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2013年10月 3日 (木)

歌うクジラ (下)(村上龍)

歌うクジラ 下 『歌うクジラ』を読み始めて、近未来の管理社会を描いた小説という意味では、あさのあつこの『レベル6』とジョージ・オーウェルの『1984』を思い出しました。また、為政者の思惑による文化の破壊という意味では「文化大革命」を連想するのです。 しかし、この『歌うクジラ』の世界はいずれとも異質です。

さて、タナカアキラの旅は、最高権力者による「実験」らしいことがわかってきます。目次をみると、最後は宇宙にまで行くようです。
  1. 水路
  2. 隔離施設 その1
  3. 隔離施設 その2
  4. 隔離施設 その3
  5. 理想村
  6. 安息の洞窟
  7. 廃墟
  8. 地球港19号岸壁
  9. 宇宙へ
  10. 第三レジデンス
  11. 入場審査室
  12. BD最左翼35号棟
  13. 35号棟F その1
  14. 35号棟F その2
  15. 35号棟F その3
  16. 35号棟F その4
  17. Eポッド

極端な少子高齢化と労働力不足から積極的に移民を受け入れてきた後の世界を描いているわけですから、これは100年後の日本の姿かもしれないのです。

「二度の内乱とその鎮圧のあとで、理想社会の第一歩である棲み分けが進みつつあって、社会は、最上層、上層、中間層、下層に区分けされはじめていた。個人情報の集約的管理、警備ロボットの性能の飛躍的向上による治安維持コストの低下、メディアの管理、情報および交通遮断システムの完成によって、社会は分断 されていったが、その過程で、性的な倒錯と犯罪が無視できない規模で増加した」

それにしても「クジラ」の話が出て来ない。なぜクジラなのか。SW遺伝子とは実際なんなのか。詳しく語られることなく終わってしまうのでしょうか。

「生きる上で意味を持つのは、他人との出会いだけだ。そして、移動しなければ出会いはない。移動が、すべてを生み出すのだ」

そうなのかも、と思わせてくれる至言でした。

お勧め度:★★★★☆


『歌うクジラ』を貸してくれた次男は、上巻しか読んでないとか。たしかに読破するのはパワーが要ります。ただ、本当にしんどいのは上巻。下巻はパターンが見えてくるので慣れてきます、たぶん。

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