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2013年6月

2013年6月29日 (土)

おやすみラフマニノフ (中山 七里)

おやすみラフマニノフ (宝島社文庫) 『さよならドビュッシー』に続く「音楽ミステリー」第2弾。(第3弾は『いつまでもショパン』)

名古屋の音大生・城戸 晶は授業料滞納で窮地に立たされているところに、秋の定期演奏会のオーケストラメンバーはオーディションで選ぶとの発表。「それだ!」。バイオリン専攻の晶は、なんとしてでもコンマス(コンサートマスター)になるべく猛練習を開始。コンマスに選ばれれば準特待生扱いとなり、滞納分授業料も免除されるからです。前作にも登場した新進ピアニスト・岬 洋介が講師としてアドバイス。弁護士の道を蹴ってピアニストになっただけあって頭は切れます。

見事コンマスに選ばれるところまでは緊張感があってよかったのですが、その後、大学の楽器保管庫から時価2億円のストラディバリウスのチェロが盗まれ、理事長専用のピアノも悪質な悪戯のせいで使えなくなってしまうのです。おまけに演奏会の指揮者(教師)が意地悪で非協力的。暗くドロドロして嫌な雰囲気が続きます。さらに「音大を出たって音楽関係の仕事に就けるのはほんの一握り」が通奏低音のように響いていて憂鬱にさせてくれます。

閑話休題。晶がストラディバリウス(バイオリン)を弾く様子を読んで思い出したことがあります。アコギも安いものは弦が音を出すだけですが、良いギターはボディが鳴るんです。大きな音というより豊かな音が出ます。ただ、高価なギターが良いギターかというとそうとは限りません。ただ、良いギターを買っておくと、自分の子供に手渡すことができます。楽器は大事にすれば長持ちするというお話でした。

さて、前作同様、こちらも最後にどんでん返しが待ってます。前作のそれは非常にストレートだったけれど、今度はまどろっこしい。ただ、タイトル(書名)の意味が明らかになるラストは秀逸でした。

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、第2楽章を聴いて「あ、All by myselfだ」。エリック・カルメンが1975年にヒットさせた歌は、ラフマニノフのカバーだったんですね。

お勧め度:★★★★☆

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2013年6月27日 (木)

聖なる怠け者の冒険 (森見登美彦)

聖なる怠け者の冒険 久しぶりの森見登美彦です。宵山の京都に現れた怪人「ぽんぽこ仮面」と天下無敵の怠け者・小和田くん、その他諸々の人々が走り回ったり、ごろごろしていたりする、とっても愉快でファンタジックな物語です。

これは宵山の土曜日、たった一日のお話であり、週末を「有意義に」過ごそうとする面々のお話です。雰囲気としては『有頂天家族』と『宵山万華鏡』を足して2で割ったような感じ、かな。(玉川智子嬢がかわいい!)

対象者:京都が好きな人、森見登美彦(の作品が)が好きな人、とぼけた文体が好きな人。

効 能:人を喰ったとぼけっぷりにますます磨きがかかり、読者は脱力、リラックスできます。凝り固まった心に貼るサロンパス。

おかげで、まじめにレビューする気が失せ、京都「怠け者」ガイドブックとして紹介することを思いついてしまいました。

北白川ラジウム温泉
今出川通から琵琶湖へ抜ける「山中越え」の途中。出町柳からタクシーなら10分ほどで1,500円前後だが、送迎バスもあるらしい。
温泉だけで1,450円、京懐石付きの日帰りプランが8,100円(平日)。束の間の贅沢。

イノダ珈琲
言わずと知れた京都の珈琲店。

スマート珈琲
河原町御池の南西、京都市役所の南あたり
コーヒー 450円、タマゴサンドウィッチ 650円

八兵衛明神(柳小路通)
怪人「ぽんぽこ仮面」の拠り所
六兵衛、七兵衛もいる。八兵衛は末っ子?

京都タワー
地下3階に大浴場が!(大人750円)
たしかに理容店もある。知らんかった…

八坂神社
祇園祭といえば八坂さんです。普段は観光客が多いので避けてます。

▼ 喫茶 茂庵(吉田山)
ランチのために山登り? 怠け者にはムリ。

レストラン菊水
祇園四条駅の真上に建つレトロなレストラン。屋上のビアガーデンが有名。

京都の通り名の歌(抜粋)
方向音痴の週末探偵・玉川嬢が道案内してもらう際に聞いたのが「通り名の歌」

まる たけ えびす に おし おいけ
(丸太町通、竹屋町通、夷川通、二条通、押小路通、御池通)
あね さん ろっかく たこ にしき
(姉小路通、三条通、六角通、蛸薬師通、錦小路通)

以上、怠け者聖地巡りガイドでした。(笑)

お勧め度:★★★★★

2013年6月26日 (水)

神秘の島 第3部 (ジュール ヴェルヌ)

