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2012年10月19日 (金)

左京区七夕通東入ル (瀧羽麻子)

                         
また京都大学を舞台にした小説を見つけました!
      
      書店でタイトルを見て、七夕通なんて聞いたことないけど「左京区」というのが気になったのです。裏表紙をみると、数学が大の苦手の、文学部4年女子大生が理学部数学科の男の子に恋する話らしい。冒頭をすこし読んでみたら、その娘は鴨川の近くに住んでいて、大学まで自転車で10分。出町柳から近道をするなら京大では? キャンパスは北と中央、南に分かれていて、という下りで確信して「これ、ください!」。帰ってネット検索したら作者はやはり京大卒でした。
      
      京大、京大生といえば、これまでは万城目学と森見登美彦だったのですが、今回は瀧羽麻子という女性作家。女らしいタッチで文系女子と理系男子の恋を描いていて、ほんわかとしたムードが京大生に似合わず(笑)面白かった。ほんとうは女性向きの小説だと思いますが、京都の街が思い浮かんで楽しめました。
      
      主人公は文学部4回生の花。すべては七夕の朝のブルーベリーから始まります。合コンで出会った龍彦(たっくん)は理学部数学科。学生寮に暮らし、携帯電話も持っていない。それでも寮の友人達の「タコパ」に誘われ、徐々にたっくんに惹かれていく花。(タコパ=たこ焼きパーティ)
      
      理学部男子と付き合う女性にとって、敵は数学だったり大腸菌だったり、爆薬だったり遺伝子だったり。研究にのめり込むと回りが見えなくなって、食事もしないから栄養失調で倒れたり。
      
      花は就職先は決まっているものの、3月には住み慣れた京都を離れ、友人たちとも別れる寂しさや、未知の社会に身を投じる不安で心が揺れ動きます。まだ自分が確立していない学生だけど、懸命に生きようとする姿が素敵です。
      
      京大の寮と聞くと『百万遍 古都恋情』上巻 (花村萬月)のように怪しげな雰囲気を想像してしまいますが、そこは作者のフィルターでカットされているので安心して読めます。姉妹編『左京区恋月橋渡ル』も出ているそうなので読んでみようと思います。
      
      お勧め度:★★★★★

先日、長男の案内で、南キャンパスの寮を見学してきました。鬱蒼とした木々に隠れるようにして建つ木造二階建家屋、らしきもの…。すごい。すごすぎる。おまけに鶏が放し飼い。ここはどこ? ここが京都大学のキャンパス!?

ここで暮らすことが出来れば、どこでも生きていけるのではないでしょうか。そういう意味では、教育の場ということもできるでしょう。

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