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2013年11月28日 (木)

真夜中のパン屋さん 午前3時の眠り姫 (大沼紀子)

真夜中のパン屋さん 午前3時の眠り姫 (ポプラ文庫 日本文学) 「真夜中のパン屋さん」第4弾。「沈まぬ太陽」の最終巻で、陰鬱さに堪えられなくなって「もっと気軽に楽しく読める本がいい」と買ったのに、それなのに何だこりゃあ!? いえ、大沼紀子さんには非はありません。わたしの我儘です。

冒頭から店主の暮林がなぜか家出、じゃなくて「夏休み」のため不在。目的は伏せてあるけど、何をしているか、わかるような気がする。そして、元ヤンキーの金髪、眉なしの従姉妹・沙耶が突然「律子おばさんに会わせてほしい」と押しかけてくる。希美の母・律子は行方不明だと言ったら「元カレに追われてるから、ここにかくまって。一緒におばさんをさがしてほしい」って、昔、希美に散々辛く当たっておいて、それは虫が良すぎるでしょう。そこにソフィアのストーカーまで現れて…希美いわく「ここは変態ホイホイか」。たしかに!(笑)

前半は、読んでいて不愉快。暮林は筋金入りのお人好しだけど、希美だって、沙耶の身勝手を黙って聞いてやるなんて、十分お人好し。放り出せばいいのにって思いつつ、重いページを繰っていくと、少しずつ真実が見えてきます。

小説でもドラマでも、ちゃんと事情を説明しないから混乱や軋轢が生じるのはよくあるパターン。事情がわかれば納得できるから、希美は沙耶を放り出せない。放り出しちゃいけない。こんな読み方するから不愉快なのです。(苦笑)

律子いわく「あたしには希美に残してあげられるものが、なーにもないんだなーって」。お金じゃなくて暖かな記憶とか。そう、いっしょに暮らした思い出や、親が生きてきた人生や考え方について、そんな話が子にとってはかけがえのないもの。今年の春、母を亡くしたわたしは、そう強く思うのです。

父を学生時代に亡くしたので、自分もいつ死ぬかわからない。生きているうちに自分の思いを息子たちに伝える(残す)必要を感じていました。彼らが幼い頃、3歳から9歳くらいまで、彼らの誕生日ごとに手紙を書いてた。抜けた歯や折り紙を入れたり、一種のタイムカプセルみたいな。小学校でいじめられることがあっても挫けないでほしい、まちがっても死んだりしないように逃げ道を作っておきたかった。

中学になったら渡そうと思ってたけど、無事高校まで卒業してくれたので、20歳になった息子たちにそれぞれ渡しました。長男は1年に1通ずつ読んでるみたい。「こんなの中学の時に渡されても理解できなかったよ」。内容は忘れたけれど、確かに子供相手に書いたものじゃなくて、一人の人間相手に書いたもんな。子供の成長は早い。細かいことなんてじきに忘れてしまうから、その時に書き残しておくことをお勧めします。

4巻になって「まよパン」の世界がしっかりできてきていることを感じます。現実世界とどんなにずれていても、そこなら読者も受け入れてもらえるという安心感が持てる。それが「東京バンドワゴン」同様、この小説の魅力になっているのでしょう。

いま一番お気に入りのケーキ屋さんは、京都一乗寺のパティスリー・タンドレス。美味しいパン屋さんもずっと探してます。息子がベビーカーに乗ってた頃、経堂駅前にあったトレンサンク(35)もおいしかったし(現在は沼津市へ移転したらしい。行ってみたい!)、倉敷の美観地区 mugi で買ったクロワッサンはバターたっぷりでずっしりと食べ応えがあっておいしかったけど、上には上があるはず。

三軒茶屋だったら、こんなパン屋さんがあってもおかしくない。そんなふうに思わせてくれる「まよパン」の続編を楽しみにしています。

お勧め度:★★★★☆
TVドラマを見てしまうと、弘基もソフィアも、アノ顔が浮かんできてしまう。小説を読む上では、イメージが固定されてしまって困る。それでも「まよパン」ドラマは面白かった。イケナイのが「東京バンドワゴン」。小説のイメージとのギャップは付き物ですが、ちょっと大きすぎました。(残念)

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