにしています。

お勧め度:★★★★☆

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2013年11月26日 (火)

フロム・ミー・トゥ・ユー 〜 東京バンドワゴン 8 (小路幸也)

フロム・ミー・トゥ・ユー (8) (東京バンドワゴン) 東京バンドワゴン第8巻。

7巻の「レディ・マドンナ」を読んでから1年以上経つので、登場人物の記憶が薄れてしまっていて、はじめのうちはピンと来なくて「こんなに退屈だったっけ?」。

それでも読み進めていくうちに、各登場人物の過去のエピソードがリアルに迫って来て楽しく読むことができました。
  1. 紺に交われば青くなる(堀田 紺)
  2. 散歩進んで意気上がる(堀田 すずみ)
  3. 忘れじの其の面影かな(木島 主水)
  4. 愛の花咲くこともある(脇坂 亜美)
  5. 縁もたけなわ味なもの(藤島 直也)
  6. 野良猫ロックンロール(鈴木 秋実)
  7. 会うは同居の始めかな(堀田 青)
  8. 研人とメリーの愛の歌(堀田 研人)
  9. 言わぬも花の娘ごころ(千葉 真奈美)
  10. 包丁いっぽん相身互い(甲 幸光)
  11. 忘れものはなんですか(堀田 サチ)

以上、11編の短篇集ですが、わたしは4章がいちばん気に入りました。

お勧め度:★★★★☆


2013年11月24日 (日)

『聖なる怠け者の冒険』にまつわる京都探訪+食べ歩き

                         
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前回、森見登美彦の『聖なる怠け者の冒険』に登場したスマート珈琲などを訪れたのですが、今回「八兵衛明神」に行ってきました。
      
      午前8時に長男の下宿を自転車2台で出発。まずは朝食をと、京都ではスマート珈琲よりも有名なイノダコーヒー本店を訪れると、店の外まで行列ができているので、近くの三条店(写真1)に入りました。珈琲はこっちのほうがおいしいけど、たまごのサンドイッチはスマート珈琲がおいしかった。注文してから出てくるまで待たされるのはどちらも同じくらい。
      
      新京極方面へ下り、ウロウロ走り回ってようやく柳小路(写真2)を発見。自転車ですれちがうのがむずかしいくらい狭い通りです。自転車から下りて押して南から北へ抜けたのですが「あれ、八兵衛明神はどこ?」。洒落たお店が並んでいて、反対側を見ているうちに通り過ぎてしまったようです。それくらい小さな明神さん(写真3)。
      
      柳小路を北に抜けると、なにやら甘い、おいしそうな香りが…。京都鶏卵堂(写真4)のベビーカステラです。11時の開店一番乗りするとオマケしてくれました。できたてのあったかいのはおいしかった。京都はおいしいものがたくさんあるので毎回「食べ歩き」がメインになっていたりします。
      
      カステラをつまみながら自転車で銀閣寺方面へ向かいます。お昼は「おめん」でいただく予定なのですが、まだお腹が空かないので、近くの法然院(写真5,6)へ。観光シーズンなので特別公開されていました。お寺の拝観料って安くないので、ひとりだとたぶんスルーしますが、息子と一緒なので「何事も経験」とばかり入場するのでした。
      
      法然院をあとにして「おめん」へ。つけ麺屋さんなのですが、場所がよいせいか混んでます。駐車場にタクシーが多いのは観光タクシーでしょうか。メニュー(写真7)を見て、温かいおめんを二人分注文。麺もつけだれも温かいのが出てきて、具は二人分が一皿に盛ってあります(写真8)。ごまをたっぶり入れて、おいしくいただきました。
      
      長男の誕生日が近いので、一乗寺の「パティスリー・タンドレス」に誕生日ケーキ(写真9)を密かに頼んでおきました。ここのケーキを初めて食べたとき、いろんな食感と味が広がってびっくり。それ以来、パウンドケーキの上にクリームとフルーツが載っているだけじゃ納得できなくなりました。
      
      午後3時に伺うと店の外まで行列が。「いつも昼過ぎには売り切れてしまうのに、こんな時間にまだ残っているのかな」と思いつつ店に入ると、案の定ガラスケースは空っぽで焼き菓子がすこし残っているだけ。そもそも土曜から月曜しか開店してないし、昼過ぎには来るようにしたほうがいいです。あるいは電話で注文しておくか。
      