「船が来る! まだマストしか見えないけれど、すこしずつ近づいてくるぞ。」

2年以上リンカーン島に閉じ込められていた人たちは期待して当然でしょう。ただし、リーダー格のサイラスは慎重でした。救助船ではなく海賊船かもしれないというのです。そして、現れたのは…。

住居や食料には困らなくなったものの、おおきな怪我や病気をしたらどうなるのだろうと心配でした。ハーバートが大怪我をしてしまい、生死の狭間を彷徨う彼の命を救ったのもまた例の「影の人」だったのです。

島に漂着して3年が経ち、ようやく探し続けていた人物と会うことができます。サイラスにはそれが誰なのかわかっていたようです。そう、年老いたネモ船長です。

『神秘の島』が原作の iPad用のアドベンチャーゲーム "Jules Verne's Return to Mysterious Island - Deluxe Edition"では、Granite Houseにあった遺体を葬ったのですが、変だと思ったのです。ネモ船長を葬るなら砂浜ではなく海底でしょうから。

最後は大団円。読み応えのある冒険譚でした。

お勧め度:★★★★☆

Jules Verne's Return to Mysterious Island - Deluxe Edition App
カテゴリ: ゲーム(英語版)
価格: ¥250

MacOS版もあります。
Jules Verne's Return to Mysterious Island - Director's Cut App
カテゴリ: ゲーム(英語版)
価格: ¥900

2013年6月25日 (火)

神秘の島 第2部 (ジュール ヴェルヌ)

小さな島にも多くの鳥や動物がいますし、作物も育っています。洞窟を改造した Granite House にも蓄えが増えて、徐々に快適に暮らせるようになってきました。そして、すこし離れたタボル島へ渡るための船を作ることになり、ペンクロフは大張り切り。サイラスは船の設計には協力したものの、タボル島へ向かう危険を犯すことには「意味がない」と反対。試験航行中、ハーバートが波間に漂う瓶を発見。その中には「漂流者1名」と緯度、経度が記されてあったのです。

こうなってはサイラスも反対はできません。翌日ペンクロフ、スピレット、ハーバートはタボル島へ向けて出航。現地で、獣と見紛うばかりの男を見つけて連れ帰ってきたのですが…。

『神秘の島』が原作の iPad用のアドベンチャーゲーム "Jules Verne's Return to Mysterious Island - Deluxe Edition"で、高台に建つ風車は小麦を挽くために作られたものでした。風車のそばにある竈でパンを焼いたのでしょう。

5人が漂着したとき、気球が墜落しないようにあらゆる物を投げ捨てたはずなのに、銃や様々な道具が残っていることを不思議に思っていたのですが、難破船から流れ着いたと思われる道具箱を手に入れていたのです。

第2部の終わりの時点で、漂着して2年。時々不思議な、理由の説明できないことが起きることをサイラスは覚えておくようにしていました。いつか謎が解けると信じて…。

ほんとうに次から次へといろんなことが起きるので退屈しません。

お勧め度:★★★★☆

Jules Verne's Return to Mysterious Island - Deluxe Edition App
カテゴリ: ゲーム(英語版)
価格: ¥250

MacOS版もあります。
Jules Verne's Return to Mysterious Island - Director's Cut App
カテゴリ: ゲーム(英語版)
価格: ¥900

2013年6月24日 (月)

神秘の島 第1部 (ジュール ヴェルヌ)

じつはiPad用のアドベンチャーゲーム "Jules Verne's Return to Mysterious Island - Deluxe Edition"をプレイしていて、原作を読んでみたくなったのです。そのゲームは、かつてサイラスたちが上陸したリンカーン島に漂着した女性ミーナが猿のジェップと島を脱出することを目的したサバイバル・アドベンチャー。サイラスたちが生活した痕跡を辿る冒険が楽しめます。このゲームはそもそもPC版だということですからiPadがなくてもプレイできるはず。ただし、いずれも英語版です。

この物語の登場人物たちは南北戦争の捕虜になっていて、南軍の拠点リッチモンドから気球で逃亡を図ったらハリケーンで南太平洋の孤島まで飛ばされてしまったのです。途中、海に墜落しそうになって積み荷をすべて捨ててしまったので、あとで非常に苦労するわけです。

メンバーは、技師サイラス・スミスと召使いナブに愛犬トップ、新聞記者ジュデオン・スピレット、水夫ペンクロフ、ハーバート・ブラウン少年。男4人と少年1人。付き合いが長いわけでもないのに、みんな、サイラスに対する尊敬の念が強いことに驚くのを通り越して戸惑います。たしかに、彼がリーダーシップを取り、的確な判断を下すことで、物事は進んでいきます。

火を熾すにしても、木と木を擦り合わせる方法は徒労に終わる可能性が高いと、懐中時計のレンズを2枚、間に水を挟んで泥で固めて、太陽光を集めたり、六分儀なしで緯度を割り出したりと大活躍。しかし、時計のレンズを工具なしで外せるのかな。と、時々突っ込みたくなることもありますが、そこはあえてスルーしましょう。

