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2012年11月

2012年11月29日 (木)

おいしいコーヒーのいれ方 (2) 僕らの夏 (村山由佳)

大学に進学した勝利は、5歳年上のかれんとの恋がキス以来進展しなくてイライラ。おっとりしたかれんにイライラ。要するにもっとスキンシップを図りたいわけで、若気の至りで暑苦しさ満点であります。(笑)

そう簡単に進展したら面白くないし、話も続かなくなってしまうので、これでいいのでしょうが、読んでいて疲れます。ただ、約200ページと薄いのが救い。小難しい本の合間に読むにはちょうどいい。

お勧め度:★★★☆☆

2012年11月27日 (火)

おいしいコーヒーのいれ方 (1) キスまでの距離 (村山由佳)

限りなくライトノベル的な恋愛小説です。高2の泉水勝利は、5歳年上の従姉妹・花村かれんと同居することになり、数年見ないうちにきれいになっていた彼女にびっくり。おまけに、大学を卒業したかれんは、勝利の高校の美術教師として赴任してくる。美人教師と同居していることは隠して暮らすうち、次第に惹かれていくというストーリー。お約束通りの展開にあきれたり、安心したり。

ちなみに「おいしいコーヒー」というのは、近所の喫茶店で出される珈琲のこと。薄い文庫本なので、ちょっとした空き時間にどうぞ!

お勧め度:★★★☆☆

2012年11月25日 (日)

ビアンカ・オーバースタディ (筒井康隆)

「筒井康隆の書いたラノベってどんなのだろう」と興味を引かれて読んでみたのですが…。

わたしが迂闊でした。予想すべきでした。出版社の宣伝文句を信じてはいけません。いかにもラノベっぽい表紙も罠です。これを書いたのは「時をかける少女」の作者ではなく「現代語裏辞典」の作者なのです。なにかというと下ネタに振ってくる男。ひと言でいうと「卑猥なラノベ」です。読み始めてすぐに後悔しました。

それでも、高名な小説家が一体どういうオチを付けるのか気になって最後まで読んだのですが肩透かしを喰らいました。あとがきによると、この本を入口に他の作品に読者を誘導したいようです。たしかに踏み絵にはなるでしょう。筒井康隆に堪えられるかどうか。

読み終えたら次男に譲ろうと思っていたのですが、これはちとキビしい。残念ながら「お勧め」はできません。

2012年11月23日 (金)

ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リング・オブ・フェイト (Nintendo DS)


「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル・エコーズオブタイム」に続いて入手。新品は高いので中古品を自分+長男+次男用に3個と攻略本(古本)1冊が、駿河屋さんで合計2,100円でした。複数本必要なマルチプレイゲームはいかに安く上げるかも腕の見せ所です。(笑)

ちなみに、中古ゲームは前ユーザーのセーブデータが残っているのでA+B+X+Y+L+Rボタンを押しながらゲームを起動して全データを削除。セーブは3カ所可能です。

それにしても攻略本があると楽ですね。しかし、どんなに凝った仕掛けがあったところで、ストーリーに則したダンジョンめぐりなんです。学生時代は熱中できたけれど、いまは時間の無駄に感じてしまう。だから、せめて(ワイヤレス通信で)マルチプレイ可能なゲームを選んだのだけれど、長男と次男はまだ手をつけていないとか。彼らが始めるとあっという間に追い越されてしまうので、いまのうちにリードを広げておかねば!