      お店あてに「誕生日ケーキはお願いできますか」とメールしたら「一度お電話ください」とのこと。電話で、連絡先、引き取り日時を伝え、二人分をお願いしたら「そのときの仕入れによりますので、お任せでよろしいでしょうか。2,000円くらいだと思います」。なんと大雑把、いえ、おおらかなことでしょう。この店ならお任せでも安心ですし、そのほうが「どんなケーキを作ってくれるんだろう」と楽しみがあっていい。
      
      マンダリーヌ・ブリオッシュはお酒を染み込ませたパンとマンダリンの甘酸っぱさが最高においしかった。ショートケーキ3人分くらいの量があったので、たしかに2,000円といったところ。二人で分けてちょうどの量でした。
      
      夕食は、東大路通沿いのラーメン店「天天有」。そもそもマックスバリュで「銘店伝説 京都ラーメン 天天有」という半生麺を見て「東大路通り沿いのラーメン店だったら長男が行ったことあるはず」というわけで、袋麺よりも本物を食べに行くことにしたのです。今度は行列もなく入店。中華そば(中)を注文しました(写真10)。叉焼の代わりに卵を入れてくれたり、麺の種類を選べたりするようですが、初めてなのですべて「デフォルト」で。いわゆるふつうの醤油豚骨ラーメン。ふつうにおいしかった。これなら飽きないでしょう。
      
      いや、今回もよく食べました。(笑)

2013年11月22日 (金)

「珈琲店タレーランの事件簿」の現場検証

                         
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京都に出かけた折に、自転車で「珈琲店タレーラン」があるとされる「二条富小路」に出向いてみました。Google Mapのストリートビューでも見ることができるのですが、そこはやっぱり自分の目で見たかったのです。
      
      左の写真1が二条富小路から北を見た様子。そこを上ると左手には公園(写真2)がありました。ここは京都市中京区鍛冶屋町になるのでしょうか。それにしても「上ル」はどこまでで「下ル」との境はどこにあるのかな…なんて考えながら自転車でウロウロ。
      
      タレーランを探していたら珈琲が飲みたくなって、西にふた筋の堺町通を三条まで下り、イノダコーヒー本店に寄ってみたら行列ができていたので、すぐ近くの三条店へ。
      
      その後、森見登美彦の『聖なる怠け者の冒険』に登場した柳小路に向かったのですが、それはまた別のお話。(つづく)

2013年11月20日 (水)

珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る (岡崎琢磨)

                         
珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る (宝島社文庫)喫茶タレーランのバリスタである切間美星は謎解きが大好き。コリコリと珈琲豆を挽きながら思案する横顔がかわいい(はず)。
      
      今回は美星の妹・美空が東京からやって来て、大事件に巻き込まれます。当然、姉の美星とアオヤマも巻き込まれるわけで…。
      
      第1巻を通じて、美星とアオヤマくんは「友達以上、恋人未満」の関係になったようですが、微笑ましいというより、ピリピリとしたビミョーな雰囲気が漂います。
      
      珈琲はおいしそうなのですが、お話はわたしの好みには合わないようです。(残念)
      
      お勧め度:★★☆☆☆

2013年11月18日 (月)

[iPad mini] アクションゲーム BADLAND

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世間では人気の横スクロール型アクションゲームですが、わたしはピンと来ませんでした。それでも長男がプレイするのを見ていて、人気の理由がわかったような気がします。

『となりのトトロ』に出てきた「まっくろくろすけ」が空を飛んでいるみたいな生き物は、画面をタップすると上昇、離すと下降する。コントロールはただそれだけ。画面は右から左に流れていき、流れから取り残されるか、自身が消滅してしまうとゲームオーバー。いわば「死にゲー」です。

第一印象だけでなく全編これ「ひ、ひどい」の連続。まさしく "BADLAND" 。押しつぶされ、突き刺され、パンッと泡のように弾けて消える。途中、アイテムを拾うことで、大きくなったり、小さくなったり、分裂したり、硬くなったり、四角くなったりと変身するけれど、それでも死ぬときはじつにあっさり死ぬ。「よくこんな仕掛けをこれだけ考えついたものだ」と感心します。作者はサドですね。

