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2012年12月30日 (日)

空飛ぶ広報室 (有川浩)

久々に有川節を楽しませてもらいました。防衛省航空自衛隊航空幕僚監部広報室に赴任した元・戦闘機乗りの空井大祐二尉が帝都テレビのディレクター稲葉リカの担当にされる場面では大笑い。自衛隊嫌いの強面娘「稲ぴょん」は、私の中では、アニメ『ココロコネクト』の女子高生・稲葉姫子(通称・稲葉ん)とリンクされてしまいました。

それにしても、広報室の商品はF-15!? すべての装備や機材は、自衛隊を知ってもらうためならば撮影や取材に応じるというわけです。作中ではテレビ局とのコラボがメインですが、この本も立派に航空自衛隊の広報になっていますね。

460ページの長編小説。どうしてこんなに長いんだろうと思ったら、広報室のメンバーをひとりずつ丁寧に描いています。取材を受けてモデルになった隊員は苦笑していることでしょう。今回、有川浩お得意の「ベタ甘」はありませんが、空井と稲葉の関係が期待と不安を漂わせて、いい感じです。

あとがきによると、この本は2011年夏に出る予定だったのですが、3.11でブルーインパルスの母基地である松島基地も大きな被害を受け、3.11に触れずに本を出すことはできないと判断したそうです。それで追記されたのが最後の「あの日の松島」です。なにより、あとがきの最後の言葉が印象に残りました。

「自衛隊をモデルに今までいろんな物語を書いてきましたが、今回ほど平時と有事の彼らの落差を思い知らされたことはありません。ごく普通の楽しい人たちです。私たちと何ら変わりありません。しかし、有事に対する覚悟があるという一点だけが違います。その覚悟に私たちの日常が支えられていることを、ずっと覚えていたいと思います。」

この本は自衛隊という組織とそこで働く人たちのことを知るきっかけになるだけでなく、ビジネス小説というか「お仕事小説」としてもよくできていると思います。

お勧め度:★★★★★

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