第1部は、自分たちの住居として洞窟を見つけてグラニットハウス(花崗岩の宮殿)と名付けたところまで。他者の侵入を防ぐことができるように高所を出入り口にするなど「自分だったら思いつかないだろうな」。読んでいて感心することばかり。なにより5人のなかで諍いが起きないことが素晴らしい(incredible)。「児童書だから」といえばそれまでだけど、面白いものは誰が読んでも面白いのです。

お勧め度:★★★★☆

Jules Verne's Return to Mysterious Island - Deluxe Edition App
カテゴリ: ゲーム(英語版)
価格: ¥250

MacOS版もあります。
Jules Verne's Return to Mysterious Island - Director's Cut App
カテゴリ: ゲーム(英語版)
価格: ¥900

2013年6月22日 (土)

[iPad mini] Jules Verne's Return to Mysterious Island その後 3

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遅ればせながら、原作『神秘の島』を読み始めました。このゲームはもうすぐ終わりますが、続編もありますから原作は押さえておきたい。原作で登場した場所や道具など「あ、これはあそこの…」ということもしばしば。原作に掲載されているイラストを、ゲーム内でも見ることができるようになっています。原作がゲームのヒントになるわけではありませんが、楽しみは倍増するはず。原作は3部作になっていますから、興味のある方は図書館で借りて読んでみてください。

さて、ゲームの続きです。わかっていたこととはいえ、目の当たりにすると感動します。ノーチラス号です。ただし、そう簡単に中に入れてはもらえません。廃船同然ですが、セキュリティだけは生きているのです。

セキュリティの解除やドアの解錠などに写真3のようなパズルが出てきます。答えはシンプル。そこに見えているものがすべてです。シンプルすぎて、ネモ船長が考えたものとは思えないくらい。要するに赤いランプがすべて緑色になれば正解です。

ノーチラス号の中にはいろんなアイテムがありますが、世界各地の遺物も多く、手に取ることはできないのが残念。ミーナの目的は、この島から脱出すること。即ち、救助を呼ぶこと。携帯電話に母親からの電話は着信するのに発信できない。これはノーチラス号が(セキュリティ上)電磁シールドを張っているから。それを解除すればよいのです。

このゲームはアイテム画面の右側に数字があって、それが「スコア」だということ。ゲームの進め方によってスコアが変わるようなので再挑戦したい方はどうぞ。わたしは続編"Jules Verne's Return to Mysterious Island 2 HD"に進みます。

思ったよりボリュームがある、手応え十分なサバイバル・アドベンチャーゲームでした。ジュール・ベルヌの空想冒険小説を下敷きにしていることもリアリティを生んでいます。本格的なアドベンチャーゲームをお探しであれば、是非お試しあれ!

お勧め度:★★★★★

2013年6月21日 (金)

[iPad mini] Jules Verne's Return to Mysterious Island その後 2

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Granite House(花崗岩の宮殿)に入ることができたら、そこからがステージ3。探していた人に逢うことができます。当時の遭難者たちは暮らしていた場所ですから、いろんなアイテムがあります。人間が作り出した道具は偉大です。ほんとに助かります。しかし、奥は暗いので灯りが必要。ランタンは壊れているけれど、ライターはあるから、ろうそくでも欲しいところ。蝋は動物の油脂から出来るらしいから、ひょっとしたら…。

いろんなアイテムから新しいアイテムを作り出すのは、まるでパズル。あるアイテムと組み合わせることのできるものを探すには、最後はすべての組み合わせを試してみるしかありません。ふたつ組み合わせればよいのであれば、いきなり完成しますが、3つ以上の場合は面倒です。実際、狙ったアイテムを作り出せることは少なくて「意外なものができてビックリ」ということがほとんどです。

組み合わせさえ合っていれば一瞬でモノが完成してしまうのは不自然ですけど、手に入るものが極端に限られる無人島で生きていく雰囲気は十分に味わえます。先に進めなくて困ることはあっても、飢え死にすることはなさそうです。サバイバルに興味がある方は是非プレイしてみてください。

このゲームはボリューム満点。ずいぶん進めたつもりなのに、まだ終わりません。これまでわたしがプレイしたiPad用アドベンチャーゲームでは満腹度ベスト1です。お値段分はしっかり楽しませてくれます。続編もあるのですから、いまから楽しみです。でも続編があるということは、ミーナはまだリンカーン島を脱出できないということ!?

