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2013年6月29日 (土)

おやすみラフマニノフ (中山 七里)

おやすみラフマニノフ (宝島社文庫) 『さよならドビュッシー』に続く「音楽ミステリー」第2弾。(第3弾は『いつまでもショパン』)

名古屋の音大生・城戸 晶は授業料滞納で窮地に立たされているところに、秋の定期演奏会のオーケストラメンバーはオーディションで選ぶとの発表。「それだ!」。バイオリン専攻の晶は、なんとしてでもコンマス(コンサートマスター)になるべく猛練習を開始。コンマスに選ばれれば準特待生扱いとなり、滞納分授業料も免除されるからです。前作にも登場した新進ピアニスト・岬 洋介が講師としてアドバイス。弁護士の道を蹴ってピアニストになっただけあって頭は切れます。

見事コンマスに選ばれるところまでは緊張感があってよかったのですが、その後、大学の楽器保管庫から時価2億円のストラディバリウスのチェロが盗まれ、理事長専用のピアノも悪質な悪戯のせいで使えなくなってしまうのです。おまけに演奏会の指揮者(教師)が意地悪で非協力的。暗くドロドロして嫌な雰囲気が続きます。さらに「音大を出たって音楽関係の仕事に就けるのはほんの一握り」が通奏低音のように響いていて憂鬱にさせてくれます。

閑話休題。晶がストラディバリウス(バイオリン)を弾く様子を読んで思い出したことがあります。アコギも安いものは弦が音を出すだけですが、良いギターはボディが鳴るんです。大きな音というより豊かな音が出ます。ただ、高価なギターが良いギターかというとそうとは限りません。ただ、良いギターを買っておくと、自分の子供に手渡すことができます。楽器は大事にすれば長持ちするというお話でした。

さて、前作同様、こちらも最後にどんでん返しが待ってます。前作のそれは非常にストレートだったけれど、今度はまどろっこしい。ただ、タイトル(書名)の意味が明らかになるラストは秀逸でした。

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、第2楽章を聴いて「あ、All by myselfだ」。エリック・カルメンが1975年にヒットさせた歌は、ラフマニノフのカバーだったんですね。

お勧め度:★★★★☆

図書館で初版本を借りて読んだら、23ページに「このまま放っておけば朝日が差し込むまでチェロを引き続けるに違いない」。あら探しみたいで恐縮ですが、そこは「弾き続ける」でしょう。些細な誤字でも気になるんです。がっかりします。文学作品なら「なにか意図があるのかな」と考えたりもしますが、このシリーズにそれはありません。基本的に面白い小説なのですが、時々引っかかる記述や表現があって、のめり込めないのです。惜しいです。

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