お勧め度:★★★★★

2012年11月21日 (水)

宝引きさわぎ 〜 鎌倉河岸捕物控 20 (佐伯泰英)

「宝引き」とは「くじびき」。紐の先に景品を結んでおく遊びです。魚河岸と火消しの衆が宴会で宝引きを始めたところ、芸者の小夏が景品になると言って隣室へ入ったと思ったら殺されていて大騒ぎ。
  1. 手先見習い
  2. 宝引きの景品
  3. 手拭いと針
  4. お冬の決心
  5. 真打ち登場

いつも騒々しい亮吉と豊島屋の大旦那があまり顔を出さなかったので落ち着いて読めました。(笑)

お勧め度:★★★☆☆

2012年11月19日 (月)

聖夜の贈り物 (百田尚樹)

『永遠の0』でデビューした百田尚樹の第2作。「聖夜の贈り物」というハードカバーで刊行され、現在は「輝く夜」と改題され文庫本になっています。

クリスマスイヴの、ちょっといい話、泣ける話、不思議な話、5編を集めた短編集。太平洋戦争の戦闘機乗りを描いた『永遠の0』に比べると乙女チックで「らしくない」と感じてしまいますが、バラエティ番組の放送作家をしていただけあって、幅の広い方なのでしょう。

唯一、百田尚樹らしいと感じたのが「彼女たち」が望んだ幸せがつつましいものだったことでしょうか。それは、先日読んだ時代小説『影法師』にも当てはまります。

軽く読めますから、12月の夜にどうぞ。

お勧め度:★★☆☆☆

2012年11月17日 (土)

影法師 (百田尚樹)

第2次大戦の零戦乗りを描いた『永遠の0』はよかった。あの作者が時代小説を書いていたなんて知りませんでした。読み始めて「あぁ、百田尚樹だなぁ」。なんというか、カチッとしているんです。筆頭家老・名倉彰蔵の回想によって物語は進むのですが「行き当たりばったりじゃなくてプロットを考えたんだろうな」という印象を受けます。

ま、そんなことはどうでもよくて、結果、面白かった! これが大事。

破格の出世を果たした名倉彰蔵に対して、幼なじみである彦四郎は不遇の人生の末に落命する。『永遠の0』を含めて、戦う男の姿が描かれているのですが、戦い方は人それぞれ。自分が生き残るのか、他人を生かすのか。登場人物が「ほんとうは何を思っていたのか」を考える時、小説は奥行きを持って迫ってきます。

お勧め度:★★★★☆

2012年11月15日 (木)

真相 (横山秀夫)

『半落ち』『第三の時効』に続いて横山秀夫を手に取りました。

息子が殺されて10年後、犯人が逮捕され、息子が万引きしたのを目撃して金品を脅し取ったと供述。事件の「真相」は…? 村長選に出馬した理由はゴルフ場の18番ホールの位置を変えたかったから。前科者に世間の風は冷たく、また引っ越さなければならない。そこへ養子縁組の話が舞い込んで…。
  1. 真相
  2. 18番ホール
  3. 不眠
  4. 花輪の海
  5. 他人の家

警察小説の皮を被っていますが、本質は星新一のショートショート。ブラックユーモアが効いています。星新一がシンプルの極地ならば、横山秀夫はリアリティの権化。この小説を読み通すには精神力が必要なので、元気なときでなければ凹んでしまいます。

お勧め度:★☆☆☆☆

2012年11月13日 (火)

第三の時効 (横山秀夫)

わたしにとって『半落ち』に続く横山秀夫です。以下6編を収録。
  1. 沈黙のアリバイ
  2. 第三の時効
  3. 囚人のジレンマ
  4. 密室の抜け穴
  5. ペルソナの微笑
  6. モノクロームの反転

いやぁ、上手い! 気に入ったのが「第三の時効」「密室の抜け穴」。「ペルソナの微笑」は怖かった。警察小説かと思ったら推理小説になってる。決して明るい話ではないので、読み始めるのにすこしパワーが要るけれど、読み始めたら一気です。

お勧め度:★★★★☆

2012年11月11日 (日)

半落ち (横山秀夫)

アルツハイマー病の妻に「殺してほしい」と頼まれ、現職警察官・梶聡一郎が妻を手にかけた。殺害までは素直に話した梶が、殺害後2日間の行動については完全黙秘。完全に落ちないから「半落ち」。

