« 伏(ふせ) 贋作・里見八犬伝 (桜庭 一樹) | トップページ | 困ります、ファインマンさん (R.P. ファインマン) »

2013年6月 5日 (水)

さよならドビュッシー (中山 七里)





裕福な家庭に生まれ、ピアニストを目指す香月遥(16歳)は、祖父と従姉妹と共に火事に巻き込まれて、全身大火傷を負いながらもひとり生き残ったのです。皮膚移植手術は成功したものの、歩くことはおろか、指も動かない。ピアニストになる夢は潰えたかと思われたのですが、そこへ新進気鋭のピアニスト岬洋介が現れ、彼女のピアノ教師になることを申し出たのです。

医師も驚くほどリハビリは順調で、これならコンクール出場も夢じゃないと猛レッスンに明け暮れる遥の身辺で不審な事故が続き、果ては身内に3人目の犠牲者が…。

ミステリーには詳しくありませんが、これは本格ミステリーというより、ミステリー仕立ての音楽小説。ある日突然身障者になってしまったことに対する戸惑いと苦悩、悟りといったメンタルな部分がしっかり描かれているのはピアノについても同様です。

「音楽で映像を見せたい」と願い、ドビュッシーの「月の光」を課題曲に選んだ遥。ドビュッシーが好きなのにどうして「さよならドビュッシー」なのかと考えながら読んでいたのですが、最後までわかりませんでした。あんなどんでん返しが待っていたなんてビックリです。

この小説は名古屋が舞台です。しかし、庄内川にかかる万場大橋と、遥の自宅がある「広小路通の本山」を過ぎたあたりは、東西にかなり離れています。岩塚から本山まで地下鉄東山線に乗ったのでしょう。でも、本山付近に荒薙神社というのは見当たりません。映画でも名古屋ロケが行われたそうですから、近いうちにDVDを観てみたいし『おやすみラフマニノフ』も読んでみたいと思います。

また『さよならドビュッシー』が気に入った方には『ドラフィル! 竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄』 (美奈川 護)もお勧めします。3巻シリーズです。

お勧め度:★★★★☆

「中山七里」というペンネームは、故郷の近く、岐阜県下呂市にある渓谷名から取ったそうです。

« 伏(ふせ) 贋作・里見八犬伝 (桜庭 一樹) | トップページ | 困ります、ファインマンさん (R.P. ファインマン) »

現代小説」カテゴリの記事

2018年12月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