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2013年3月 8日 (金)

砂の女 (安部 公房)

ひと言でいえば、アリ地獄。

今時ありえない設定ではありますが、やけにリアルなのです。ただ、砂地に棲むハンミョウの新種を発見し、自分の名前をつけるのが目的だという男。そもそも現実世界から逃避しているようにも見えます。

「常識」というのは習慣、あるいは慣れなのだと気づかされます。馴らされてしまえば常識なんて変わってしまう。異常と正常が紙一重の世界。

「砂に埋もれてしまうような家は捨てて他所に引っ越せばいいのに」と男は言います。まさに正論。わたしもそう思います。しかし、女にとってはそこが我が家であり、自分の棲む場所なのです。男は砂地に棲む女を発見し、逆に捕まってしまったわけです。

普段エンターテイメント小説を好んで読むのですが、それらは流れに身を任せてストーリーを楽しむもの。一方『砂の女』のような小説は、単に与えられるものを受け取るのではなく、読者として、どこでなにを思ったか、どう感じたかが大事。自分なりの理解でいいし、理解できなければ読み直せばいい、と思うのです。

お勧め度:★★★☆☆

村上春樹の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を思い出しました。

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