こっぴどくやられてもやられてもリプレイするのは、何度でもやり直せるから。たいていは直前からやり直すことができるから挫けずに続けられるのでしょう。わたしには無理ですけど。長男は見る間に DAY 1をクリアしちゃいました。

アクションゲームが得意な方にお勧めします。



お勧め度:★★★☆☆

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2013年11月16日 (土)

彷徨える艦隊 3 巡航戦艦カレイジャス (ジョン・キャンベル)

彷徨える艦隊3 巡航戦艦カレイジャス (ハヤカワ文庫SF) 敵の裏をかきながら故郷を目指す、という基本的な流れは変わりません。変わっていくのは人間関係と新たな謎。ギアリー大佐も男。リオーネ副大統領とデシャーニ艦長とに慰められたり、叱咤激励されたりと翻弄され、忙しいことです。

それよりも気になるのが「ハイパーネット」を作ったのは異星人ではないかという仮説。ギアリーのなかでは異星人の存在は疑う余地がないものとなっていきます。それ以前にシンディックという敵のこともあまりわかっていないのが不思議。敵の思想や国情、経済状況などを探るのは戦争には不可欠。これでは「目隠しして家まで帰れ」と言われているようなもの。大佐も苦労します。

今回、2〜3巻と続けて読んだのですが、疲れるので1巻ずつにしたほうがよさそうです。

お勧め度:★★★☆☆

2013年11月14日 (木)

彷徨える艦隊 2 特務戦隊フュリアス (ジョン・キャンベル)

彷徨(さまよ)える艦隊〈2〉特務戦隊フュリアス (ハヤカワ文庫SF) 「彷徨える艦隊」シリーズ第2弾。1巻『旗艦ドーントレス』に引き続き、ギアリー大佐率いるアライアンス艦隊は、シンディックの裏をかいて星系を移動していき、シュトラー星系の捕虜収容所で味方を救出。その中に「伝説の英雄」と呼ばれるファルコ大佐をいたのですが…。

ファルコは自分が艦隊司令になりたかったのですが、ギアリーのほうが100年も前から先任士官だったので断念。その代わり、39隻を仲間に引き入れ艦隊を離脱してしまったのです。

さて、ファルコたちの運命は…!?

未来の宇宙戦争を描く小説なのですが、非常に人間臭い。泥臭い心理戦のほうがギアリーには辛い。読者としては、敵とどう戦って、双方にどれだけの被害が出たかということよりも「人間」を描いてくれたほうが面白い。

表舞台から消えた人物でも、なにかの伏線になるのかもしれませんし、ハイパーネットは異星人の技術ではないかという仮説も、今後の展開が気になります。艦隊が無事帰還できるのどうかだけでなく、100年間続いているシンディックとの戦争を終わらせることができるのか等、知りたいことが増えてきて、途中でやめることができなくなる仕掛けのようです。

お勧め度:★★★☆☆

2013年11月13日 (水)

彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス (ジョン・キャンベル)

彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス 主人公のギアリー大佐は、100年間、救命ポッドで宇宙を彷徨い、同胞に救出されたのは幸運だったのですが、そこは戦場でした。アライアンス艦隊は敵シンディック艦隊の攻撃を受けて満身創痍。このままでは全滅かというときに、艦隊司令官に任命されます。その使命は、艦隊を故郷まで連れ帰ること。

冒頭からグイグイ引き込まれてしまいます。英雄として畏敬の念をもって期待するクルーもいれば、露骨に反発する艦長もいる中で、運命に翻弄される男ギアリー。さて、彼はこの窮地を切り抜けることができるのでしょうか。

全滅したら話が終わってしまうので、切り抜けてはいくのですが、実際の作戦よりも艦隊を動かしている部下(人間)たちを掌握することに苦心します。SFではありますが、非常に人間臭い小説です。

次から次に危機に陥るものでハラハラ、ドキドキの連続。1冊読み終える頃には疲れ果ててしまいました。次巻以後、元気のあるときに読みたいと思います。

お勧め度:★★★★☆

2013年11月12日 (火)

2 (野崎まど)