とにかく、先に進むしかありません。Granite Houseから地下へのハシゴを下りると海につながっていて、潜水服を着て潜ろうとしたら…!(次から次へと…退屈しません)

お勧め度:★★★★★

2013年6月20日 (木)

[iPad mini] Jules Verne's Return to Mysterious Island その後

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原作『神秘の島』は、南北戦争の北軍捕虜4人と1人の少年と犬が嵐の中、気球で脱出して無人島に不時着する冒険譚。このゲームは、その後(50年以上?)のことらしい。彼らはその島を「リンカーン島」と名付けたのです。写真1が島の地図(『神秘の島 第一部』(偕成社文庫)より)です。原作を読んだことがある方は、リンカーン島を探検できると聞けばワクワクしませんか?

ミーナは、火を熾し、空腹を満たすことができました。すると高台に登るバリケードを通り抜けることができ、行動範囲が広がります。風車があるのですが、そこへ登る階段が崩れてます。また、小さな川に架かっていた橋が壊れて火山のほうへ渡ることができませんし、廃屋に猿たちが棲みついていて、近づこうとすると石を投げてきます。というように、行けない場所もありますが、湖畔で水を飲んだり、水浴びしたり、熱湯が沸き出しているところでは調理ができそう。

また、竹や草を刈ったり、いろんなアイテムを拾い集めては「一体なにに使うんだろう?」と悩むことになります。複数のアイテムを組み合わせて、他のアイテムを作り出す技が重要なポイント。使ってしまったアイテムでも「分解」すれば、再利用可能な場合があるので落ち着いて考えましょう。

投石猿を追い払うと、怪我した猿が一匹残っています。それにミーナはジェップと名付けて手当して、えさをやるのです。すると、ミーナになついて仲間になってくれます(写真2)。

ジェップもある意味、アイテムのひとつ。なにかと組み合わせることでジェップの能力が高まります。平たく言うと、ジェップになにかを持たせるわけです。高い場所は「猿でもなければ無理」と言われていたはずですから、いろいろ試してみましょう。「なんじゃそりゃ?」という、奇想天外な結果を引き起こすこともありますが、それもまた一興。

浜辺にある岩場の「高いところ」に登ることができれば、次のステージに進むことができます。

このゲームは中盤を過ぎるとアイテムが増え過ぎて混乱しますが、火をつける道具にしても、方法はひとつではないので、あるアイテムの使い方をまちがえたら先に進めなくなるということは(いまのところ)なさそうです。この先、武器も必要になってくるのですが、AとBのどちらでも敵を倒すことできたりと柔軟性を持たせてあります。

俗世間とは隔絶されているため、お金は何の役にも立ちません。もし硬貨が手に入ったとしたら、それは素材(金属)として、化学的な意味を考えましょう。意外に奥の深いゲームです。

お勧め度:★★★★★

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2013年6月18日 (火)

[iPad mini] Jules Verne's Return to Mysterious Island - Deluxe Edition

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タイトルどおり、ジュール・ベルヌの『神秘の島』をモチーフにしたアドベンチャーゲーム。興味のある方はぜひ原作を読んでみてください。より深くゲームを楽しめることでしょう。

続編"Jules Verne's Return to Mysterious Island 2 HD"を先にダウンロードしたのですが、やはり1作目からプレイしたくて入手しました。

ただし、2が約1.5GB、1が約800MBもファイルサイズがあるので、iPad mini 16GBモデルでは同居には不安がありました。使っていないアプリを削除しても、常駐アプリを終了させないとメモリ不足で起動できませんでした。HOMEボタンを続けて2回押して画面下部に表示されるのが起動中のアプリ。アイコンを長押しし、不要なものを[-]印をタップして終了させてください。

主人公ミーナが南太平洋の孤島に打ち上げられたところから物語は始まります。お腹が空いているのですが、水と食料はどうしたものか。浜を歩き回ると、人間の痕跡が残っています。ヤシの実やカメの卵を拾ったり、ヤシガニを捕まえたり、触れることができるものには○印が表示されるので、画面中をくまなくタップしまくる「アイテム探し」は不要です。ただし、全部英語です。英語がわからないとつらいです。

最初にチュートリアルモードを選ぶこともできますが、ゲームシステムに慣れるのにすこしかかりました。とくにややこしいのが写真3枚目のアイテム画面。拾ったものが標本箱のように並ぶのはわかるのですが、いくつかのアイテムを組み合わせて別のものを作り出すのが、まるでパズル。文字通り困惑します。逆に、何気なく選んだアイテムが一瞬で別のアイテムに変わってしまい、プレイヤーは置いてきぼりということもしばしば。そういうときは、あとでアイテムを選択してメッセージ欄を読みましょう。

小舟の残骸から木片と金属片を入手。アイテム画面で金属片と石を組み合わせると(石で金属片を叩いて)一瞬でナイフが完成。そのナイフを牡蠣と組み合わせると殻をこじ開けて食べることができるわけです(写真4)。ただ、あまり無理すると…。

牡蠣は生でも食べられますが、ヤシガニは焼きたい。近くの岩場にたき火の跡があって、アイテム画面でナイフと火打石を組み合わせて「ライター」を作って、火種になる枯れ草は見つけたものの、どうやってもたき火ができない。枯れ草をアイテム画面から外に出せないのです。

