« 黄色い目の魚 (佐藤多佳子) | トップページ | いちご同盟 (三田誠広) »

2012年11月 1日 (木)

翼はいつまでも (川上健一)

青森県十和田市に住む中学2年・神山は野球部でレギュラーになれず苦労していたところに、ある日米軍ラジオ放送でビートルズの"Please Please Me"を聴いてショックを受ける。クラスで大声で歌ったところ、目立たない斉藤多恵が「もう一度聴きたい」という。その後、学校はビートルズを聞くことを禁止するし、野球部の顧問は、主力メンバーを相撲部に貸し出すし、神山たちは大人(教師)の横暴に翻弄されます。

"Please Please Me"が流れたということは、時は1963年(昭和38年)。教師による生徒への体罰も平然と行われていた時代。「子供は大人の言うことを聞くのが当然」という決めつけに対する反発に中学生らしさを感じます。でも、中学生の男子って大人になりかけて、小難しいことを考えつつ、女性や性にも興味津々なのですが、まだ子供だから言うことがあからさまでイヤだ! だから野球部の連中や男性教師は好きになれませんが、斉藤多恵が殻を破って行く様はよかった。

ひと昔前の話を読みながら、思い出したのは『野菊の墓』(伊藤左千夫)。たしか中学生のときに読んで泣いた覚えがあります。その本と「いつ出会ったか」って大切。だから、息子たちに「いま読むべき本」を勧めるようにしているのです。

お勧め度:★★★☆☆

« 黄色い目の魚 (佐藤多佳子) | トップページ | いちご同盟 (三田誠広) »

現代小説」カテゴリの記事