2 (メディアワークス文庫) この本は、野崎まどの過去5冊の集大成だという噂を聞いて『小説家の作り方』『[映]アムリタ』『パーフェクトフレンド』『舞面真面とお面の女』を先に読みました。ただ『死なない生徒殺人事件』だけは未読。ここがその舞台だとわかる場面があったので、後日読んでみます。

野崎まどは一貫して「究極」を描こうとしています。小説、映画、友達などだったのが『2』では「究極の創作」として映画を製作します。その監督は○○に登場した彼女であり、資金提供は××で、シナリオは△△、主役として抜擢されるのが、井の頭芸術大学卒の数多一人(あまたかずひと)。いつも思うのですが、人を喰ったネーミングが多いですね。異質とはいえ、こだわり方には西尾維新に通じるものを感じます。

『[映]アムリタ』だけは先に読んでおいたほうがいいでしょう。他は、読んでおくとお楽しみが増えます。「え、そうだったの!?」というサプライズがあります。彼女のボケにツッコム様子はまるで…。

小説はフィクションですから、実際にはありえないことを起こすことができます。極端(強引)な展開も多々見られますが、そこはあえてスルーしましょう。作者は、物事を突き詰めて考えるのが好きなようで「小説も、絵画も、漫画も、彫刻も、音楽も、演劇も、映画も、全ての創作は、人の心を動かすためにある」と言い切っています。

『2』というタイトルの意味は? この映画はふたりの男女の恋愛ものだというのですが、製作の目的は? 一般公開する予定はないというのなら、誰に見せるつもりなのか、等々、謎を抱えたまま物語は進みます。

いやぁ、面白かった! 続編に期待します。

お勧め度:★★★★★

2013年11月10日 (日)

舞面真面とお面の女 (野崎まど)

舞面真面とお面の女 (メディアワークス文庫) 舞面真面(まいつらまとも)なんて名前、読めません。子供の頃はずいぶんからかわれたのではないでしょうか。彼の叔父が影面(かげとも)で、従姉妹が水面(みなも)、曾祖父が被面(かのも)って、みんな「面」を被っています。で、表紙絵の狐らしき動物の面を被った女子中学生は、みさき。とても中学生とは思えない大人びた、人を喰った話し方。

真面は、影面から相談があると呼び出され、叔父の家へやってきます。そこで数年ぶりに水面に会い、曾祖父の「遺言」について調べてほしいと頼まれます。その遺言とは、

箱を解き 石を解き 面を解け
よきものが待っている

そして渡されたのが金属製の箱、というか立方体。ルービックキューブくらいのサイズだけど、どこかが開くようには見えない。「石」というのは、水面いわく、子供の頃、よく遊んだ広場にあるおおきな石のことではないかとのこと。たしかに一辺が背丈ほどの石があるけれど、どこにも隙間も割れ目も見当たりません。困っていたところに、お面を被ったみさきが現れたわけです。箱や石とちがって、みさきは話ができます。彼女からなにか聞き出すことができれば…。

これもミステリーになるのでしょうか。ラストのインパクトという点では『[映]アムリタ』『小説家の作り方』『パーフェクトフレンド』のほうが強いかな。

お勧め度:★★★☆☆

2013年11月 8日 (金)

パーフェクトフレンド (野崎まど)

パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫 の 1-5) 『小説家の作り方』ならぬ「友達の作り方」、そして「友達とは何か」について、小学4年生の女の子が考えるお話です。クラス委員の理桜(りざくら)は同級生たちが子供に見えて仕方がないのだけれど、天才少女さなかには太刀打ちできません。ツッコミ対決では連戦連敗。悔しくて仕方がない。という漫才コンビ。

『[映]アムリタ』では天才女子高生が究極の映画を追究し、『小説家の作り方』では世界でいちばん面白い小説を追究。タイトルどおり、今作では完璧な(究極の)友達を追究するようです。野崎まどの本はこれで三冊目ですが「究極好き」「ツッコミ好き」「日常から非日常へのドンデン返し」という共通点があります。

友達とはなにか。なぜ友達が必要か。友達は作れるか。

大学卒業の学力をもつさなかは小学校に通う理由がなく確信的不登校だったのですが、彼女の母親が心配して籍を置いていたのを、理桜が担任教師に「様子を見てきてほしい」と頼まれて家庭訪問したところ「友達とはどういうものなのか」について興味をもって登校してきてしまったのです。そこから理桜の災難が始まります。