散々悩んだ挙句、アイテム画面で「ライター+枯れ草+椰子の葉」を組み合わせると「たき火」が完成してしまったのです。その「たき火」を手に持った状態で(熱いだろうに)アイテム画面を出て、たき火跡をタップすれば火を熾すことができるわけ。なんか納得いかないけど、これが「仕様」です。

食事をするとミーナの健康が回復していく様子は画面左下のグリーンのバーで確認できます。満腹になればゲージが消えますから、食べられるものはなんでも食べましょう。ミーナの胃袋は丈夫です。画面右上の?マークを押すとチュートリアルモードのON/OFF、その下のボトルマークを押すとWalkthrough(攻略ガイド)が表示されます。ヒントがないと解けない(生き残れない)ということでしょうか。不安ですが、がんばります!

お勧め度:★★★★★

2013年6月17日 (月)

[iPad mini] レイトン・ブラザーズ ミステリールーム

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Nintendo DSの「レイトン教授」シリーズは「クイズ・アドベンチャー」だったけれど、レイトンジュニアのほうは「推理ゲーム」。「レイトン」という名前がついていても、中身はまったくの別物です。

ストーリーは1章から9章まであって、スターターパックでは1〜2章が無料でプレイできます。ただ、3〜9章は各85円なので、すべてプレイするならコンプリートパックのほうが若干お得。
  1. サンドイッチに挟まれた女
  2. コソ泥と悪女と消えた凶器
  3. 舞台で女優を殺す理由
  4. 暴れる死体に気をつけろ
  5. リクエストは殺人
  6. さらば、愛しのギャング
  7. 地下室の少女
  8. ラドモンド城の奇怪な殺人
  9. 殺人者アルフェンディ・レイトン
難事件担当の分析官アルフェンディ・レイトンの元に配属された見習い分析官ルーシー・クレイラとなって「File No.1 サンドイッチに挟まれた女」の解決に挑みます。ゲームシステムは、現場を再現した「捜査モード」、手掛かりを元にした「推理モード」、容疑者への「質問モード」を行き来して「犯人特定」に至るという独特のもの。

第一印象は「子供っぽいゲーム」だったのですが、数日してSAVEしたところから再開しても、状況を思い出すのに苦労することなくゲームに没入できたので、これは親切な(わかりやすい)ゲームなのです。ただ、謎が簡単に解けるかどうかはアナタ次第です。

お勧め度:★★★☆☆

レイトンブラザーズ・ミステリールーム スターターパック App
カテゴリ: ゲーム
価格: 無料

レイトンブラザーズ・ミステリールーム コンプリートパック App
カテゴリ: ゲーム
価格: ¥500

2013年6月16日 (日)

[iPad mini] CITY of SECRETS 2 Episode 1

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アドベンチャーゲーム"City of Secrets"の続編です。例によって、全編英語。英語必須です。字幕があるとはいえ、主人公はロンドンの下町訛りがあって聞き取りにくい。また、前作をプレイしていたほうが(同じ場所や人物が)楽しめますが、とくに不都合はありません。

まずTutorialを選ぶと、主人公・もぐらのモグが駅にいるのですが「駅から出る」(LEAVE THE STATION)のがミッション(写真2)。改札ゲートに切符を入れればいいのでしょうけれど、切符を持っていないようです。カウンターの女性に話しかけると精算費用は99万9999ドル! おいおい、どんなインフレだよ。それでもベンチの下からトランクを引っ張り出すと、中には100万ドル。それで精算すると、渡された切符が破れてる。その隣の自動販売機でセロテープを1ドルで買って無事解決。ご都合主義とか予定調和なんて超越した確信犯。モグは「せっかく大金持ちになったのに…」とブツブツ。悪ふざけもここまでくるとアートです。

さて、本番は Beginner、True adventure の2つのモードがあります。じつはGeniusモードもあるので選んでみてください。わたしはBeginnerを選びました。最初のミッションは「ゴーグルを探せ」(写真3)。その都度、目的を明示するのは親切だけど、お子様扱いされてるような感じもする。True adventure はまた違うのでしょうか。いまは先に進めましょう。

次の目的は「ポコペンに行け」。ポコペンというのは(前作で)ネズミが化けた悪徳市長の手からモグが救った街。そのためには自分の部屋のエレベーターを動かさないといけません。もぐらの家ですから地下にあるのでしょう。どうすればいいか、モグは知っているはずなのに教えてはくれません。でも、困ったときには画面左下の浮き輪マークをタップすれば「ヒント」が出ます。

エレベーターの着いた先がポコペン(写真4)。腹ぺこのモグは「祖父のレシピ」にある材料を探すことに…スイートポテト油、レモン、電気うなぎ、Beetroot Moonshine(?)。一体なにができるのやら。

