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2013年7月29日 (月)

親鸞・上 (五木寛之)

親鸞(上) (講談社文庫) 五木寛之は、学生時代に『青春の門』を読んだだけ。「ちょっと退屈かも」と思いつつ『親鸞』を読み始めたところ、これが面白いのです。うれしい誤算!

冒頭、法勝寺の巨大な八角九重塔に違和感を覚えた主人公が「比叡のお山のほうが、ずっと立派だ」という下りに共感を覚えて、本書を手に取った次第。わたしも、覚王山日泰寺の五重塔はよいのですが、北にある古い給水塔は不気味だし、巨大な風力発電機も怖くてそばに近寄れません。

伯父の屋敷に弟二人と世話になっている、日野忠範(9歳)が主人公。12世紀の京の都は荒廃し、鴨川の河原には死体が捨てられ異臭が漂っています。ある日、闘牛を見物に出かけた忠範は、河原坊浄寛、ツブテの弥七、法螺坊弁才に出会い、仲良くなってしまいます。中流貴族でありながら、下々の民たちと共にいるのが楽しい様子が伝わってきて微笑ましい。こういう型破りなところがいい!

不思議な縁で、周囲の助けを得ながら、忠範は比叡山で僧としての修行に励むことに。19歳になっても忠範あらため範宴(はんねん)は、自身が信じられる仏に出会うことができず、悩んだ挙句、聖徳太子が建立した六角堂に百日参籠し、お告げを得るのです。

比叡山は女人禁制だといいますが、古今東西、悩み苦しみ「悟り」を求めるのは男ばかり。女性はたくましい、というべきか。

お勧め度:★★★★★

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