そして、3ヶ月間の観察の結果、さなかが先の問いに対して出した答えは…。

仲良し4人組のそれぞれが個性的で、愉快なお話に仕上がってて、大変たのしく読ませていただきました。

お勧め度:★★★★☆

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2013年11月 6日 (水)

[映]アムリタ (野崎まど)

[映]アムリタ (メディアワークス文庫 の 1-1) これはメディアワークス文庫の「野崎まど」第1作なのですが、わたしは『小説家の作り方』を先に読みました。以下、発表順です。
  1. [映]アムリタ
  2. 舞面真面とお面の女
  3. 死なない生徒殺人事件
  4. 小説家の作り方
  5. パーフェクトフレンド

『小説家の作り方』では「この世でいちばん面白い小説を書く」ことがテーマでしたが、本作では「究極の映画」がテーマになっています。究極を突き抜けたところになにが見えてくるのか、それは読んでのお楽しみ!

舞台は井の頭公園近くの芸術大学。天才と噂される女学生・最原最早が撮る映画に出演することになった二見遭一はツッコミ担当…じゃなくて、途中で死んでしまうのかとハラハラしましたが、さらに捻りが加えられ…。

最原「多分フェムトよりもうちょっと小さいサイズ。具体的には十のマイナス十八乗くらいの大きさだと推測できるものですね」
二見「アトらしいものだな!」

ナノ、ピコの先の単位だから、ふつう使わないでしょ。ボケる天才最原に必死でツッコむ二見という構図がラノベしてますが、ボケ方が斜め上行ってるので、ツッコむほうも大変。

前述の他作品もひと通り読んでみたいと思います。

お勧め度:★★★☆☆

2013年11月 4日 (月)

小説家の作り方 (野崎まど)

小説家の作り方 (メディアワークス文庫) 塾講師と兼業している駆け出し作家・物実あてに、女性からファンレターが届きます。そこには「小説の書き方を教えていただきたい」とあって…。

彼女の目的は「この世でいちばん面白い小説を書く」こと。

美人の紫さん相手に、週一回、下北沢の喫茶店で「小説教室」を開くことになり、12月まで続けたところで、在原露(自称 Answer answer)が現れ、とんでもないことを告げます。

途中まで「紫さんは一体どんな小説を書くんだろう」と興味津々だったのですが、いきなりドンデン返し。でも、紫さんの書いた小説は「恥ずかしい」ということでお蔵入り。なぁんだ、つまんないの。

この本は小説指南書ではありません。あくまで「小説家を作る」小説(フィクション)です。どんでん返しの末、オチはついているのですが、不完全燃焼気味ですっきりしません。

お勧め度:★★★☆☆

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2013年11月 2日 (土)

スペシャリストの誇り 〜 クラッシュ・ブレイズ 2 (茅田 砂胡)

クラッシュ・ブレイズ スペシャリストの誇り (C・NOVELSファンタジア) 2巻目になっても、このシリーズが新作だとは思えません。外伝の短編集です。気楽にお読みください。
  1. ファロットの美意識
  2. ジンジャーの復讐
  3. 深紅の魔女

1.浮浪者が無惨に切り刻まれた状態で発見され、レティシアが連続殺人犯ではないかと疑われます。リィやシェラ、ヴァンツァーたちは「そんなはずはない」と一笑に付しますが…そもそも暗殺者としての矜持を語られても困ります。なにか間違ってませんか?
また、常識を逸脱した連中 Vs. 石頭の大人、監察医ヘッケルとダン。ダンは頑固で融通が効かないだけですが、ヘッケルさんは頭が悪い。レティシアが犯人だという結論ありきで、すべては推測。聞く(読む)に耐えません。
2.ジンジャーを敵に回すとえらくやっかいだ(面倒くさい)ということはよくわかりました。 が、面白くありません。
3. あとがきによると作者は「スペシャリスト」ではなく「職人」という言葉を使いたかったようです。この人の操縦はたしかに職人芸でしょう。本書のなかでは3章だけ面白かった。

「クラッシュ・ブレイズ」も読破するつもりでしたが、息切れしてきたので休憩させてもらいます。

お勧め度:★★☆☆☆

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