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2013年9月 6日 (金)

珈琲店タレーランの事件簿〜また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (岡崎琢磨)

珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) 大学2年の次男に「タレーラン持ってる?」「ビブリオ古書堂に似てるから読んでない」。たしかに鎌倉の古書店が、京都の喫茶店に変わって、美人店主と冴えない主人公が経験する、ちょっとした謎解きゴッコ、という点は似ています。
  1. 事件は二度目の来店で
  2. ビタースウィート・ブラック
  3. 乳白色にハートを秘める
  4. 盤上チェイス
  5. past, present, f*****?
  6. Animals in the closed room
  7. また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を

たしかに「ビブリオ古書堂の事件手帖」を期待しないほうがいい。ツッコミどころ満載です。「何や、ナンパされたいうことがわかっていちびってんのけ」「いちびってなんかない!」って、なんか変。大阪育ちの私には意味がわかりません。でも本文では「いちびる=調子に乗る」と解説があある。つまり「ナンパされたとわかって調子に乗ってるのか」「調子に乗ってなんかない!」。「いちびる」とは、大阪では「調子に乗る」というか「ぶざける」、時には他人を「からかう」といった意味を含みます。「いちびり」は辞書では「お調子者」になるのでしょうが「悪ふざけが過ぎる奴」という、行き過ぎたお調子者を指します。だから、自分だけで調子に乗るのは「いちびる」とは言わないはず、なのですが、本当のところはわかりません。作者は福岡県出身で京大法学部卒業だから、京都で生活していたわけですが、わたしには違和感があります。

そもそも第1章の冒頭で「交際中の恋人と、逢瀬の約束を交わしたのは前日の夜のこと」。のっけから「逢瀬」なんて文芸作品みたいな言葉が出てきて嫌な予感がしたのです。「あえて釈明をしなかったのは、出会いの高揚が効用に変じた結果かもしれない」。言葉遊びが好きなのか、珈琲豆を食べた猿の糞から未消化の豆を取り出した猿珈琲を「飲んでみたい」というバリスタ美星に対して「そんな彼女には、糞度胸という言葉を贈りたい」。こういう文章を書く人を「いちびり」といいます。

ただ、ふたつ良い点があります。ひとつは京都が舞台であること、もうひとつは珈琲に関するウンチクが豊富なこと。願わくば、美星の淹れる珈琲の味をもっとくわしく伝えてほしい。大学4年の長男が20歳を過ぎてようやく珈琲が飲めるようになったので、京都でおいしい珈琲を探しているところなのです。わたしはコクと苦み、香りのある珈琲が好き。自分で豆を買って来て淹れるのも好きだけど、雰囲気のある喫茶店で飲む一杯はまた違います。

今度、京都へ行ったら「盤上チェイス」を読みながら、二条富小路あたりを散策してみようと思います。

お勧め度:★★★☆☆


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