ひとり息子を13歳で失い、妻を手にかけ、すべてを失った梶はなぜ自殺しなかったのか。その2日間になにがあったのか。「人間50年」と書いた梶が50歳か51歳で死ぬつもりだと見抜いた警察官が「生きる理由」を探し求める。

はじめての横山秀夫でしたが、ラストシーンよりも、警察や検察内部のリアルな描写に驚きました。フィクションというのは、ときに現実よりもリアルです。
  1. 志木和正の章
  2. 佐瀬銛男の章
  3. 中尾洋平の章
  4. 植村 学の章
  5. 藤林圭吾の章
  6. 古賀誠司の章

県警、地検、マスコミ、弁護士、裁判官、刑務官が6つの章を構成しています。うまい、上手すぎる。警察と検察の騙し合い、もたれ合いをマスコミがすっぱ抜く。それぞれの組織で這い上がろうと、懸命にもがく男たち。正義よりも保身が優先する組織。清濁合わせ飲む、という言葉が脳裏をかすめます。

その後の梶がどうなったかが知りたい!

お勧め度:★★★★★

2012年11月 9日 (金)

しずかな日々 (椰月美智子)

最近、高校生以下の少年少女の、どちらかというとほのぼのとした日常を描いた作品を読んでいます。『翼はいつまでも』(川上健一)、『黄色い目の魚』『サマータイム』『第二音楽室』(佐藤多佳子)、『いちご同盟』(三田誠広)、『機関車先生』(伊集院静)など。

『しずかな日々』は、小学5年生の光輝が、引っ越ししたくなくて祖父の古い家に住むことになった夏休みを描いています。とくべつな事は起きなくても、友達ができて、野球をして、いっしょに遊んで、おじいさんのことがすこしわかってきて、そんな日常の些細な出来事が愛おしい。人生に劇的なことなんかなくていい。そう思わせてくれる、ほのぼのとした、そして生き生きとしたお話です。

いまでも市立南小学校に入学して、水野先生に算数を教わった木造校舎の教室を覚えています。親の方針で、幼稚園には通わなかったから、小学生になって初めて、大勢が一カ所に集められて、黙って座ってなくちゃならないのが苦痛だった。小学生の頃って、イヤなこともあるけれど、時々うれしいことがあって、それでなんとかバランスを保ってたような気がします。当時から目が悪くて視力検査が嫌いだった。みんなの前で検査を受けるのがイヤで、そう先生に話したら順番を最後にしてくれたっけ。先生が自分の気持ちを察してくれてすごくうれしかった。そんなことを急に思い出しました。

みなさんにもあった(であろう)「しずかな日々」を取り戻してみませんか?

お勧め度:★★★★☆

2012年11月 8日 (木)

機関車先生 (伊集院静)

昭和30年代、瀬戸内海の葉名島に臨時教師として、北海道からやってきた大柄な先生は、病気のために口をきけません。7人の子供たちは「口をきかんのじゃ」「きかんしゃせんせいじゃ!」。周囲の大人たちは「口をきけん教師が子供たちに教えられるのか」と抗議しますが…。

機関車先生の、子供たちとのほのぼのとした交流を描いた作品ですが、先生と母親はなにやら事情があるようですし、漁師の多い島では網元がおおきな力を持っていてトラブルもあるようです。そんな中でも子供たちはたくましく生きていく、はず。

印象的だったのが、教え子を戦争に送った校長先生の言葉。「愚かなことをする人間をつくらないことが肝心です。裸の王様を裸と言えるようにあの子供たちは育って欲しいと思っています。それだけでいいと思っています。」

ひとりひとりの子供たちの将来に幸多かれと祈りたくなる本です。

お勧め度:★★★★☆

2012年11月 7日 (水)

第二音楽室 (佐藤多佳子)

