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2013年2月17日 (日)

ピエタ (大島真寿美)

『やがて目覚めない朝が来る』の大島真寿美の新作だと聞いて手に取ってみました。悲劇的ではないにしろ、やはり「死」に関する話です。1741年7月28日、ヴァイオリン協奏曲集『四季』の作曲家ヴィヴァルディが亡くなったことからお話が始まります。

エミーリアはアンナ・マリーアとヴェネツィア共和国のピエタ慈善院で育ち「合奏・合唱の娘たち」の一員として音楽教育を受けてきました、若き日のヴィヴァルディに。そして、ウィーンに行ったヴィヴァルディの訃報が届いたのです。

エミーリアは貴族の友人ヴェロニカから、ヴィヴァルディ先生が自分のために書いてくれた楽譜を探してほしいと頼まれます。見つけてくれたらピエタに対して破格の寄付を約束する、と。そして、エミーリアは楽譜の行方だけでなく、ヴィヴァルティ先生について知りたいと思うようになっていくのです。

序盤は、時間は前後するし、なんの話がしたいのか全く見えないしで戸惑いましたが、クラウディアに会いにいくあたりから面白くなってきました。

いま読み終えました。

途中から『やがて目覚めない朝が来る』の18世紀ヴェネチア版だな、なんて思っていたのですが、ヴェロニカの楽譜が思いがけないところから出てきたのには驚きました。この小説で描かれるヴィヴァルディは粋な音楽家です。「l'estro armonico 霊感の調和」作品3 協奏曲集を聴きながらお読みください。

人と人のつながりは、血縁、友情、近隣、学校や職場、商売上など様々ですが、ヴィヴァルディとピエタとの関係を軸に、登場人物たちが年老い、やがて死んでいく一方で新しい命が育っていく。それが世の摂理。そこに人と人の魂が響き合い、調和があります。とても素敵な物語でした。

お勧め度:★★★★★

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