Beginnersモードでは「ヒント」を見ればゲームを進めることができます。それでは悔しいという方は自力でがんばりましょう。途中、同社のパズルゲーム"City of Secrets Skyline"の一面が登場します(写真6)。3x3のマスに1〜3段の高さの異なる駒を3つずつ置くのですが (1) 縦横の列に同じ高さの駒は置けない、(2) 2本の列に指定されただけの数の駒が見える(高い駒のうしろの低い駒は見えない)、(3) すべての駒を使うのが条件。つまり立体パズルです。面倒であればスキップすることもできますし、気に入ったら(別アプリとして)ダウンロードすることもできます。

そして、東奔西走し苦労して集めた材料で料理(写真7)したところ、とんでもないことに…!? このキッチン、どう見てもゲーム機のコントローラですよね。

最後の「オチ」は笑えました。なんというか、その、すごく、モグらしい。ここで怒ってはいけません。ここは笑うところです。

そして、今回は「腹ぺこモグの日常」だったのですが、次回(エピソード2)は、モグが007ばりのエージェントとして活躍するそうです。乞うご期待!

しかし、1本のアドベンチャーゲームとしてみると、すこし短いかな。マップを見ると行ってない場所がいくつもある。エピソードごとに悪ふざけはエスカレートしていくようなので、それも楽しみです。

お勧め度:★★★★★

City Of Secrets 2 Episode 1 App
カテゴリ: ゲーム
価格: ¥85


1作目はこちらです。
City of Secrets HD App
カテゴリ: ゲーム
価格: ¥85

2013年6月15日 (土)

獅子の胎動 デルフィニア戦記 6 (茅田砂胡)

マグダネル卿は隣国タンガに通じ、王権の転覆を画策していたことがわかり、バルロは叔父を討つべく、王命を無視して出撃します。バルロとナシアスも名優ですが、やはりリィとウォルの「漫才コンビ」には適いません。コンビが登場しないと、どうも話が陰湿になっていけません。だから前半は退屈。

リィもちらほら顔を出すものの、本格的に介入してくるのは終盤。王族としては型破りなウォルとリィに対して、なにより体面を重んじる、クソ真面目な重臣たちというギャップが可笑しい。

リィの命を狙う暗殺者シェラも、適当にあしらわれて面目丸つぶれ。失敗した暗殺者は生きていられるのか。あとがきによると、作者のイメージは「捨てられた犬」だとか。ひ、ひどい。しかし、まぁ、そのとおりではある。最初はあとがきに苦労していた作者も、すこし慣れてきた様子。今となっては昔の作品でしょうけれど、後追いで楽しませていただいてます。

お勧め度:★★★☆☆

2013年6月13日 (木)

異郷の煌姫 デルフィニア戦記 5 (茅田砂胡)

ウォルが国王に返り咲いて3年。リィは王女なんていう堅苦しい立場に我慢できないだろうと案じていたのですが、山腹にある、無人の離宮で気ままに暮らしていたようです。しかし、仮にも王女なので、身の回りの世話をする侍女をつけることになり、やってきた侍女はじつは…!?

今回も笑わせてくれます。作者はあとがきで「吹き出してしまうので電車で読むことができません、と言われるのが何故だかわからない」と書いていましたが、可笑しいのは作者(登場人物)が大真面目だからです。ウォルとリィとイブンが揃えば漫才トリオです。

サヴォア侯爵家のバルロが、叔父のマグダネル卿を討つと言い出し、ウォルが事情を尋ねてもバルロは頑として(本当の理由を)話しません。一方、デルフィニアの隣国タンガとパラストが、タウの民にちょっかいを出してきたのです。これはなにか裏があるはず。

そのまた一方で、リィが殺し屋に狙われていて、リィはそれを退屈しのぎにあしらっていたのです。なんとも剛毅な王女です。

ファンタジーとして「剣」が中心でしたが、今回「魔法」が登場します。文字通り「魔法街」(グインサーガでいうところの"まじない小路")に迷い込んだリィが重要な手掛かりを掴んできます。まだまだ目が離せません。

お勧め度:★★★★☆

2013年6月11日 (火)

空漠の玉座 デルフィニア戦記 4 (茅田砂胡)

元・国王ウォルが国を追われたのは妾腹ゆえだったのですが、それをペールゼン侯爵は今度は「王家の血筋ですらない」と言い出したのです。おかげで、かつての重臣たちが改革派に組みし、デルフィニアは真っ二つに割れてしまうことになったのです。

これでは内乱です。この機に乗じて周辺国が侵略してくる恐れもあるので、内輪もめはなんとかして回避したい。そこでリィとイブンが敵の裏をかく作戦を敢行。意外な助っ人まで登場して戦局は予断を許さない状態に…。

玉座奪還編の最終巻ですから、ウォルは無事、父親(フェルナン伯爵)の仇を討つことができるのでしょうけれど、そう簡単にはいかないのでドキドキ、ハラハラ、しっかり楽しませてくれます。

やっぱり、こういうエンターテイメント小説って好きです。小難しいことを考えずに、楽しめばいいんですから。最高です。

今回のオチは伏線どおり。ただ、今後のリィの行動が読めません。次巻以降も楽しみです!