学校での「音楽」にまつわるガールズストーリー集。
  1. 第二音楽室
  2. デュエット
  3. FOUR
  4. 裸樹

1話は、小学校の鼓笛隊の落ちこぼれ、ピアニカ組の話。2話は、中学校の音楽の授業で、男女ペアのデュエットをすることになったから大変。3話は、中学校の卒業式で男女2名ずつの4名がリコーダーで生演奏することになるのですが、この3話でついていけずに挫けました。(ごめんなさい)

2012年11月 5日 (月)

やがて目覚めない朝が来る (大島真寿美)


やがて目覚めない朝が来る。そうなんだよなぁ。普段あまり考えないけれど、いつかは…。

主人公は有加。母親のぶちゃんは、父・舟ちゃんと小4のとき離婚し、父方の祖母・蕗さんとの同居を選びます。蕗さんは女優だったので、息子を産んだことは隠され、マネージャー富樫さんを母親として育てられました。これはどうなんだろう。舟ちゃんとしては寂しかったのではないでしょうか。大人になってからは実家に近づかないようです。

なんといってもユニークなのが、母子が姑の家に転がり込んだこと。のぶちゃんの母・久慈充子が、蕗さんの出産を支えたこともあって、蕗さんとのぶちゃんは(舟ちゃんとの)結婚前から親しかったわけですが。

他に、蕗さんの衣装係だったミラさん、記者の田幡さん、強面の一松さんなど、個性的な大人たちに囲まれて有加は育ちます。年月が経つにつれて年老いて逝く人たち。本書のタイトルは蕗さんの科白です。

とくにクライマックスがあるわけでもなく、淡々と語られるのですが、そこにそれぞれの人生があるのです。やりたいことをやろう。生きているうちに。

お勧め度:★★★☆☆

2012年11月 3日 (土)

いちご同盟 (三田誠広)

中学生を描いた小説という点では、先日の『翼はいつまでも』(川上健一)と似ています。でも、こちらは死を見つめる男子ふたり。ひとりは野球部のエース・徹也と、本当は音楽学校に進学したい良一。ある日、徹也が良一にビデオ撮影を頼みます。自分の野球の試合を撮影させて、それを入院している幼なじみの直美に見せたいというのです。

自殺に惹かれていく良一と「自殺するなんて贅沢よ」という直美。徹也の苦悩を知った良一は「いちご同盟」を結びます。15歳だから「いちご」。

目を背けようとしても死は人間の宿命として厳然とあるのです。中学生に読んでほしい1冊です。

お勧め度:★★★★☆

2012年11月 1日 (木)

翼はいつまでも (川上健一)

青森県十和田市に住む中学2年・神山は野球部でレギュラーになれず苦労していたところに、ある日米軍ラジオ放送でビートルズの"Please Please Me"を聴いてショックを受ける。クラスで大声で歌ったところ、目立たない斉藤多恵が「もう一度聴きたい」という。その後、学校はビートルズを聞くことを禁止するし、野球部の顧問は、主力メンバーを相撲部に貸し出すし、神山たちは大人(教師)の横暴に翻弄されます。

"Please Please Me"が流れたということは、時は1963年(昭和38年)。教師による生徒への体罰も平然と行われていた時代。「子供は大人の言うことを聞くのが当然」という決めつけに対する反発に中学生らしさを感じます。でも、中学生の男子って大人になりかけて、小難しいことを考えつつ、女性や性にも興味津々なのですが、まだ子供だから言うことがあからさまでイヤだ! だから野球部の連中や男性教師は好きになれませんが、斉藤多恵が殻を破って行く様はよかった。

ひと昔前の話を読みながら、思い出したのは『野菊の墓』(伊藤左千夫)。たしか中学生のときに読んで泣いた覚えがあります。その本と「いつ出会ったか」って大切。だから、息子たちに「いま読むべき本」を勧めるようにしているのです。

お勧め度:★★★☆☆

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