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2013年7月 6日 (土)

魔法使いの弟子たち (井上 夢人)

魔法使いの弟子たち 山梨県内で発生した竜能炎ウィルスに感染した患者のほとんどが死亡したものの、3名だけが意識を取り戻し、とんでもない能力を身につけてしまっていたのです。

不可解と非常識が楽しめる本です。

もし、ある日突然、超能力を獲得してしまったら…というおとぎ話、なんだけど、そこにできる限りのリアリティを与えてみたら、面白い本ができました。

生き残ったのは4人。週刊誌のフリーライター・仲屋京介、女優志望の落合めぐみ、93歳の入院患者・興津繁、昏睡状態なのが、めぐみの彼氏であり研究員の木幡耕三。

京介、めぐみ、興津の3人がいれば、国家転覆でも市場経済壊滅でも暗殺でも大儲けでも自由自在。各国政府を含めて、悪い連中が放っておくはずがない。アメリカだったら、即FBIに拘束されて、CIAに送られ、スパイとして働くか、実験動物にされるか、二者択一を迫られるのでは? ツッコミどころ満載なんだけど、裏社会のサスペンスドラマではなく、わかりやすく、テレビ出演という表社会を舞台に選んだのでしょう。

しかし、この3人が「弟子たち」なら「魔法使い」は誰で、目的はなに? 何のために竜脳炎ウイルスを作って撒いたのか。目覚めない木幡も怪しい。途中「黒幕はハリーポッターだったか」と思ったけど(笑)さすがにそれはないみたい。

ここで読了。以下が読後感です。

文庫で上下巻合わせれば、約700ページの長編小説。3人が目覚めて、なにかがおかしいことに気づいて、自身の能力に目覚めていく過程が最高に面白かった。鉛筆に結び目を作ってしまうなんて、想像しただけで愉快。

また、超能力を取り締まる法律がないため、警察が迷走を繰り返すのも興味深い。自分たちの常識や経験から外れた事象にはまったく無力な集団として描かれています。現実に「パソコン遠隔操作事件」ではあっさり騙されたことは記憶に新しい。

ラストも含めて、後半は話が重くなっていくので、わたしは前半のほうが好きです。読み終えたところで、ひとつ質問。

「あなたが京介、あるいはめぐみだったら、どちらの未来を選びますか?」

お勧め度:★★★★☆

現在は文庫本、上下2巻で刊行されています。

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