お勧め度:★★★★☆

2013年6月 9日 (日)

白亜宮の陰影 デルフィニア戦記 3 (茅田砂胡)

自国を追われたウォルがコーラルに戻ろうと思ったのは、父であるフェルナン伯爵が北の塔に捕えられたと聞いたため。途中、美少女戦士リィと出会い、ウォルを王と慕う者たちが合流し国王軍を形成し、政府軍を退けながら進軍を続けていました。

そして、物語序盤の山場となる、フェルナン伯爵の救出劇です。さすがにリィが単身乗り込んでも、北の塔に入ることは困難ですし、伯爵も納得しないでしょう。そこで選ばれた救出隊メンバーとは…。

いやいや、よく考えてあります。面白くて一気読みしてしまいました。ただひとつ引っかかったのが(本文ではなく)コーラルの地形図です。コーラル城はトレニア湾に迫るバキラ山脈を背に建てられた堅固な城。なのですが、川がない。あのイラストが正確だとすると、山に降った雨はコーラル城の一の郭に流れ込むのではないでしょうか。「グイン・サーガ」でも地図はあとから出来てきて、人の手になる地図はどこか不自然。小説に描かれていないことは省かれてしまいます。

それにしても、国王を追放した張本人ペールゼン侯爵はずる賢い。王が私生児だといって追い出したうえに今度は、そもそも王の資格はないと言い出す始末。王座に未練がないウォルにとっては有り難い話なのですが「それじゃ俺は自由戦士に戻るわ」というわけにはいきません。

さて、この戦いの行方はいかに? 次巻が待ち遠しい!(すでに完結したシリーズは待たずに次巻が読めるからうれしい。)

お勧め度:★★★★☆

2013年6月 7日 (金)

困ります、ファインマンさん (R.P. ファインマン)

リチャード・P・ファインマンは、物理を学ぶ学生にとってはバイブル(ファインマン物理学)になっているくらい有名な物理学者。『ご冗談でしょう,ファインマンさん』に続くエッセイ集です。 笑えます。

中でもいちばん面白かったのが「歩いたかさぶた」。ブラジルから帰国したファインマンは腋や腕にかさぶたができていることに気づきます。爪で剥がすと下には傷もなにもない。顕微鏡で調べてみると足が生えている! シラミです。

そして彼は、シラミを水や油などに浸す実験を始めます。それでもシラミは死にません。そこで昔、ハエや毒蜘蛛を四塩化炭素でやっつけるところを見たことを思い出します。市販されていないから実験室から持ち出して試してみるとシラミはイチコロ。でも、虫にとって猛毒ならば人間にとっても毒なのではないか。本を読みあさった結果、昆虫の表皮には空気を取り入れる小さな穴が開いていて、そこから四塩化炭素が入ってしまう。一方、人間の場合、無傷の皮膚なら大丈夫、らしい。

家庭にも多くの殺虫剤が氾濫していて、スプレーであれば、人も口から吸い込むわけで、身体に良くないのは明らかなのに規制されないのはなぜか、ずっと疑問なのです。健康被害が出てから調べればいいのでしょうか。

もうひとつ。『ファインマン物理学 I 力学』の抜粋が載っていて、とても興味深かった。「女の人が運転する自動車が白バイにつかまった。巡査が彼女のところへやってきてこう言う。「奥さんは時速60マイルで走っていましたね!」彼女は言う。「そんなはずはありませんせんよ。まだ7分間しか走っていないのですよ。おかしいですね」。さて、なにがおかしいのか。頓珍漢な会話が可笑しい。これは『ファインマン物理学』も読んでみなければ!

本書でいちばん読み応えがあるのは、チャレンジャー号事故調査委員会のメンバーとして活動した記録。「問題はあるけれど、これまで事故は起きていない。飛ばすんだ!」。お役所仕事というのはどこの国でも同じなのか、スペースシャトルではなく、日本の原子力発電所でも同じことなのだろうと背筋が寒くなりました。人間の作るもの、やることに完璧はありません。

日本が好きだったというファインマン。なかなか愉快な人だったようです。物理に興味はなくとも、変わり者の科学者のお話として読めば、きっと楽しめます。『ご冗談でしょう,ファインマンさん』と合わせて、息子たちにも読んでほしい本です。

お勧め度:★★★★☆

2013年6月 5日 (水)

さよならドビュッシー (中山 七里)





