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2013年8月25日 (日)

丕緒の鳥 〜 十二国記 (小野 不由美)

丕緒の鳥 十二国記 (新潮文庫) 「絶望」から「希望」を信じた男がいた。慶国に新王が登極した。即位の礼で行われる「たいしや大射」とは、鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。陶工である丕 緒(ひしょ)は、国の理想を表す任の重さに苦慮する。希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうか──表題作「丕緒の鳥」ほか、己の役割を全 うすべく、走り煩悶する、名も無き男たちの清廉なる生き様を描く短編4編を収録。

「十二国記」の最新刊は外伝です。本編が王と麒麟など、国を治める人たちが主役なのに対して、本書は下々の官僚や民たちの物語です。
  1. 丕緒の鳥
  2. 落照の獄
  3. 青条の蘭
  4. 風信

「丕緒の鳥」は、陽子が王となった慶の国で、祭礼のひとつ「射儀」を司る役人が丕緒。いわば、クレー射撃の凝ったもの。鳥を模した陶器を打ち上げ、それを矢で射て割ると音が鳴ったり、香りが漂ったり、中から別の鳥が出て来たり、宮廷版花火大会みたいなイメージでしょうか。丕緒は「鳥を射落とすのは良くない」と思い悩みます。射儀を通じて、なんとかして王に自分の思いを伝えたいと願うのですが…。

「落照の獄」は、凶悪殺人犯を裁く官僚(検察官)の悩みを描きます。遺族はもちろん社会は「死刑」を要求するけれど、以前、王が死刑を禁じた経緯があります。安易に死刑を復活させれば、傾いた国では死刑が乱用される恐れがある。くどいくらい悩み抜く様子は、現代日本の法曹界にも通じるでしょう。要するに、犯人に更正の可能性があるなら死刑を避けることもできるのですが…。

「青条の蘭」は、山と森を守る役人が山毛欅(ブナ)が病害で倒れていくことに危機感を感じて奔走する物語。やっとのことで薬になる草の苗を手に入れ、それを王に卵果として国中に広めてもらおうと、雪のなか、決死の覚悟で王都へ奔る主人公。苗が枯れる前にたどり着けるのか!?

「風信」は、女は国を出よという無茶な命令を出した王。それを軽く考えていた蓮花は家族を殺されてしまいます。そして、身を寄せたところは暦を作る役人の住まい。そこに手伝いとして置いてもらいながらも疑問がつきまといます。暦なんて作って一体何の役に立つの?

第一印象は、懐かしい!

久しぶりに十二国記に帰ってきた気がします。そして、王や麒麟ではなく、多くの民や役人がいて、悪人もいれば腐った役人も多いものの、心ある人々もいる。そんなリアリティが加わりました。

「十二国記」ファンの方は是非読んでください。また、本編を読んだことがない方は、この機会に「十二国記」シリーズを読んでごらんになることをお勧めします。

お勧め度:★★★★☆

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