裕福な家庭に生まれ、ピアニストを目指す香月遥(16歳)は、祖父と従姉妹と共に火事に巻き込まれて、全身大火傷を負いながらもひとり生き残ったのです。皮膚移植手術は成功したものの、歩くことはおろか、指も動かない。ピアニストになる夢は潰えたかと思われたのですが、そこへ新進気鋭のピアニスト岬洋介が現れ、彼女のピアノ教師になることを申し出たのです。

医師も驚くほどリハビリは順調で、これならコンクール出場も夢じゃないと猛レッスンに明け暮れる遥の身辺で不審な事故が続き、果ては身内に3人目の犠牲者が…。

ミステリーには詳しくありませんが、これは本格ミステリーというより、ミステリー仕立ての音楽小説。ある日突然身障者になってしまったことに対する戸惑いと苦悩、悟りといったメンタルな部分がしっかり描かれているのはピアノについても同様です。

「音楽で映像を見せたい」と願い、ドビュッシーの「月の光」を課題曲に選んだ遥。ドビュッシーが好きなのにどうして「さよならドビュッシー」なのかと考えながら読んでいたのですが、最後までわかりませんでした。あんなどんでん返しが待っていたなんてビックリです。

この小説は名古屋が舞台です。しかし、庄内川にかかる万場大橋と、遥の自宅がある「広小路通の本山」を過ぎたあたりは、東西にかなり離れています。岩塚から本山まで地下鉄東山線に乗ったのでしょう。でも、本山付近に荒薙神社というのは見当たりません。映画でも名古屋ロケが行われたそうですから、近いうちにDVDを観てみたいし『おやすみラフマニノフ』も読んでみたいと思います。

また『さよならドビュッシー』が気に入った方には『ドラフィル! 竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄』 (美奈川 護)もお勧めします。3巻シリーズです。

お勧め度:★★★★☆

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2013年6月 3日 (月)

伏(ふせ) 贋作・里見八犬伝 (桜庭 一樹)



「南総里見八犬伝」は、滝沢馬琴が江戸時代後期(1814-1842年)に著した読本。何層里見家の伏姫と、白犬八房の因縁は同様ですが、関八州各地に生まれた八犬士が活躍するわけではありません。「贋作・里見八犬伝」というのは、作中で滝沢馬琴の息子・冥土がひそかに調査して書いている本。その贋作の贋作が本作というわけ。(ややこしい)

人と犬の間に生まれた「伏」は、江戸の町にそれと知られずに暮らしていた世界。凶暴な伏を狩れば幕府から報奨金が出ることもあって、14歳の猟師・浜路は腹違いの兄を頼って江戸に出てきて、伏の臭いを嗅ぎ取る鼻とでっかい鉄砲を武器に「伏狩り」に励むのでした。

伏の寿命は約20年。そこは犬とおなじ。見た目は人なのですが、身体能力は人間以上。欲望に忠実で、盗むは犯すは殺すは、暴れ出すと手をつけられない。「ブレードランナー」のレプリカントを思い出します。自分の因(はじまり)はどこにあるのか疑問を抱くわけです。

「八犬伝」は勧善懲悪の物語なのですが「伏」では伏自体が悪にされています。つまり、伏を狩る浜路たちが善。要するに宇宙人扱い。ただ、伏のことを知るにつけ「ほんとうにそうなのかな?」というのが本作のテーマ。

人とそうでないもの。人を害するものは徹底的に攻撃、排除する社会がほんとうに幸せな、豊かな社会だといえるのかどうか?

お勧め度:★★★★☆

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2013年6月 1日 (土)

村上春樹の『1Q84』を読み解く (村上春樹研究会)

なんだかゲームのプレイ後に攻略本を読むような気分です。でも、Book3まで読んだものの消化不良なもので、他の人はどう感じたのか知りたくて解説書を手に取った次第。

本書の総論は「村上春樹は総合遊戯施設である」というもの。それだけではなんのことやらわからない。文学だと意識せずともエンターテイメント小説だと思えばいい、という意味なら同感。小説は作者の意図を超えた読み方をされることもあるでしょう。それでいい。「遊戯施設」なのですから、楽しみ方は各人の自由。

どこから読んでもいい、というので、パラパラ繰っていて目が留まったのが「『1Q84』はオーウェルの『1984年』と、どう関わっているのか!?」。本書はBook3発行前に書かれたものですが、結局リトルピープルとは何なのか明かされていません。本書では、オーウェルの『1984年』に登場する支配者「ビッグブラザー」に当たる存在ではないかという。「リトルピープル」については「キーワード」としても後述しているのですが、結局憶測の域を出ませんし「理屈ごり押しの読書法」は村上春樹にはそぐわないだろう、と斬って捨てています。

唯一、面白いと思ったのは、本書のラスト。青豆がずっと気にしていた観賞用ゴムの木は受粉など必要としない「無性生殖」で増えるということ。だとすると青豆が産むのは自身のコピーなのかもしれません。Book4が楽しみです。

お勧め度:★★☆☆☆

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